『宮本輝の本~記憶の森~』宝島社

宮本輝の略歴

宮本輝(みやもと・てる、1947年~)
小説家。
兵庫県神戸市の生まれ。私立関西大倉中学校・高等学校を卒業。追手門学院大学文学部を卒業。広告代理店で勤務後、1977年『泥の河』で、第13回太宰治賞を受賞しデビュー。1978年に『螢川』で、第78回芥川賞を受賞。本名は、宮本正仁(みやもと・まさひと)。

『宮本輝の本~記憶の森~』の目次

宮本輝の解体新書
宮本輝の歴史
宮本輝✕中村邦夫
宮本作品の入試問題にレッツ・チャレンジ
コラム
グラビア
宮本輝✕森南海子
作品紹介 1977~2004
宮本輝の世界
作品世界
宮本輝の「書く」ということ
直筆原稿「あとがき」
別冊 特別書き下ろし小説『スワートの男』

概要

2005年4月15日に第一刷が発行。宝島社。143ページ。ソフトカバー。182mm×257mm。B5判。

小説家・宮本輝が全面監修したファンブック。ロングインタビューや宮本輝と交流のある人々との対談。作品紹介や未公開写真なども豊富に取り揃えた一冊。

対談の相手は以下の二人。

中村邦夫(なかむら・くにお、1939年~)…松下電器産業(パナソニック)の元社長。滋賀県の生まれ。大阪大学経済学部を卒業。読書家であり、宮本輝のファンでもある。

森南海子(もり・なみこ、1934年~)…服飾デザイナー、エッセイスト。大阪府大阪市の出身。大阪府立北野高等学校を卒業。ラジオの対談で宮本輝と知り合い交友を深める。

「宮本輝の世界」では、兵庫県伊丹市と長野県北佐久郡軽井沢町にある書斎をカラー写真と共に紹介。

別冊として、16ページの描き下ろしの短編「スワートの男」も。

感想

宮本輝の作品は、かなりの量を読んでいると思う。

小説も好きではあるが、『二十歳の火影』『命の器』などの随筆が特にお気に入りである。

20歳くらいの時に、読み漁ったような記憶がある。

ある作家を好きになると、その大半の作品を読もうとしてしまう。

そんな好きな作家の一人が宮本輝である。

少し宮本輝の作品から離れていた時に出版されたのが、この『宮本輝の本~記憶の森~』

思わず購入して、一気に読んでしまった。

写真が豊富に掲載されているのも特徴の一つかもしれない。

51ページには「わがゴルフ仲間たち」というタイトルで、年に一度の宮本輝が主催するゴルフコンペ“たのしみな杯”の集合写真。

講談社、集英社、文藝春秋、嶋中書店、幻冬舎、新潮社、光文社の社員たちが参加している。

幻冬舎の社長である見城徹(けんじょう・とおる、1950年~)が写っているのも面白い。

「宮本輝の解体新書」では、幼少期からデビューまでのエピソード、“宮本輝の「書く」ということ”では、創作に関する話などのインタビューも。

それぞれ、細かい逸話も出てくるので非常に興味深く読める内容。

ユーモアやウィットというか、ポップな雰囲気も良い。

「作品紹介 1977~2004」では、かなり詳細に作品が紹介されている。

まだ読んでいないものがあれば、こちらを参考にするのも良いし。ここを参考に読む順番を考えていくのも。

また読んだ本を自分の感想と、照らし合わせながら確認するのも、なかなか楽しめる。

エッセイなどでは触れられない部分なども多々あるので、非常に面白い。

というわけで、宮本輝のファンであれば、必読の書であり、非常にオススメの一冊である。

書籍紹介

関連書籍

関連スポット

宮本輝ミュージアム

宮本輝ミュージアムは、大阪府茨木市の追手門学院大学付属図書館にある宮本輝の文化施設。学校法人追手門学院の創立120周年を記念して2008年に開設。宮本輝は、追手門学院大学の第一期の卒業生。

公式サイト:宮本輝ミュージアム

以前に行ったことがある。なかなか綺麗な感じの館内。宮本輝の講演会の映像を個別で借りて、館内で視聴できたのは、とても良かった。

ファンであれば、一度は訪問してみるのが良いかと思う場所である。

大阪府立中之島図書館

大阪府立中之島図書館は、大阪府大阪市北区中之島一丁目にある1904年に開館の公共図書館。

宮本輝は浪人生時代に通って、ロシア文学とフランス文学に耽溺したという。

実際に訪問したことがあるが、ルネッサンス様式の外観もバロック様式の内観も、非常に素晴らしく、知的な雰囲気に満ち溢れた場所。

公式サイト:大阪府立中之島図書館