松岡圭祐の略歴
松岡圭祐(まつおか・けいすけ、1968年~)
小説家。
愛知県の出身。作品に『催眠』、『千里眼』、『万能鑑定士Q』、『探偵の探偵』などがあり、映像化され映画やドラマにもなっている。
『小説家になって億を稼ごう』の目次
はじめに――小説家が儲からないというのは嘘
Ⅰ部 小説家になろう
第一章 売れるための大原則「現代小説とはなにか」 第二章 人々に愛される物語の『想造』とは 第三章 魅力的なあらすじ 第四章 おもてなしの精神に満ちた執筆方法 第五章 貴方の小説をリリースする方法 第六章 失敗しないゲラ校閲作業のコツ 第七章 プロが儲からない理由は出版契約書
Ⅱ部 億を稼ごう
第一章 デビューの直後にすべきこと 第二章 編集者との付き合い方 第三章 デビュー作がヒットした時、しなかった時 第四章 映画化やドラマ化への対応 第五章 ベストセラー作家になってから気をつけること
「売れる」ために読むべし! ――「最強の指南書」に寄せて 吉田大助
『小説家になって億を稼ごう』の概要
2021年3月20日に第一刷が発行。新潮社新書。253ページ。
解説は、ライターの吉田大助(よしだ・だいすけ、1977年~)。
『小説家になって億を稼ごう』の感想
ネットで誰かがオススメをしていたような気がする。心の片隅に記憶に残っていて、何となく購入。
かなり具体的な数字などが出てきたので、色々と勉強になった。
「Ⅰ部 小説家になろう」は、創作方法について。「Ⅱ部 億を稼ごう」が、金銭的な内容。
ネットで検索し、近場の税理士を探しましょう。月額一万円、確定申告時には二万円ほどで、あらゆる計算を引き受けてくれます。(P.189「Ⅱ部 億を稼ごう:第三章 デビュー作がヒットした時、しなかった時」)
年間で約14万で税理士と契約できるのか。これは知らなかった。何年か前に自分で調べてみたら、数倍くらいの費用が必要だったと思ったけれど。
契約内容の違いなのか、調べ方が甘かったのか。まぁ、予想よりも安く、税理士と繋がりを持つことができるのか。
もしくは、知り合いの税理士に、直接値段を聞いてみるかな。何人か知り合いもできたので。
我ながら意外と大人の階段を登っているようだ。
そう言えば、大沢在昌(おおさわ・ありまさ、1956年~)は、税金とか色々と考えて事務所を持ったような。
名前は大沢オフィスだけれど、宮部みゆき(みやべ・みゆき、1960年~)と京極夏彦(きょうごく・なつひこ、1963年~1991)も、マネージメントの委託をしているんだよな。
金銭的な部分もあれば、執筆などに集中しやすい環境を得るという目的が大きいようだけれど。
実は現在、億単位の年収を得る小説家に、酒豪は皆無と言えます。一滴も飲まない作家ばかりがトップクラスに君臨しています。(P.198「Ⅱ部 億を稼ごう:第三章 デビュー作がヒットした時、しなかった時」)
へぇ~、これは全く知らなかった。お酒を飲んでも、その後に問題なく原稿に向かうみたいな感じの体力お化けたちかと思っていた。
確か、大沢在昌とか、北方謙三(きたかた・けんぞう、1947年~)とかって、そんな感じだったように思うけれど。
他にも、ちょっと前までのビジネス芸人たちも、お酒を飲んだ後に会社に戻って仕事をする、みたいな。
ただ、柴田錬三郎(しばた・れんざぶろう、1917年~1978年)は、酒を飲まなかったから、大量に作品を書き残すことができたと、自分で言ってたしな。
煙草は吸っていたみたいだけれど。
『どうでもいい事ばかり』に色々書いてあったと思う。
同じく、歴史小説・時代小説を書く今村翔吾(いまむら・しょうご、1984年~)も酒を飲まなかったような気がしたな。
煙草は吸っているみたいだけれど。
現在のトップクラスは、喫煙者はどれくらいなのだろうか。その辺りも興味が湧く。
まぁ、結局のところ、体力勝負なんだよな。
いわゆる二次使用料です。日本文藝家協会・日本映画監督協会・日本シナリオ作家協会の規約により、著作者は「ソフト本体価格の1.75%✕出荷枚数」と「レンタル事業者がメーカーに支払う金額の3.35%」を受け取れます。(P.222「Ⅱ部 億を稼ごう:第四章 映画化やドラマ化への対応」)
映画の興行収入から歩合の報酬を受け取れなくても、DVDやブルーレイになった時には、印税が原作者、監督、脚本家にそれぞれ支払われるという仕組み。
しっかりとパーセンテージが決まっているのか。なるほど。
映像ソフトによる印税も入る。さらに原作も売れて、本の印税も入る。それぞれが宣伝・広告になる。また、それぞれが売れる。という好循環か。
あくまでも上手くいった場合だけれど。
複数の企業が製作委員会に名を連ねていても、事実上の製作の権限を持つのは、最も出資額の多い「製作幹事会社」のみです。(P.229「Ⅱ部 億を稼ごう:第四章 映画化やドラマ化への対応」)
こういうのも、全く分からないもんだな。当事者が、その時になって初めて知ることが多いのではないか。
もしくは、ある一定のレベルだと先輩作家や、業界に詳しい弁護士とかがアドバイスをしてくれるのかどうか。
さらに次の230ページには、その製作幹事会社のプロデューサーひとりの意向が大きく反映されるという話も。なるほどな。その人物がキーパーソンなのか。
そこに狙いを定めていくということね。
小説家は文化人扱いなので、地上波全国ネットであってもギャラは三万円から八万円ぐらいです。(P.269「Ⅱ部 億を稼ごう:第五章 ベストセラー作家になってから気をつけること」)
テレビ出演の値段。3~8万円くらいなのか。拘束時間によって、値段が増減するイメージか。安いのか、高いのか、どうなんだろう。
報酬よりもテレビに出ることでの宣伝効果が目的なのかな。あとは、その人物の性格的なものか。
全体として読みやすくて分かりやすい。特に「Ⅱ部 億を稼ごう」の方が興味を持った。
作家が直面する仕事の内容、編集者、校閲者、校正者、契約、映像化に関する話、お金に関する話、テレビ出演など。
特に映像化に関する話は、今年2024年に漫画家の悲しいニュースもあったからな。周辺知識や、そのような情報に詳しい人が回りにいたら少しは変わったのかもしれないが。
というわけで、小説家を目指さなくても、業界を知りたいという人には非常にオススメの本である。