岡本吏郎の略歴
岡本吏郎(おかもと・しろう、1961年~)
税理士、経営コンサルタント。
新潟県の生まれ。明治大学商学部を卒業。金融機関の勤務を経て独立。
『会社にお金が残らない本当の理由』の目次
第1章 システムを知らないからお金が残らない
第2章 システムを知らなくてもどうにかなった理由
第3章 システムの正体を探る
第4章 数字はこうやって考える
第5章 システムの中をどう泳ぐか?
終章 クリエイティブ・マイノリティー(創造的少数者)
『会社にお金が残らない本当の理由』の概要
2003年12月18日に第一刷が発行。フォレスト出版。252ページ。127mm×188mm。四六判。
ビジネスの基本ルールや仕組み、システムをしっかりと確認して、自分の事業を運営していこうという趣旨の内容。
副題「94%の社長は知らない経営の話」。
表紙には、ビジネス環境を支配する「7つのシステム」。お金を残すための「4つの数字」という言葉も。
2010年1月15日には、新たに新書版も刊行。
『会社にお金が残らない本当の理由』の感想
何事も基本的にはシンプルである。
当たり前のことを徹底的に実行する。つまらないプライドを持たず。他者の価値観に合わせずに。
加えて、ルールの勉強である。税金の仕組みの勉強は必要だな。
これが岡本吏郎の第一作目の本とのこと。
また経営コンサルタントの神田昌典(かんだ・まさのり、1964年~)との出会いが分岐点となったという記述も。
神田昌典は、開成中学校・高等学校、上智大学外国語学部英語学科を卒業。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール経営学修士を取得している人物。
以下、引用などを含めながら紹介。
私は比較的若い頃から「楽をするためにする努力はナンセンスではないだろうか?」と考えてきました。(P.59「第2章 システムを知らなくてもどうにかなった理由」)
そこで岡本吏郎は、具体的に住宅の購入についての話に言及。
住宅ローンで何年も借金を返していくために、労働するののナンセンスに思えたという。
これは自分も昔から思っていること。楽をするための努力って何だろうと思っていた。まだ効率化なら理解できるけど。
楽をしたいなら、何もしなければいいだけ。本当に。
家の購入についても同様であると岡本吏郎は言う。
そして、岡本吏郎自身は最終的に家を購入したが、一部借り入れをした程度。返済も一年で終了したというもの。
利息もわずか。約30万円で済んだ。家の購入に4,000万円掛かったという。
アメリカのマーケッター、ジェイ・エイブラハムは「ビジネスを拡大する方法」という切り口で次のように言っています。
「ビジネスを拡大させる方法は三つしかない。それは・・・」
①お客の数を増やす
②お客一人について平均の販売数量を増やす
③お客が再来して購入する回数を増やす
そして、①~③の三つの要素を増やせばビジネスを拡大できる」と言っています。(P.73「第3章 システムの正体を探る」)
ジェイ・エイブラハム(Jay Abraham、1949年~ )は、アメリカの経営者、作家。ダイレクト・レスポンス・マーケティングの戦略開発で知られる人物。
この部分も当たり前といえば当たり前である。
でも、これは、三つをそこそこ回すのが良いという話の流れになっていく。それが一番効果的であると。それぞれ100点を取るのではなく、そこそこを狙っていくのが良いと。
新しい人に会う。気の合った人とは、定期的に連絡を取ったり、会ったりする。遊びにもなるし、情報収集にもなるし、営業にもなる。
アメリカでは決算書は2種類作るのが普通です。通常の決算書と税金納付用の決算書です。そして、日本の国税庁も同じ路線を目指そうとしているのがここ数年の改正から感じられることです。(P.135 「第3章 システムの正体を探る」)
アメリカの場合は、通常の決算書と税金納付用の決算書の二種類を作るのは知らなかった。
もう少しこの辺りも勉強していきたいところである。
基本的には納税用の決算書が日本で使われているので、その決算書が読めるようになっても、それほど意味はない。
より深く、どの数字が重要であるかを知ることが大切。むしろ、会社経営用の決算書が必要である、というもの。
なるほど。単なる制度的なものから、有用なものへの変換。
これは、他の分野などにも応用できる部分。
でも、管理すべき数値、目標とすべき数値としては有効なものもあります。
しかし、おさえておくべき数値はそんなに多くはありません。ほんの四つです。
それは
・一人当たり付加価値
・労働分配率
・一人当たり経常利益
・ROA(総資本経常利益率)またはCROA(総資本キャッシュフロー率)の四つです。
(P.156「第4章 数字はこうやって考える」)
一人当たり付加価値は、(売上ー仕入れ)÷総人数。
労働分配率は、付加価値÷人件費。労働分配率として、役員報酬は20%、社員給料は30%にする。
一人当たり経常利益は、利益÷総人数。
ROA(総資本経常利益率)は、経常利益÷総資産。で、20%くらいは必要。利益ではなく、キャッシュで見るのがCROA。分子をキャッシュにする。
具体的な方法論から、抽象的な思考姿勢まで、詳細に書かれている内容。
経営者や個人事業主、フリーランスの人などには非常にオススメの本である。
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