『誰もが人を動かせる!』森岡毅

森岡毅の略歴

森岡毅(もりおか・つよし、1972年~)
マーケター。
兵庫県伊丹市の出身。兵庫県立伊丹高等学校、神戸大学経営学部を卒業。P&Gジャパンマーケティング本部を経て、USJに入社。2017年に独立して、マーケティング会社「刀」を創業。

『誰もが人を動かせる!』の目次

はじめに リーダーシップは身につけられる!
第1章 リーダーシップは“特別な人”の能力ではない
第2章 「人を動かす力」の根源は「欲の強さ」である
第3章 欲が足りない人はどうすればよいのか?
第4章 日本人のリーダーシップはなぜ育たないのか?
第5章 リーダーシップを育成しやすい環境へ泳げ!
第6章 仲間を本気にする関係性をどうやって築くのか?
第7章 私自身の悪戦苦闘のリーダーシップ
第8章 危機時のリーダーシップ~コロナ災厄から脱するために~
おわりに 未来は我々がつくる!

概要

2020年12月14日に第一刷が発行。日経BP社。299ページ。ソフトカバー。127mm×188mm。四六判。

副題は「あなたの人生を変えるリーダーシップ革命」。

数字と論理で、その状況に妥当な解を見つける。

人を巻き込むために、情緒にも論理的に訴える必要性がある。

結局のところ、人を動かすのは難しいけれど、人を上手に巻き込めば、それぞれの長所を活かして、大きなプロジェクトが実行できる。

その大きなプロジェクトによって、現実をより良い世界に変化させることが可能だ、という話の流れ。

また「第8章 危機時のリーダーシップ~コロナ災厄から脱するために~」には、章題にもある通り、新型コロナウィルスへの対策や方針、考え方についての記述も。

その中では、USJで指揮を執っていた当時、大雨によるJR西日本の運休に関しての遣り取りもある。

思考停止に陥らずに、職業使命を果たすという姿勢が表されている。

大きなプロジェクトを実行する際には、リーダーシップが必要になる。

そのための考え方、他者の巻き込み方、自分のモチベーションの保ち方などが、上手くまとめられた書籍。

感想

現状では、森岡毅の最新の書籍。

帯には「コロナ禍の出口戦略も!」との記述も。

人間の欲望を上手く利用する。ポジティブな欲望の活用といった感じ。

またモチベーションの保ち方も。別に誰かに褒められたいから、やっているわけではなく、自分のためにやっている。

物事は長丁場であるから、他人の目線や評価の奴隷になってはいけないとも。

この精神を基本にしておくと、長いビジネスキャリアを走り続けることができるという。

先述したとおり、第8章のJR西日本との遣り取りの部分が特に印象に残った。

鉄道は、二次元の軌道を走る乗り物。USJでは、三次元の軌道を走る乗り物を多数所有。そのUSJでの安全基準とノウハウ。

鉄道が止まれば、USJへ来る人の足にも大きな影響が出る。

簡単に鉄道を運休にしないで、大雨の時にも、安全に電車が運行できる設備投資が必要であるとの解を出し、提案しというエピソード。

またプロフェッショナルであれば、危機の時に、0でも100でもない、その間に、努力と知恵を振り絞って、解を見つけ出しなさいというアドバイスも。

何事かの「中止」という判断は、意思決定者の、ある種の責任逃れ的な「自己保存」ではないのかと推測している。

とはいえ、かなり知力と体力と精神力を持っているように思われる森岡毅。

「第3章 欲が足りない人はどうすればよいのか?」などには、その辺りの記述もある。

そのため、一般的な読者は、その中から、自分に合いそうなものを取捨選択して、日々の生活や仕事に落とし込むが良いだろう。

リーダーを目指す人も、目指さない人も、学びのある書籍。組織やチームで仕事をするためのヒントが多く掲載しているオススメの一冊である。

書籍紹介

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USJ:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

2001年にオープンした大阪にあるテーマパーク。

公式サイト:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン