『ウェブ時代をゆく』梅田望夫

梅田望夫の略歴

梅田望夫(うめだ・もちお、1960年~)
IT企業の経営コンサルタント。
東京都の生まれ。慶應義塾幼稚舎から慶應義塾で学び、慶應義塾大学工学部電気工学科を卒業。
東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程を修了。
父親は、劇作家・フランス文学者の梅田晴夫(うめだ・はるお、1920年~1980年)。

『ウェブ時代をゆく』の目次

序章 混沌として面白い時代
第一章 グーグルと「もうひとつの地球」
第二章 新しいリーダーシップ
第三章 「高速道路」と「けものみち」
第四章 ロールモデル思考法
第五章 手ぶらの知的生産
第六章 大組織 VS. 小組織
第七章 新しい職業
終章 ウェブは自ら助くる者を助く
あとがき

概要

2007年11月10日に第一刷が発行。ちくま新書。256ページ。副題は「いかに働き、いかに学ぶか」。

2006年2月に刊行された『ウェブ進化論』の続編的というか対になる作品がこの『ウェブ時代をゆく』

『ウェブ進化論』では、ウェブ時代の意味を描き、『ウェブ時代をゆく』では、ウェブの時代に生まれる新しい生き方の可能性をテーマとしている。

企業としてのグーグルやその姿勢。リーダーシップや組織の在り方。知的生産の方法。新しい職業や雇用。ウェブ時代の精神性。自助の精神。

などなどが、梅田望夫の思考や経験と共に書かれている。

感想

『ウェブ進化論』を読んでいたので、もちろん、この『ウェブ時代をゆく』も手に取ってみる。

続編的というか、姉妹版というか、こちらも読むとさらにウェブに関する時代というか、その周辺の状況を理解できる。

あとがきにも書かれているが、思想家で教育者の福澤諭吉(ふくざわ・ゆきち、1835年~1901年)の『西洋事情』『学問のすすめ』が対になっているのと同様に、梅田望夫のこの二つの作品も対になっているといった形。

また福澤諭吉に関しては、序章でも触れられているし、梅田望夫は福澤諭吉が創設した慶應義塾の出身でもある。

2021年の現在からすると、新しい情報を得るというよりも、ウェブの歴史と考察を振り返られる。

その中で、自分の行動や嗜好に合ったものを具体的な生活に取り込んでいくのが良いのかもしれない。

学べる点が多いし、梅田望夫の文章の読みやすさ、構成や流れの円滑さも注目すべき所である。

特に人類学者・梅棹忠夫(うめさお・ただお、1920年~2010年)や、英語学者・渡部昇一(わたなべ・しょういち、1930年~2017年)などの知的生産系の著作が好きな人にもオススメ。

第五章「手ぶらの知的生産」では、特にウェブ時代の知的生産についても触れられている。

メタバースや暗号資産などの流行が見受けられるが、今一度、その基礎となるウェブについて、知見を広げたい方には非常にオススメの良書となるはず。

私も折を見て、読み返してみようと思う。

書籍紹介

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