成田修造の略歴
成田修造(なりた・しゅうぞう、1989年~)
起業家。
東京都北区の出身。城北中学校・高等学校、慶應義塾大学を卒業。
兄は経済学者で起業家の成田悠輔(なりた・ゆうすけ、1985年~)。
『逆張り思考』の目次
プロローグ すべては「一家離散」の危機からはじまった
第1章 人生で起こるすべては「明るい未来」への布石
第2章 自分の個性を見つけ、信じ、育てる
第3章 人生の8割は目標設定で決まる
第4章 常識を疑い、競争しないで勝とう
第5章 チャンスを見きわめ、運をつかみ取る
エピローグ 未来に賭ける
『逆張り思考』の概要
2023年7月28日に第一刷が発行。KADOKAWA。255ページ。ソフトカバー。128mm✕188mm。四六判。
副題は「戦わずに圧倒的に勝つ人生戦略」。
『逆張り思考』の感想
映像ディレクターの高橋弘樹(たかはし・ひろき、1981年~)のリハックの番組によく出ている人物・成田修造。
兄は経済学者で起業家でもある成田悠輔。何かと各種のメディアなどでも話題になりがちの人物。その弟が成田修造。
なかなか厳しい家庭環境で成長して、現在は兄弟でそれぞれの分野で活躍している。
前々から興味があり、書籍を出したということで、購入。
読みやすく、分かりやすい。構成や流れも良い。ただ兄弟のスペック、また父親のスペックも、かなりの上位層だと思った。
父は、進学校として知られる麻布中学校・高等学校を卒業後、早稲田大学に入学しました(ただし、早々に退学していた可能性があります)。(P.36:第1章 人生で起こるすべては「明るい未来」への布石・「捨てる」「逃げる」「辞める」は真の解決策にならない)
成田兄弟の父親は、早稲田に入学していたのか。
しかも、卒業しているのか、中退しているのかも不明という。
なかなかな感じだな。
麻布中学校・高等学校から、早稲田だと、ちょっとイマイチみたいな。というよりも、割と失敗気味なのか。
それで、成田悠輔は麻布中学校・高等学校を卒業後、一浪して東京大学文科二類に入学。
成田修造は、城北中学校・高等学校を卒業後、東京大学文科二類には2点足りずに不合格、浪人しないで慶應義塾大学経済学部に入学。
生活に困窮していたという話もあるが、兄弟で中学・高校ともに私立に通っているから、学費が家計を圧迫していたのか。
それとも、奨学金制度で敢えての私立なのか。
この辺りは、関東という土地柄と時代背景が正確に把握できないし、詳細な記述は無いので、不明。
資金的に厳しかったかもしれないが、勉強に関する遺伝的には、良い感じだったのかも。
46ページには、“兄・成田悠輔から受け取った「読書リスト」”も掲載されている。
【兄・成田悠輔から受け取った「読書リスト」】
・浅田彰『「歴史の終わり」を超えて』(中公文庫)
・浅見定雄『なぜカルト宗教は生まれるのか』(日本キリスト教団出版局)
・市川白弦『仏教者の戦争責任』(春秋社)
・大西巨人『精神の氷点』(みすず書房)
・鎌田慧『狭山事件』(草思社)
・柄谷行人『<戦前>の思考』(講談社学術文庫)
・小島信夫『抱擁家族』(講談社文庫)
・小室直樹『痛快!憲法学』(集英社インターナショナル)
・坂口安吾『堕落論』(新潮文庫)
・関曠野『民族とは何か』(講談社現代新書)
・田川建三『キリスト教思想への招待』(勁草書房)
・田口賢司『ラヴリィ』(新潮社)
・対馬斉『人間であるという運命』(作品社)
・遠山啓『無限と連続』(岩波新書)
・中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(河出文庫)
・蓮實重彦『スポーツ批評宣言』(青土社)
・平井宜雄『法律学基礎論覚書』(有斐閣)
・福田恆存『人間・この劇的なるもの』(新潮文庫)
・森川嘉一郎『趣都の誕生』(幻冬舎)
・吉本隆明・武井昭夫『文学者の戦争責任』(淡路書房)(P.36:第1章 人生で起こるすべては「明るい未来」への布石・社会と接続するには自分からアクションを起こす)
自分で自分の行動を意識的に変えようと思った著者・成田修造。
そこで、兄・成田悠輔に「読むべき本を教えてほしい」と伝えて、返ってきたのが上記のリスト。
ちなみに、これは、高校三年生の成田悠輔が、中学ニ年生の成田修造に渡した読書リスト。
どんだけレベルが高い兄弟なんだよ。
いや、自分が無知なだけで、他の人達は割と上記のリストの大半を読んでいるのかもしれないが。
『堕落論』は読んだことがあるけど他はないし。著者名しら知らないものも多い。うーむ、もっと読書したいところである。
その他に、『人間であるという運命』で興味を持ったカール・マルクス(Karl Marx、1818年~1883年)の『資本論』を読んだりしていたとの逸話も。
やはり『資本論』は重要か。
しかも、読書だけでなく、映画や音楽にも興味を持って吸収していったとか。
時間の使い方とかどうなんだろう。というよりも、読書のスピードも凄いんだろうな。バスケット好きで部活もやっていたから体力もあるという感じか。
体力は正義だな。
ちなみにこの本は全体を通して、色々な参考文献が具体的に紹介されている。
気になった本は、チェックしておいて、読み進めるのがオススメである。
それでも、踏みとどまる選択をしたのは、
「今ここであきらめても、問題を根本的に解決しなければ、次も同じだ」
と考え、発想を逆にして、
「この状況は、人生のヒントをつかみ取るチャンスだ」
「長い目で見たとき、今のこの状況は、自分の人生にとってプラスになる」
と、解釈を変えたからです。(P.67:第1章 人生で起こるすべては「明るい未来」への布石・事実は変えられなくても解釈は変えられる)
解釈を変えるしかない。根本的な問題を直視する。逆境や困難を今後の人生のより良いヒントとして捉える、というもの。
ここでは、学生でありながら執行役員という立場で参画した企業でのエピソード。
上場したことで、社内の環境は激変。組織の不和。新会社の設立と解散。役員同士の対立。などなど。
かなりストレスフルで危ない状況になったという。
ただそこで、冷静に分析して対処していった著者。その後、4年を掛けて、会社も業績も生まれ変わった。
めでたし、めでたし。というもの。
メンタルも強いのか。シンプルに冷静なのか。
一つ一つの問題を解決していくことか。
落ち込んでいるだけでは、状況は何も変わらない。1日落ち込んでも、3日、1週間、1ヵ月落ち込んでも、問題解決に役立たないのであれば、落ち込む時間を短くして次に進んだほうがいいはずです。(P.165:第3章 人生の8割は目標設定で決まる・「落ち込むのは時間の無駄だ」と思い込み、すぐに立ち直る)
先述の部分と同様の考え方。
解釈を変えるに加えて、落ち込んでも意味がないと割り切る。
その後に具体的に、失敗の原因と今後の改善策を考える。具体的に言語化する。
落ち込んでいる時間は、思考停止でもある、との指摘も。なるほど。そうだよな。やはり言語化していくのが良いのか。
「失敗は欠かせないもの」と考えて、やり続けることで、目標達成に近づけるのです。(P.169:第3章 人生の8割は目標設定で決まる・「落ち込むのは時間の無駄だ」と思い込み、すぐに立ち直る)
失敗は必要なものと考える。
成功率1%でも、100回やれば約6割の確率で当たる。459回やれば、約99%の確率で当たる、という確率の話も。
成功確率の計算式。1-(99/100)^n。
nに100を入れると、≒0.634となる。
nに459を入れると、≒0.991となる。
回数として、100回、459回というのは、頭に入れておくと良い数字か。
数学者の遠山啓(とおやま・ひらく、1909年~1979年)の『無限と連続』が、読書リストにあったので、自分も読んでみようかな。
『数学入門・上』、『数学入門・下』、『数学の学び方・教え方』とか面白そうだし。
閑話休題。
そんなわけで、成田修造の生い立ちと考え方を学んだり、影響を受けた本を知ったりできる、非常にオススメの本である。