『勝ち続けるためのブランド戦略』林大吾

林大吾の略歴

林大吾(はやし・だいご、1973年~)
経営者。
三重県鈴鹿市の出身。早稲田大学商学部を卒業。早稲田大学ラグビー部の出身。三菱商事を経て、シカゴ大学経営大学院でMBAを取得し、独立。

『勝ち続けるためのブランド戦略』の目次

はじめに
第1章 ブランド作りは容易ではない
第2章 差別化価値を向上させる
第3章 自社の商品を世の中に知らしめる
第4章 あなたの会社のユニークネスを確立する
第5章 ブランディング・サイクルを回し続ける
終わりに

概要

2014年2月11日に第一刷が発行。クロスメディア・パブリッシング。207ページ。ソフトカバー。127mm✕188mm。四六判。

副題的に「中小・ベンチャー企業が知らなきゃマズい」と題名の前に付く。また「uniqueness management makes a strong brand」とも表紙に記載。

感想

三菱商事では「1日30時間、1週間10日働く」姿勢で、14年間にわたりトップ営業マンとして活躍と、プロフィールに書かれている。

凄い。

早稲田大学のラグビー部の出身。徹夜なども余裕のような三菱商事時代のエピソードも。

備わっている体力、持久力の違いか。本当に凄いな。

では、内容に入っていく。

ひとつは、“Reference value”、そしてもうひとつは、“Differentiation value”です。アメリカで使われている言葉ですが、直訳するとReference valueが「参照価値」、Differentiation valueが「差別化価値」といったものになると思います。(P.34「第2章 差別化価値を向上させる」)

「参照価値」が一般的な商品やサービスの価値で、「差別化価値」が付加価値といった感じ。

さらに同じ第2章では、WTP=Willingness to Pay=支払い意思額、についても。

差別化価値と繋がる部分。さらに第4章で出てくるユニークネスにも繋がっていく話。

様々なヒット商品を生み出した相模屋食料は、ウェブサイトで「基本ができているからこそ革新的な商品を、次々と世に送り出してきました」と謳っています。(P.54「第2章 差別化価値を向上させる」)

基礎が大事。基礎があるから応用もできる。基礎があるから変化球も対応できる。

相模屋食料の「Gとうふ」や「油で揚げない油揚げ」などについて言及。

この辺りも全く知らなかった。相模屋食料そのものを知らなかったからな。

てっきり、名前から神奈川の企業なのかと思ったら、群馬県前橋市の企業だった。驚き。

社長は、鳥越淳司(とりごえ・じゅんじ、1973年~)。著者と同じ生年で、さらに同じく、早稲田大学商学部を卒業している人物。

特に同級生といった記述はなかったと思うので、単なる偶然なのか。これはこれで驚き。

『「ザクとうふ」の哲学』という書籍も販売されている。こちらの本も評価が良いようなので、今度チェックしおこう。

最初から上手くいくはずがないのだから、とにかく失敗しろと喝破し、日本人を「知識や情報は持っていても、行動理念がまったくない」と分析し、壁に当たっても行動力とアイディアで突破していく氏の成し遂げたエピソードの数々は、多くの中小企業やベンチャー企業の経営者に希望と勇気を与えるものだと思います。(P.76「第3章 自社の商品を世の中に知らしめる」)

ここで語られている「氏」とは、高野誠鮮のこと。

高野誠鮮(たかの・じょうせん、1955年~)…科学ジャーナリスト。日蓮宗の僧侶。放送作家。石川県羽咋市(はくいし)大田町の出身。羽昨高等学校を卒業。上京して放送作家に。後に立正大学仏教学部を卒業。1984年から石川県羽咋市役所に勤務。2005年にローマ法王に、神子原米(みこはらまい)を献上。

なかなか面白そうな経歴で、実績や知名度もあるようだ。自分は全く知らなかったけれど。勉強不足が露呈してしまうな。

高野誠鮮は、アイデアと行動力で、問題を解決していった。

アイデアをさまざまに出してから、代理店などの中間業者は使わずに費用を抑えて、直接アプローチしていく行動力。

何事も数のゲームであるというのが基本か。まずは大量行動。

最近、色々と読んでいる中でよく出てくるのが、「失敗も計画に入れる」「失敗も前提とする」など。

大きな失敗はもちろん回避すべきだが、小さな失敗は当然起こるので、念頭に置いた行動や計画が必要。失敗でメンタルを乱さないようにしておく。

確率と運。試行回数。

高野誠鮮も、書籍を出しているようだ。科学ジャーナリストでもあるからジャンルも幅広い感じ。

『ローマ法王に米を食べさせた男』
『頭を下げない仕事術』

上記の2冊が気になる。こちらも今度、読んでおこう。

ちなみにこの第3章では、ライフネット生命保険や前田建設・ファンタジー営業部、萬乗醸造「醸し九平次」などの事例についても考察されている。

元手のかからない行動や切り口を変える、日本ではなく海外を狙うなど。面白いヒントが見つかる。

ライフネット生命保険の出口治明(でぐち・はるあき、1948年~)は、かなりの読書家として有名で、その著作を色々と読んでいたので知っていた。

前田建設や萬乗醸造については知らなかったので、とても勉強になった。

私はこれを、中小企業の“ユニークネス三箇条”と呼んでいます。

①絶対に誰にも負けないこだわりか
②たゆまぬ努力で勝ち取ったものか
③世の中の誰かの幸せに繋がるか

の3つです。(P.116「第4章 あなたの会社のユニークネスを確立する」)

抽象的な感じではあるが、大事な部分。

この三箇条があれば、独自優位性、つまりユニークネスを発揮できる。

この第4章の前、第3章の84ページには、ハリウッド映画の作劇法である、「三幕構成(three-act structure)」にも触れられている。

第一幕:状況設定(setup)
第二幕:葛藤(conflict)
第三幕:解決(resolution)

というもの。

この構成を活用して、企業や事業の物語化、ストーリー化をして発信する。ユニークネスによるブランディングになる。

やはり物語の強さ。ストーリーテリングが重要。出し方。見せ方。

アイデアが必要だな。

さらに続いて、以下のような話も。

約70年間職人としての道を追求してきた金本氏は、「裂き3年、串打ち3年、焼き一生」という格言に対して、このように語っています。
「『焼き一生』っていうことは、やっぱり研究していけってこと」
「人間っていうのも『これでいいや』って言ったら、もうそれでおしまい」(P.118「第4章 あなたの会社のユニークネスを確立する」)

うなぎの老舗「野田岩」の5代目である金本兼次郎(かねもと・けんじろう、1928年~)の言葉。

うなぎの格言は聞いたことがあったけれど、この人物は知らなかった。

一生、探求、追求していくものなんだな。いつか食べに行きたい。書籍も出ているようだ。

『生涯うなぎ職人』

本を読んでいると、さらに読みたい本が出てきてしまう。困る。嬉しい悲鳴ではあるけれど。

企業の事例の他に、著者の早稲田大学ラグビー部時代や三菱商事の時代のエピソードも面白い。

ブランド戦略や企業の事例などを知りたい人には非常にオススメの一冊。

さらに、的を絞った二作目『勝ち続ける会社の目標達成の仕組み』もあるので、興味があればそちらも。

書籍紹介

関連書籍

関連スポット

野田岩

創業200年以上の老舗うなぎ屋・野田岩。東京都港区東麻布に本店がある。

公式サイト:野田岩