- 質問型営業の核心
- 顧客選定と聞く力
- 信頼に基づくクロージング
- 紹介の仕組みと信念
青木毅の略歴・経歴
青木毅(あおき・たけし、1955年~)
営業コンサル。
大阪工業大学を卒業。飲食業・サービス業・不動産業を経て、米国人材教育会社代理店に入社し、後に独立。
『質問型営業でトップセールスになる絶対法則』の目次
はじめに なぜ、たった3か月で1年の予算を上回る数字を達成できるのか?
第1章 トップセールスはお客様を選んでいる
3回確かめれば売れるかわかる
商品で引き付けるのではなく、共感で引き寄せる
実績が上がった企業の業界・個人と同じタイプを徹底的に狙う
お客様が質問してきたときが見極めのポイント
見込み客をランク分けして、育てていく
第2章 トップセールスはお客様に話をさせるのがうまい
初めて会う場合に主導権を握る方法
会ってすぐ商品の説明をしない
すぐ売らずに、お客様のためになるかを見極める
第3章 トップセールスは断れることが100%ない
問題がはっきりすれば、お客様からお願いされる
商品を手にしたときの「価値」を感じさせることで楽に売れる
相手のために行動すると、後ろめたさが一切なくなる
一流の役者のように、感動を演出できる
第4章 トップセールスは契約で追い込まない!
最高のクロージングは、お客様に商品の良さを語らせる
見切り発車せず、相手から「欲しい!」と言わせる
テストクロージングを使い倒す
役立たないと感じたら思い切って断る!
「もう少し考えさせて」から、一気に契約につなげる方法
第5章 トップセールスはお客様に営業してもらう
売ったあとが、真のスタートである
買ったあとの効果を確認するだけで、口コミが始まる
お客様の感謝の声が成約率を高める
率先してお客様から紹介先を紹介される
第6章 トップセールスは自分にセールスできている
自分の買いたい商品を売っているか?
商品を買ったらどうなるかをイメージできているか?
お客様に喜ばれ、自分も喜べるセールスをしているか?
私から買うことがベストな選択と言い切れるか?
お客様のいいところを見て、応援したいと思っているか?
セールスで役立つことが使命だと思っているか?
第7章 確固たる信念が真のトップセールスを育てる
目標にコミットしていく生き方をする
うまくいかない理由より、何をすればいいかを考えている
買ってもらうのではなく、売ってあげる
お客様は神様ではない。お客様は患者と思え
おわりに
『質問型営業でトップセールスになる絶対法則』の概要・内容
2019年9月18日に第一刷が発行。ダイヤモンド社。214ページ。ソフトカバー。127mm×188mm。四六判。
副題は「新人でも3か月で1年の予算を達成できる!」。
正確には、題名の前に「3万5000人を指導してわかった」が付く。
『質問型営業でトップセールスになる絶対法則』の要約・感想
- トップセールスは「選ぶ」意識から始まる
- 主導権を握る「聞く力」の極意とは
- 「相手のため」が生む、断られない営業
- 最高のクロージングは顧客の「欲しい!」
- 顧客が次の顧客を呼ぶ「紹介の連鎖」
- 自身を納得させる「内なるセールス」
- 「売ってあげる」境地へ至る信念とは
- 明日から実践できる「質問型営業」の真髄
営業成績に伸び悩む方、お客様との関係構築に課題を感じている方へ。
本記事では、青木毅(あおき・つよし、1962年~)の著書『質問型営業でトップセールスになる絶対法則』の内容を、具体的な引用と共に深掘りし、その核心に迫る。
本書は、従来の押し売り型の営業とは一線を画し、顧客との信頼関係を築きながら自然と成果を上げるための「質問型営業」という手法を提示している。
この記事を読めば、あなたもトップセールスの思考法と実践術を理解し、明日からの営業活動に活かせるヒントが見つかるはずである。
トップセールスは「選ぶ」意識から始まる
多くの営業パーソンが「誰にでも売らなければならない」というプレッシャーを感じているかもしれない。しかし、本書の著者である青木は、トップセールスは「お客様を選んでいる」と断言する。
これは傲慢な態度ではなく、限られた時間とエネルギーを最大限に活用し、双方にとって実りある関係を築くための戦略なのである。
では、トップセールスはどのような特徴を持っているのだろうか。
私から見るトップセールスの特徴は、「堂々としている」「下手にでない」「人の話をちゃんと聞く」「共感する」です。(P.24「第1章 トップセールスはお客様を選んでいる」)
ここで重要なのは「下手にでない」という姿勢である。
どのような相手に対しても媚びへつらうことなく、対等な立場で接することが信頼感を生む第一歩となる。「堂々としている」ことも同様で、自信のなさは相手に不安を与える。
かといって、尊大な態度を取るのではなく、落ち着いた、ドッシリとした構えが求められるのだ。
そして、「人の話をちゃんと聞く」「共感する」という傾聴と共感の姿勢こそが、質問型営業の根幹を成す。
顧客を見極める具体的な手法として、青木はシンプルな3つの質問を提示する。
①「現在はどういう状況ですか?」(現状)
②「障害になっているものはないですか?」「何が問題ですか?」(障害)
③「何をしていますか?」(解決策)(P.38・39の抜粋「第1章 トップセールスはお客様を選んでいる」)
この質問の流れは、まず相手の「現状」を正確に把握し、次に抱えている「障害」や「問題」を明確化する。
そして最後に、その問題に対して現在「何をしているか」、つまり相手自身が考えている「解決策」を尋ねるというものだ。
これは、営業パーソンが一方的に商品を売り込むのではなく、顧客自身に問題意識を持たせ、共に解決策を探るというスタンスの表れである。
このプロセスを通じて、顧客が本当に自社の製品やサービスを必要としているのか、そして自分自身がその手助けをできるのかを見極めることができる。
ある程度、営業経験を積んでいれば自然と行なっているプロセスかもしれないが、これを意識的に、かつ効果的に行うことが重要なのである。
実績が上がった既存顧客の業界や、その担当者と同じタイプの見込み客を狙うこと、お客様からの質問内容で本気度を見極めること、そして見込み客をランク分けして育成していくことなど。
第1章では効率的かつ効果的なターゲティングの重要性が説かれている。
主導権を握る「聞く力」の極意とは
営業の場面、特に初対面の顧客と会う際には、どちらが会話の主導権を握るかがその後の展開を大きく左右する。しかし、ここでいう主導権とは、一方的に話し続けることではない。
むしろ、トップセールスは「お客様に話をさせるのがうまい」のである。
会ってすぐに商品の説明を始めてしまうのは、典型的な失敗例だ。相手の状況やニーズを理解しないままでは、どんなに優れた商品でも響かない。
まずは相手に心を開いてもらい、本音を引き出すことが先決である。そのために、質問を通じて相手に多くを語らせ、その中から課題や要望を丁寧に拾い上げていく。
この「聞く力」こそが、信頼関係を構築し、真のニーズを探り当てる鍵となる。
そして、すぐに売ろうとしない姿勢も重要である。焦りは禁物であり、まずはお客様にとって本当に役立つのかを冷静に見極める。
場合によっては、自社の商品が最適ではないと判断することもあるだろう。そのような誠実な態度は、短期的な売上には繋がらなくても、長期的な信頼関係を育む上で不可欠なのである。
「相手のため」が生む、断られない営業
営業活動において、「断られることへの恐怖」は多くの営業パーソンが抱える悩みであろう。
しかし、青木は「トップセールスは断られることが100%ない」と述べる。これは一体どういうことなのだろうか。
その答えは、営業活動の根本的なスタンスにある。
結局、セールスは、「自分のためか?」「相手のためか?」のどちらかしかないのです。自分のためであれば、相手に買ってもらうために、自分を気に入ってもらうよう、下手に出ます。
相手のためであれば、自分のことは関係ないので、正々堂々としていられます。自分がどう評価されても関係ありません。買ってもらう、もらわないはあくまでお客様が判断するもの。相手のために話をするので、後ろめたいことは微塵もありません。(P.84「第3章 トップセールスは断れることが100%ない」)
この言葉は、営業の本質を鋭く突いている。
もし自分の成績や評価のためだけに営業をしているのであれば、それは「買わせる」ための行動となり、どうしても下手に出たり、相手の顔色をうかがったりすることになるだろう。
そして、このような姿勢は往々にして相手に見透かされ、不信感や警戒心を与えてしまう。
一般的に、セールスや営業という行為には、どこか「売り込まれる」というネガティブなイメージや、営業する側にも「後ろめたさ」が伴うことがあるかもしれない。
しかし、営業の出発点が純粋に「相手のため」であるならば、状況は一変する。
自分の評価は二の次であり、ただ相手の問題解決に貢献したいという一心で話をする。そこには何のやましさもなく、正々堂々とした態度で臨むことができる。
商品を買うか買わないかは、最終的にはお客様が判断することであり、自分はその判断材料を誠実に提供するだけである。
このスタンスであれば、たとえ契約に至らなかったとしても、それは相手にとって必要がなかったというだけのことであり、断られたという感覚にはならない。
むしろ、無理に売り込まなかったことで、相手との良好な関係は維持されるかもしれない。
問題が明確になり、その解決策として自社の製品やサービスが最適であると顧客自身が認識すれば、自然と「お願いされる」状況が生まれる。
商品そのものの機能やスペックを説明するだけでなく、それを手にしたときにお客様が得られる「価値」を具体的に感じさせることが重要なのである。
それは、問題解決による安心感であったり、目標達成による喜びであったりする。
そして、相手のために行動するという純粋な想いは、営業パーソン自身の心の持ちようにも影響を与える。後ろめたさが一切なくなることで、自信を持って提案できるようになる。
さらに、一流の役者が観客に感動を与えるように、顧客の感情に訴えかけるようなプレゼンテーションやコミュニケーションを意識することで、より深い共感と納得を得ることができるのである。
最高のクロージングは顧客の「欲しい!」
営業プロセスにおいて、クロージングは最も神経を使う場面の一つであろう。
強引に契約を迫れば顧客は引いてしまうし、かといって弱気では契約を逃してしまうかもしれない。しかし、質問型営業におけるクロージングは、従来の「追い込む」イメージとは全く異なる。
本書で青木は、「最高のクロージINGは、お客様に商品の良さを語らせる」ことだと説く。
これは、営業パーソンが一方的に商品のメリットを並べ立てるのではなく、質問を通じてお客様自身に商品の価値を再認識させ、自らの口で「欲しい」と言わせるアプローチである。
そのための具体的な手法として、プレゼンテーション後に行うべき質問が紹介されている。
プレゼンテーション終了後に、商品について「どのように感じるか」「どのように思うか」「何がよかったのか」「役立ちそうか」「何かわからないところはないか」など、いいところだけを引き出すように徹底的に聞くのです。(P.100「第4章 トップセールスは契約で追い込まない!」)
これらの質問は、一見すると単純な確認作業のように思えるかもしれない。
しかし、その意図は深く、顧客が商品に対して抱いたポジティブな感情やメリットを、顧客自身の言葉で明確化させることにある。
相手が「この商品は自分の問題を解決してくれる」「これを使えば目標を達成できる」と心から納得し、その商品を採用したいと強く思うよう導くのである。
確かに、これらの質問は「良い点を引き出すための質問」であり、ある種の誘導尋問と捉えることもできるかもしれない。
しかし、それは顧客を騙すためのものではなく、顧客自身がまだ気づいていないかもしれない商品の価値や、自身のニーズとの適合性を再発見させるための手助けなのである。
顧客の要望を真に叶え、問題解決に繋がるのであれば、それは双方にとって有益なプロセスとなる。
見切り発車で契約を急かすのではなく、相手から「欲しい!」という言葉が自然に出てくるのを待つ。そのために、テストクロージングを効果的に使い、顧客の購入意思の温度感を細かく測る。
そして、もし自社の商品が顧客の役立たないと感じたならば、勇気を持って「断る」ことも時には必要である。それは、顧客に対する誠実さの証であり、長期的な信頼関係を損なわないための賢明な判断と言えるだろう。
「もう少し考えさせてください」という顧客の返答は、多くの営業パーソンにとって悩ましいものだが、本書ではそこから一気に契約に繋げるための具体的な対処法も示されている。
それは、単に時間を与えるのではなく、顧客が何を迷っているのか、何に不安を感じているのかを的確に把握し、その懸念を解消するための追加情報を提供したり、再度質問を通じて価値を共感させたりすることなのである。
顧客が次の顧客を呼ぶ「紹介の連鎖」
一度商品を売ったら終わり、ではない。むしろ、トップセールスにとって「売ったあとが、真のスタートである」と青木は言う。
顧客が商品やサービスを実際に利用し、その効果を実感することで、満足度は高まり、さらには新たなビジネスチャンスへと繋がっていくのである。
その最も効果的な形が「口コミ」であり「紹介」である。顧客が購入後に得られた具体的な効果やメリットを確認し、その喜びを共有するだけで、自然と良い評判は広がっていく。
そして、顧客からの感謝の声は、何よりもの説得力を持ち、他の見込み客の成約率を高める強力な武器となる。
本書では、さらに一歩進んで、積極的に顧客から紹介先を紹介してもらうための具体的な仕組みについても触れられている。
①保険の説明を理解いただけたかをアンケートで聞く
②面会で印象に残っていることを3つ書いてもらう
③紹介者5名を書いてもらう(P.152「第5章 トップセールスはお客様に営業してもらう」)
これは保険営業の例として挙げられているが、非常に戦略的なアプローチである。
セールスの直後にアンケートという形で、顧客満足度を確認しつつ、自然な流れで新規の顧客を紹介してもらう設計になっている。
特に「面会で印象に残っていることを3つ書いてもらう」という項目は、顧客自身にセールスプロセスを振り返らせ、ポジティブな点を再認識させる効果もあるだろう。
確かに、このような直接的な紹介依頼は、業種や顧客との関係性によっては露骨すぎると感じるかもしれない。BtoBのビジネスであれば、もう少し慎重なアプローチが必要となるだろう。
しかし、その根底にある考え方は共通している。
それは、満足してくれたお客様に対して、
「もし周りに同じようなことで困っている方がいらっしゃれば、私のことをお伝えいただけると嬉しいです」
といった形で、緩やかに紹介を促すことの重要性である。
大切なのは、顧客が「この人なら安心して紹介できる」と感じるような信頼関係を日頃から築いておくこと、そして、紹介が生まれやすいような「仕組み」を意識的に作っておくことなのである。
自身を納得させる「内なるセールス」
これまで、顧客に対するアプローチとしての質問型営業について見てきたが、青木はさらに重要な視点を提示する。それは、「トップセールスは自分にセールスできている」ということである。
つまり、自分が扱う商品やサービスに対して、誰よりも深く理解し、その価値を確信しているかどうかが問われるのだ。
説得しない代わりに「お客様に納得を与える」のです。言い方を変えると、「お客様を動かそうとせず、お客様が自ら動くように仕向ける」です。「自ら動くように仕向ける」には、お客様に質問をして、お客様の中にある問題をその商品を買えば解決できることをわかってもらうことです。(P.168「第6章 トップセールスは自分にセールスできている」)
この「説得しない代わりに納得を与える」という考え方は、質問型営業の核心の一つである。
無理強いするのではなく、顧客が自らの意思で「これが欲しい」「これが必要だ」と感じ、自然に動いてもらえるように誘導する。
そのためには、まず営業パーソン自身が、その商品が顧客の問題を本当に解決できると心の底から信じている必要がある。
自分が本当に買いたいと思う商品を売っているだろうか?
その商品を買ったら顧客がどう変わり、どのような素晴らしい未来が待っているかを具体的にイメージできているだろうか?
顧客に喜ばれ、そして自分自身も心から喜べるようなセールスをしているだろうか?
私から買うことが、お客様にとってベストな選択だ」と胸を張って言い切れるだろうか?
これらの自問自答は、営業パーソンが常に持ち続けるべきものである。
もし、これらの問いに対して明確な答えを持てないのであれば、それは顧客にも伝わってしまうだろう。自信のなさや迷いは、言葉の端々や態度に表れ、説得力を著しく低下させる。
逆に、自分が扱う商品やサービスに絶対的な自信と誇りを持ち、顧客の成功を心から願う気持ちがあれば、それは自然と熱意となって伝わる。
顧客のいいところを見つけ、その成長や問題解決を応援したいという純粋な想いが、信頼関係をより強固なものにする。
そして、セールスという仕事を通じて顧客に役立つことが、自分自身の使命だと感じられるようになるのである。
「売ってあげる」境地へ至る信念とは
営業の世界では、「お客様は神様です」という言葉が長らく金科玉条のように扱われてきた。
しかし、青木はこれに対して明確に異を唱え、「お客様は神様ではない。お客様は患者と思え」という衝撃的な提言をする。
これは、顧客を軽んじるという意味では決してない。むしろ、専門家としての立場から、顧客が抱える問題「病」を的確に診断し、最適な処方箋「解決策」を提示するという、プロフェッショナルとしての責任感を表している。
そして、トップセールスが目指すべき境地として、次のような言葉が示されている。
真のトップセールスは「売る」から「買ってもらう」へ
そして、「売ってあげる」の境地に立っている(P.205「第7章 確固たる信念が真のトップセールスを育てる」)
この言葉は非常に示唆に富んでいる。「売る」という行為は、どうしても営業パーソン主体のイメージが強い。
そこから一歩進んで「買ってもらう」というステージは、顧客の意思を尊重し、納得の上で購入してもらうという姿勢である。
そして、最終的に「売ってあげる」という境地。これは、単に商品を供給するというレベルを超え、顧客が抱える問題を解決し、より良い未来へと導くために、専門家として価値を提供するという高い意識の表れと言えるだろう。
この境地に至るためには、商品知識はもちろんのこと、顧客の業界や課題に対する深い洞察、そして何よりも顧客の成功を願う確固たる信念が必要となる。
現状、安売りすることなく、依頼された案件を着実にこなしているという方もいるかもしれない。
しかし、さらに上を目指すのであれば、より積極的に価値を提供し、「あなたから買いたい」「あなたに解決してほしい」と言われる存在になる必要がある。
そのためには、人脈を広げ、口コミや紹介が自然と生まれるような関係性を構築していくことが求められる。
本書の教えは、単なる営業テクニックに留まらない。
目標にコミットする生き方、うまくいかない理由を探すのではなく、何をすればうまくいくかを常に考える前向きな思考、そして何よりも顧客への貢献を第一とする姿勢。
これら全てが、真のトップセールスを育てるための確固たる信念となるのである。
明日から実践できる「質問型営業」の真髄
青木毅の『質問型営業でトップセールスになる絶対法則』は、非常に読みやすい文章で書かれており、ページ数も適度であるため、忙しいビジネスパーソンでも手に取りやすい一冊である。
具体的な事例や言い回しが多く、すぐに実践できる内容が多いのも特徴だ。
本書を通して一貫して語られるのは、「相手に話をさせる」ことの重要性である。
そして、それは単に情報を引き出すためだけではなく、顧客自身に問題意識を持たせ、解決への意欲を高めさせるための戦略的なコミュニケーションなのである。
営業パーソンと顧客、双方にとってメリットのある着地点を見つけ、誰も不幸にならないような取引を目指す。そのための具体的な「型」が、この質問型営業には詰まっている。
特に、これまでセールスプロセスの中に「紹介」までを明確に設計として組み込むという発想がなかった方にとっては、大きな気づきがあるだろう。
情報量としては決して多くはないかもしれないが、その分、本質的なエッセンスが凝縮されており、あっという間に読めてしまう。
しかし、その内容は深く、繰り返し読むことで新たな発見があるはずだ。
この本で語られるトップセールスの法則は、小手先のテクニックではなく、顧客との長期的な信頼関係を築くための普遍的な原理原則である。
新入社員からベテランのビジネスマンまで、営業という仕事に関わるすべての人にとって、一読の価値ある一冊と言えるだろう。
本書を手に取り、質問型営業の奥深さに触れてみてはいかがだろうか。
あなたの営業スタイルに、そしてビジネスにおける人間関係構築に、新たな視点をもたらしてくれるに違いない。
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