『ウェブで学ぶ』梅田望夫/飯吉透

梅田望夫の略歴

梅田望夫(うめだ・もちお、1960年~)
IT企業の経営コンサルタント。
東京都の生まれ。慶應義塾幼稚舎から慶應義塾で学び、慶應義塾大学工学部電気工学科を卒業。
東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程を修了。
父親は、劇作家・フランス文学者の梅田晴夫(うめだ・はるお、1920年~1980年)。

飯吉透の略歴

飯吉透(いいよし・とおる、1964年~)
教育学者。
筑波大学附属駒場中学校・高等学校を卒業。国際基督教大学教養学部教育学科を卒業、国際基督教大学大学院教育学研究科にて教育修士号(教育工学)を取得。フロリダ州立大学教育大学院にて博士号(Ph.D. 教授システム学)を取得。

『ウェブで学ぶ』の目次

はじめに(飯吉透)
第一章 ウェブ進化が人生を増幅する(梅田望夫)
第二章 オープンエデュケーションの現在(飯吉透)
第三章 進化と発展の原動力
第四章 学びと教えを分解する
第五章 オープンエデュケーションと日本人、そして未来へ
おわりに(梅田望夫)
本書で言及した主なウェブサイト

概要

2015年9月10日に第一刷が発行。ちくま新書。272ページ。

副題は「オープンエデュケーションと知の革命」。

オープンエデュケーション(open education)とは、開かれた教育という意味で、誰でも平等に優れた教育を受けられるようにすること。

特に、各種の通信技術を活用した教育コンテンツの公開など。

『ウェブ進化論』で有名な梅田望夫と教育学者の飯吉透の共著。

第一章は梅田望夫、第二章は飯吉透が担当して、第三章~第五章までは対談形式といった構成。

感想

さまざまな分野の人物と共著を手掛けている梅田望夫。この作品では、教育学者の飯吉透との共著である。

ウェブと教育コンテンツについてが主題。

ただやはりアメリカが中心となるので、アメリカの開拓者精神というか、進取の精神などの考察にも発展していく。

2001年には、マサチューセッツ工科大学によるオープンコースウェア(Opencourseware;OCW)のプロジェクトを立ち上げた。

オープンコースウェアは、大学や大学院などの高等教育機関で正規に提供された講義と関連情報を、インターネットを利用して無償で公開すること。

2005年に、共同体、協議会という形のコンソーシアムが立ち上がり、全世界に広がる。

2006年には、大阪大学、京都大学、慶應義塾大学、東京工業大学、東京大学、早稲田大学が設立メンバーとして、日本オープンコースウェア・コンソーシアム(JOCW)が発足。

といった流れ。この辺りは「第二章 オープンエデュケーションの現在」に書かれている。

また「第三章 進化と発展の原動力」では、飯吉透がアメリカ的な主義・思想の根幹として、“楽観主義”“チャレンジ精神”“互助精神”“実用主義”などを挙げているのも、興味深かった。

「第四章 学びと教えを分解する」では、梅田望夫がただ勉強する、考えるだけではなく、実際にプロジェクトに関わり、人と繋がっていくことが重要であると伝えている。

と同時に、“in the right place at the right time”という言葉も。

とても良い言葉で、心に残った。

「第五章 オープンエデュケーションと日本人、そして未来へ」では、公と個。開かれた空間と閉じられた空間。選択と集中。自由と強制など。

この辺りのバランスというか、時間の掛け方、時期の見極めなども大切だと感じた。

また飯吉透のモットーである“教育とは、無限の可能性を信じること”やオープンエデュケーションというテクノロジー、仕組みが自己拡張と自己進化の大きな手助けとなるといった主旨の発言も印象的。

2010年に刊行された本書ではあるが、現在でも充分に示唆に富んだ内容である。

ウェブや教育、学習、海外などに興味がある人には非常にオススメの本である。

自分も、いつまでも学び続けて成長し続けていきたいと思う。もちろん、楽しく。そしてビジネスなどにも上手く活用してきたい。

書籍紹介

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