箕輪厚介の略歴
箕輪厚介(みのわ・こうすけ、1985年~)
編集者。
東京都の生まれ。芝中学校・高等学校、早稲田大学第一文学部を卒業。双葉社を経て、幻冬舎に入社。
『怪獣人間の手懐け方』の目次
【目次】
PROLOGUE 人生は人との出会いで驚くほど変わる
CHAPTER 1 [生態編]怪獣人間とは何か
CHAPTER 2 [獲得目的編]怪獣人間と付き合うメリット
CHAPTER 3 [発見編]怪獣人間はどこにいる?
CHAPTER 4 [接触編]怪獣人間は初対面が9割
CHAPTER 5 [捕獲編]怪獣人間と渡り合うための掟
CHAPTER 6 [手懐け編]人間関係の三角形
CHAPTER 7 [人間対策編]プチ怪獣との付き合い方
CHAPTER 8 [怪獣人間図鑑編]怪獣人間はあまりにも魅力的だ
EPILOGUE 人間の歪さを面白がれると人生は面白くなる
※細かく68個の項目に分かれている。各CHAPTERの最後に「怪獣人間後略チェックシート」も。
『怪獣人間の手懐け方』の概要
2023年9月21日に第一刷が発行。クロスメディア・パブリッシング。302ページ。ソフトカバー。四六判。128mm✕188mm。
帯には「ベストセラー連発編集者のやばい人脈術」と書かれている。
「CHAPTER 8」では、多くの人物の名前が項目名に表記されている。
以下に列挙。
秋元康(あきもと・やすし、1958年~)…作詞家、音楽プロデューサー、放送作家。東京都目黒区の出身。中央大学文学部を中退。
井川意高(いかわ・もとたか、1964年~)…実業家。大王製紙創業家3代目。京都府京都市の生まれ、東京都の育ち。東京大学法学部を卒業。
西野亮廣(にしの・あきひろ、1980年~)…お笑いタレント、絵本作家。兵庫県川西市の出身。 兵庫県立川西緑台高等学校を卒業。NSC大阪校22期。
鈴木おさむ(すずき・おさむ、1972年~)…放送作家、実業家。本名は同音で漢字は、鈴木収。千葉県南房総市の出身。明治学院大学経済学部を中退。
西村博之(にしむら・ひろゆき、1976年~)…実業家。「2ちゃんねる」の開発者。通称、ひろゆき。東京都北区赤羽北の出身。中央大学文学部教育学科を卒業。
成田悠輔(なりた・ゆうすけ、1985年~)…経済学者、起業家。東京都北区の出身。東京大学経済学部を卒業、東京大学大学院経済学研究家修士過程を修了。マサチューセッツ工科大学でPh.D.を取得。
青木真也(あおき・しんや、1983年~)…格闘家。静岡県静岡市の出身。早稲田大学人間科学部を卒業。
ダルビッシュ有(ダルビッシュ・ゆう、1986年~)…プロ野球選手・投手。大阪府羽曳野市の出身。宮城県仙台市にある東北高等学校を卒業。
東谷義和(ひがしたに・よしかず、1971年~)…実業家。通称、ガーシー。兵庫県伊丹市の出身。阪南大学経済学部を卒業。
カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn Bichara、1954年~)…ブラジル出身の実業家。パリ国立高等鉱業学校にて技師免状を取得。
松浦勝人(まつうら・まさと、1964年~)…実業家、音楽プロデューサー。エイベックスの創業者。神奈川県横浜市の出身。日本大学経済学部産業経営学科を卒業。
『怪獣人間の手懐け方』の感想
出版に関連した人物や編集者には以前から興味がある。
幻冬舎を創業した見城徹(けんじょう・とおる、1950年~)。角川書店の創業者の息子・角川春樹(かどかわ・はるき、1942年~)。
新潮社で活躍した齋藤十一(さいとう・じゅういち、1914年~2000年)。講談社、光文社を経て、かんき出版を創業した神吉晴夫(かんき・はるお、1901年~1977年)。
文藝春秋社を創業した小説家・菊池寛(きくち・かん、1888年~1948年)などなど。
ここ数年で有名な編集者と言えば、幻冬舎の箕輪厚介。
『死ぬこと以外かすり傷』、『かすり傷も痛かった』も両方とも読んでいる。
ああ、雑誌の『サウナランド』も。
ひとつの時代を象徴する編集者であることは間違いないだろう。
そんな編集者・箕輪厚介が、どのように一筋縄ではいかない人物たちと親交を深めていったのか。その方法や技術について語られたのが、この『怪獣人間の手懐け方』。
いつものテイストで、読みやすく分かりやすい。
読書の習慣が無い人でも、サクサクと読んでいける構成とデザイン。ページ数はあっても、文章量は少ない。
編集者の仕事の基本は、人と出会い、信頼関係を構築すること。
そのため、コミュニケーションというか、人間関係について、なかなか勉強になったと思う。
「断られたらおしまいだ」と思えば、たしかに初対面は怖いし、ものすごく緊張してしまう。しかし、断られることはプロセスで、その人との関係性が始まったとポジティブにとらえられれば、何も怖くない。(P.91:CHAPTER 3 [発見編]怪獣人間はどこにいる?・NO.16 断られてからが交渉スタート)
断られることは、プロセスの一つ。そこから新しい足がかりや関係性を模索する。
これは面白いな。
他者の本で書かれていた「失敗も成功のためのプロセスの一つ」みたいなのと同様か。
まずは、ストレートにこちらの要望を伝えてみる。あるいは困りごとなどを聞いてみるなど。
ここでの「断られる」というのを、さらに細かく分析すると良いとのアドバイス。
今現在は、駄目かもしれないが、半年後や1年後なら良いのかもしれないなど。
となると、やはり基本的には物量が多いと良いのか。プールしておく、人物の量といったことか。
それ以前に、そのような興味深い歪な人物と会える環境に身を置くことや、アンテナを張り続けるというのも凄いけれど。
結果を出すために、絶対に結果を焦らない。狩猟でも同じことで、仕留めるのに焦り過ぎて獲物に気づかれたらチャンスは二度こない。いかに辛抱強く、その一瞬を待ち続けられるか。(P.138:CHAPTER 5 [捕獲編]怪獣人間と渡り合うための掟・NO.25 まじめ過ぎると仇になる)
待つこと。タイミングを測ること。その呼吸。
相手への思いやり。配慮。忖度。推測。
切り替え。
あとは、そのタイミングと自分のタイミングの合わせ方か。
自分のタイミングは無視するしかないか。余程のことが無い限りは。
基本的には、しっかりと、自分の軸を持ち、妥協ラインを明確にしておく。その範囲内で柔軟に対応するといった感じだな。
ちょっとした違和感があるなら、できるだけ早めに向き合って、小さなうちに衝突させる。嫌なことや都合の悪いことを見て見ぬふりしているうちに、その問題は解決不可能なほど大きくなってしまう。(P.147:CHAPTER 5 [捕獲編]怪獣人間と渡り合うための掟・菓子折りを持って謝りに行くな)
これも色々な本で書かれているポイントかも。
ビジネスコーチの高森勇旗(たかもり・ゆうき、1988年~)の『降伏論』にあったな。
早い段階で、違和感は解消しておく。こういったものは、後々大きな問題になってしまうため。
自分も経験しているから分かるな。早め早めに、サクッと指摘し、対処すべし。先手で、そういった穴を潰しておく。
申し訳ないけれど、自分はこうとしか生きられないという部分。それを日々、言葉にし、行動にし、認識していく。(P.204:CHAPTER 6 [手懐け編]人間関係の三角形・NO.42 自問自答の技術)
自分の本質。思考を言葉にする。自分を記述していく。自分の人生を組み上げていくこと。
結局のところ、強い自分を持っていないと、キャラクターの濃い人物たちとは渡り合えない。
そのために、常に自分を確認しておく。
その場合に役立つのが言葉。そこから行動して、現実へと落とし込んでいく。
またこの本で紹介されているような人間は、カリスマ性もあり、影響力もある。
そのような人物と、良い関係を持つには、適度に影響を受けない自分が必要。芯が必要といった感じか。
箕輪厚介は「こう生きたい」という自分自身のあり方について、毎朝ipadにメモして確認しているという。
メモというか、日記、自分自身への決意確認の作業が重要か。なるほど。
というわけで、ビジネスにおけるコミュニケーションや交渉力などの参考にもなる非常にオススメの本である。