『成功はどこからやってくるのか?』岡本吏郎

岡本吏郎の略歴

岡本吏郎(おかもと・しろう、1961年~)
税理士、経営コンサルタント。
新潟県の生まれ。明治大学商学部を卒業。金融機関の勤務を経て独立。

『成功はどこからやってくるのか?』の目次

はじめに
プロローグ 資本主義の中で生きる人のためのメモ
A 成功法則で成功できない本当の理由
第1章 常識で考えてみる
第2章 ノウハウを求める底の浅さ
第3章 生命から考える
第4章 まずはマイナスをゼロに戻そう
B 「偶然を待つ力」が人生を変える!
第5章 偶然を待つ力
第6章 ジャパニーズ・ノウハウは地味だが強力
第7章 同質化という引力
第8章 一番大切なこと…
第9章 「空間」ということ
おわりに

概要

2004年11月22日に第一刷が発行。フォレスト出版。251ページ。ソフトカバー。127mm×188mm。四六判。

税理士で経営コンサルタントでもある岡本吏郎が、成功法則や資本主義についての考察をまとめた作品。

副題は、“「成功法則」の取扱説明書”。

感想

好き嫌いが分かれてしまうような文体と内容の本を書き続ける岡本吏郎。

この辺りは、好みの問題でしかないので仕方がない。

もしくは、岡本吏郎のマーケティングの対象か対象外かという風にも取れる部分。

自己啓発や成功法則とか興味があったり、あるいは疑義を持っていたりする人も、刺激を受けやすいのではないかという著作。

以下、引用などをしながら紹介。

人から言われたことを鵜呑みにするのではなく自分の頭で考えるのです。更に、ストイックなほどの準備。これが重要です。成功者の共通点は、ストイックな準備と気楽な実行力です。(P.106「第3章 生命から考える」)

ここでは、ハンガリーの物理学者であるマイケル・ポランニー(Michael Polanyi、1891年~1976年)の“創発”に関して、事例を挙げながら解説。

“創発”とは、部分の性質の単純な総和に留まらない特性が、全体として現れること。あるいは、要素間の相互作用が全体に影響を与えて、新たな秩序が形成される現象。

岡本吏郎の主張をざっくりとまとめてしまうと、地道な努力を着実にしていれば、ある時、一気に成果が上がるというもの。

キーワードとしては、主体性や好奇心。

分かりやすく言ってしまえば、誰でも楽に、といったものはない、といった感じか。

リフレーミングはある種のセンスと図々しさがいります。とにかく、目の前で起ることがどんなに悪いことでも、どこかの側面に光を当てて、自分に良いように解釈してしまうのですから、他人が見たら屁理屈を言っているだけにしか見えません(P.163「第6章 ジャパニーズ・ノウハウは地味だが強力」)

リフレーミングの活用方法を紹介。

リフレーミング(reframing)とは、心理学である事柄を別の視点で見直すこと。

特に否定的な視点を、肯定的な視点へ切り替えて、ポジティブな方向に持っていくこと。

ストレスの軽減といった好影響がある。

他の人の考え方よりも、自分の中の考え方を大切にして、前向きに捉えていくという思考方法。

さらに続いて、禅の言葉である“二念をつがない”という話に。

私たちが計画を立てるにあたっては、この「二念をつがない」行為が大変重要になります。どれだけ、客観的に「あるがまま」を見るか、これがちゃんできなければ計画なんて立てられないのです。(P.165「第6章 ジャパニーズ・ノウハウは地味だが強力」)

自分の勝手な解釈を入れずに、現実を、事実を、あるがままに、受け取るというもの。

さまざまなバイアスや認知不協和のために、主観的な考えや思いを抱いてしまう。

だが、ビジネスなどの時には、そうならないように、意識して、見たくない現実も、正確に認識すべしということ。

そうのようにしていくと、計画や施策などが上手く回り出すという。

勝手な判断ではなく、より大きな原理原則に忠実になるといった感じか。

天皇家の行事などをつかさどる大和古流では、「即断・即決・速攻」が秘中の秘の家訓とされているくらいです。スピードは私たちが考えている以上に大事なようです。でも、これがやっぱり理屈だけ。スピードを重視している人は案外少ないものです。(P.180「第7章 同質化という引力」)

“大和古流”とは、礼節や武芸を代々受け継ぐ流派のこと。「敏達天皇の後胤・橘諸兄が遠孫」と名乗りを上げる家柄。

具体的には、剣術、弓術、茶の湯、香、華、書、大和歌、音曲など。

ちなみに、敏達天皇(びだつてんのう、538年?~585年?)は、第30代の天皇。

橘諸兄(たちばなのもろえ、684年~757年)は、皇族・公卿。

昔からスピードはとても重要であった。

ただ、これも他の真理というか原則と同様に、当たり前であり、実際に行動に反映させている人は少ない。

だからこそ、実際に行動に移すだけで、他の人よりも一歩先に抜きん出ることが出来る。

結局のところ、当たり前と呼ばれることを地道に継続している人が、成功しているとも言える。

つまり、ほとんどの人は、成功法則の本を読んでも、行動しないので、何も影響がない。

成功法則やビジネスなどに興味のある人には非常にオススメの作品である。

書籍紹介

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