ピーター・ティール『ZERO to ONE』

ピーター・ティールの略歴

ピーター・ティール(Peter Thiel、1967年~)
アメリカの起業家、投資家。
西ドイツのフランクフルト生まれ。1歳の時にアメリカのオハイオ州に移住。さらにアフリカを経て、カリフォルニア州に移住。
スタンフォード大学で哲学を、スタンフォード大学のロー・スクールで法律を学ぶ。
決済サービスの会社PayPal(ペイパル)の共同創業者。初期のフェイスブックにも投資をしている。

『ZERO to ONE』の目次

日本語序文 瀧本哲史
はじめに
1 僕たちは未来を創ることができるか
2 一九九九年のお祭り騒ぎ
3 幸福な企業はみなそれぞれに違う
4 イデオロギーとしての競争
5 終盤を制する
6 人生は宝クジじゃない
7 カネの流れを追え
8 隠れた真実
9 ティールの法則
10 マフィアの力学
11 それを作れば、みんなやってくれる?
12 人間と機械
13 エネルギー2.0
14 創業者のパラドックス
終わりに 停滞かシンギュラリティか

『ZERO to ONE』の概要

2014年9月25日に第一刷が発行。NHK出版。253ページ。ハードカバー。128mm×182mm。B6判。

序文は、経営コンサルタント・投資家の瀧本哲史(たきもと・てつふみ、1972年~2019年)。

訳者は、翻訳家・ファンドマネージャーの関美和(せき・みわ、1965年~)。

原著も2014年に発売。原著、日本語訳判ともに、著者としてピーター・ティールに加えて、「with ブレイク・マスターズ」と書かれる。

ブレイク・マスターズ(Blake Masters、1986年~)は、アメリカの投資家で作家。コロラド州生まれで後にアリゾナ州に。スタンフォードのロー・スクールで、ピーター・ティールと出会い、講義録を執筆。

『ZERO to ONE』は、ピーター・ティールがスタンフォード大学の学生に向けて行なった「起業論」の講義が基となっている。その講義録を書いたのがブレイク・マスターズである。

ピーター・ティールの経験や思考と併せて、ゼロからイチを生み出すために必要な事柄の解説がまとめられた書籍。

『ZERO to ONE』の感想

瀧本哲史のファンなので、読んでみる。

基本的に、存命中の人物の本の推薦依頼は、全て断っていた瀧本哲史が、その自身の決まりを破って、序文を書いたこの著作。

その経緯は、序文にも書かれているが、それほどピーター・ティールを評価しているという事である。

また、もともとは法律を専門としていたという共通項もある二人。

さらに二人とも、イギリスの哲学者フランシス・ベーコン(Francis Bacon、1561年~1626年)を尊敬しているという。

そのような共通した背景を持つ人物が関わっている書籍。ここ数年の間に読んだ本の中でも、特に刺激を受けた。

非常にロジカルに、ゼロからイチへのビジネスに対する思考が綴られている。

ピーター・ティールは、中学生の頃にはカリフォルニア州全域の数学テストで、1位を獲得した経験があるという。

この辺りも注目すべきポイントかもしれない。

つまり、冷静な戦略家であるという事。運、不運ではなく、確率や分析、論理、因果を深く深く考察する。

特に印象的だったのは、「小さく始めて独占する」という言葉。

そこから、徐々に大きくしていくという手法。小さい市場は、競合が少ないので、独占しやすい。

つまり、競争がない。競争がない市場を狙うということでもある。

競争に巻き込まれてしまうと、最終的に利益は無くなってしまう。そのために、独占できる市場で戦うのである。

その他にも示唆に富む事柄が豊富に掲載されている。一度だけでは、なかなか自分の知識とならないので、繰り返し読もうと思う。

新しいビジネスを始めようと思っている人には非常にオススメの本である。

書籍紹介

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スタンフォード大学

スタンフォード大学(Stanford University)は、、カリフォルニア州スタンフォードに本部を置くアメリカの私立大学。正式名称は、リーランド・スタンフォード・ジュニア大学(Leland Stanford Junior University)。

公式サイト:スタンフォード大学