『ウェブ人間論』梅田望夫/平野啓一郎

梅田望夫の略歴

梅田望夫(うめだ・もちお、1960年~)
IT企業の経営コンサルタント。
東京都の生まれ。慶應義塾幼稚舎から慶應義塾で学び、慶應義塾大学工学部電気工学科を卒業。
東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程を修了。
父親は、劇作家・フランス文学者の梅田晴夫(うめだ・はるお、1920年~1980年)。

平野啓一郎の略歴

平野啓一郎(ひらの・けいいちろう、1975年~)
小説家。
愛知県蒲郡市の生まれ。福岡県北九州市の育ち。市立明治学園中学、福岡県立東筑高等学校、京都大学法学部を卒業。1999年に『日蝕』で第120回芥川賞を受賞。

『ウェブ人間論』の目次

はじめに――平野啓一郎
第一章 ウェブ世界で生きる
第二章 匿名社会のサバイバル術
第三章 本、iPod、グーグル、そしてユーチューブ
第四章 人間はどう「進化」するのか
おわりに――梅田望夫

概要

2006年12月20日に第一刷が発行。新潮新書。203ページ。

IT企業の経営コンサルタントの梅田望夫と小説家の平野啓一郎との対談をまとめた著作。

『ウェブ進化論』を読んで感銘を受けた平野啓一郎。文芸誌「新潮」の編集部に推薦の連絡。

編集部からの返答は、自分たちも同様で、ちょうど平野啓一郎へ『ウェブ進化論』を郵送した所であったという。

そこから話は進み、梅田望夫との対談の企画が立ち上がる。

他方、梅田望夫は、平野啓一郎の『葬送』を愛読していたので、企画は実現。二回に分けて「新潮」の誌上に掲載された。

二回に分けて対談は実施。それぞれ八時間以上にも渡ったとの事。

その内容をさらに適宜、編集や加筆などを加えてまとめたのが、この『ウェブ人間論』

感想

もともと梅田望夫の著作は好きで色々と読んでいた。

また平野啓一郎も芥川賞を受賞して何年か経った頃に『日蝕』を読んだ記憶がある。

テレビでの特集などでも観ていたこともあり、興味のある小説家。そのような背景があり、この著作も読む。

以前まで、本の最後に読み終えた日付を記入する習慣を持っていた。

この著作の最後を確認してみると、2010年8月21日と2013年5月1日と記載。二度読んでいたようだ。

二人の対談は、分野が幅広く、またその深さも驚く。

知らない思想家や哲学者、作家などの名前も数多く出てくる。一応、章末に注釈も載っている。

ドイツの政治哲学者のハンナ・アレント(Hannah Arendt、1906年~1975年)。

スロベニアの哲学者のスラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek、1949年~)。

チェコ出身の作家のミラン・クンデラ(Milan Kundera、1929年~)。

フランスの社会学者のピエール・ブルデュー(Pierre Bourdieu、1930年~2002年)など。

初めて知る人物ばかり。

ただ、平野啓一郎が「はじめに」でも書いているように、学問や教養をひけらかすような印象を与えるかもしれないが、読者の関心が多方向に広がる契機になればという思いがあるとのこと。

ウェブやネット、テクノロジー、社会、個人、人間といったテーマが様々な切り口で考察されている。

改めて、それらの歴史を見つめて、現在や未来を考えるのも良いのかもしれない。

梅田望夫や平野啓一郎のファン、あるいはウェブやネットと人間の関わり方などに興味がある人にはオススメの本である。

書籍紹介

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