ジョー・ジラード『最強の営業法則』

ジョー・ジラードの略歴

ジョー・ジラード(Joe Girard 、1928年~2019年)
アメリカ合衆国のトップセールスマン。
シボレー社のディーラーとして、1963年から1978年の約15年間で13,001台の乗用車を売った「世界ナンバーワンのセールスマン」としてギネスブック記録となった人物。

『最強の営業法則』の目次

第1章 敗け続けた人生の終わり。勝ち続ける人生の始まり
第2章 「欲求」こそがすべての始まり
第3章 売り手も買い手も同じ人間にすぎない
第4章 ジラードの二五〇の法則
第5章 「仲良しクラブ」は時間のムダ
第6章 売り終わった後、次は誰に売る?
第7章 観覧車の席を絶え間なく埋め続ける
第8章 ジラード流、商売道具の使い方
第9章 ダイレクトメールの営業法則
第10章 顧客をつかむには顧客を使う
第11章 計画と実行の営業法則
第12章 「正直」よりも大事な営業の原則
第13章 トップ営業マンは一流の役者である
第14章 商品の「におい」を売れ
第15章 顧客をとことん知るための諜報活動
第16章 顧客を絶対に逃さない営業法則
第17章 売った後も勝ち続けるために
第18章 自らの限界を知り、あらゆる助けを利用する
第19章 金と時間は賢く使う
第20章 最終章はない
訳者あとがき

『最強の営業法則』の概要

2018年5月19日に第一刷が発行。フォレスト出版。286ページ。ソフトカバー。127mm✕188mm。四六判。

翻訳者は、石原薫(いしはら・かおる)。翻訳協力は、トランネット。

2004年5月にフォレスト出版より刊行された『私に売れないモノはない!』を改題・再編集したもの。

原書は1977年に発売。原題『How To Sell Anything To Anybody』

『最強の営業法則』の感想

営業関連の本にも興味を持って色々と読み漁っている。知り合いの経営者さんが推奨していたので読んでみた。なかなか勉強になった。

強く望むこと、そして自分の望みが何であるかを知ること、それが営業マンとして成功するためのほとんどすべてだ。(P.52:第2章 「欲求」こそがすべての始まり)

欲望は大切。自分の望み。それが自分の人生であるから。欲望に基づいた行動と発言が重要。

マーケターの森岡毅(もりおか・つよし、1972年~)も、欲望の大切さについては書籍で述べていたな。

実業家の渋沢栄一(しぶさわ・えいいち、1840年~1931年)も「無欲は怠慢の基である」と『渋沢栄一訓言集』で語っている。

健全な欲望を明確にして、行動に移すこと。それが起点、原動力になるということか。そりゃそうだな。大事だな。

人は誰でも、結婚式や葬式に招待するくらい大事な知り合いが二五〇人いる。二五〇人もだ!(P.67:第4章 ジラードの二五〇の法則)

一人の人間の裏側には、約250人の人間がいるという話。

一人の人間は、250人くらいの人間と繋がっている。

だから、目の前のお客さんを大切にしなさい、というもの。目の前にいるお客さんを敵に回したら、その後ろ側にいる250人も敵になる。

逆にそのお客さんを味方にしたら、その後ろ側にりう250人も味方になる。

人に優しく、大事だな。

とは言っても、相性や悪い人間もいるので、そこはケース・バイ・ケースだろうけど。

好展開していくと、紹介が紹介を呼んでいくということ。

それに、お仲間の誰一人として、「オレのくだらないジョークなんか聞くな。自分のデスクへ行って、ダイレクトメールに住所と宛名を書いて毎日一〇通送れ。そうすれば、毎年二五〇〇人の自動車を運転する人、つまりいずれ車を買い替える人とつながりができる」などと言ってくれる人はいない。(P.79:第5章 「仲良しクラブ」は時間のムダ)

会社のお仲間は、仕事の真剣なアドバイスをくれない。

単なる傷の舐め合いをする関係、愚痴を言って慰め合う関係などは、無駄でしかない。

という話と、もう一つは、行動の事例。

事例であっても、なかなかの数字に思えるが、これが営業能力の高い人物の普通の数字なのかもしれない。

1日に10人にメールを送るというもの。確かに出来なくはない数字。だがこれを毎日、新規の人物にとなると、ハードルが上がるようになる気がするけれど。

今まで大した営業とかもせずに生きて来ちゃったからな。まずは潜在顧客のピックアップからだろうな。

次のページでは、試行錯誤をしてやってみるのが大事ということから、「しかし、肝心なのは実行すること、それも数多く実行することなのだ」と結論付けている。

完璧を目指さずに、まずは実行して修正していく。

そして、何よりも簡単に折れずに、数をこなす。やはり何事も回数。母数。ある一定量が必要。最初から上手くいくことは無いという前提が必要。

最初から成功したら幸運であったと考えるべきだな。

営業マンなら誰でも名刺を持っているが、一年かけても五〇〇枚入りの箱を使いきらない人がたくさんいる。私は一週間あれば使いきる。(P.107:第8章 ジラード流、商売道具の使い方)

スポーツ競技場の観客席で、ゴールの瞬間に100枚くらい名刺をばら撒く、という方法も書かれている。

凄いな。

ただ、これは例え話であるので、抽象化してしまえば、費用対効果の話。

名刺を100枚ばら撒いて、1枚でも効果があり、車が売れたら問題ない。これは車という高額な商品だから成立しているのかも。

ただ学ぶことも多い。自分もチャンスがあれば、ガンガン名刺を配るのが効果的ということか。

まぁ、特にコストが掛かるわけでもないから、配り回った方が良いか。

それと同時に、客には特製のお礼のカードを送る。買ってくれた客に例を述べるのはごく当たり前のことだと思うが、意外にも実行している営業マンは少ない。(P.230:第17章 売った後も勝ち続けるために)

「それと同時に」の「それ」というのは、販売し終わった後に、顧客の情報を整理して記録しておくということ。

その顧客について知っていることを全て。

まとめ終わった後に、お礼のカードを送る。

これは、経営コンサルタントの竹田陽一(たけだ・よういち、1938年~)も同じことを言っている。『1枚のはがきで売上げを伸ばす方法』という書籍も出しているし。

取り敢えず、お礼メールとかはやっているけれど、お礼のカード、お礼のはがきとかは、ほぼ継続的にはやったことないかな。

封書で一度、はがきで一度くらいか。

老舗企業の営業マンだと、巻物を書くとかって聞いたこともあるけれど。お礼ではなく、口説き落としで。

確率の問題みたいな感じか。まぁ、お礼のはがきなどが来て、「気を悪くする」という人はいないから、良いと考えるべきなのかな。

この本の最初は、割と時代錯誤といか、国が違うということもあって、ちょっと取っ付きにくい感じもあったけれど、営業関連の話が始まるとスピードが乗ってきた。

数を繰り返して、効率化していくのが営業の基本なんだな。

というわけで、営業の方法を学びたい、整理したいという人には非常にオススメの本である。

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