森岡毅の略歴
森岡毅（もりおか・つよし、1972年～）
マーケター。
兵庫県伊丹市の出身。兵庫県立伊丹高等学校、神戸大学経営学部を卒業。P&Gジャパンマーケティング本部を経て、USJに入社。2017年に独立して、マーケティング会社「刀」を創業。
『マーケティングとは「組織革命」である。』の目次
はじめに 一人でも会社に変化は起こせる！
第一部 組織に熱を込めろ！
第1章 USJを劇的成長に導いた森岡メソッド
第2章 マーケティング革命とは「組織革命」である。
第3章 理想の組織とは「人体」である。
第4章 人間の本質とは「自己保存」である。
第5章 社員の行動を変える「3つの組織改革」
第二部 社内マーケティングのススメ
第6章 自分起点で会社を変える個人技
第7章 あなたは一体何を変えたいのか？（目的の設定）
第8章 成功のカギはターゲット理解が9割（WHO）
第9章 何が相手に響くのか？（WHAT）
第10章 伝え方の技術（HOW）
第三部 成功者の発想に学べ！
鈴木敏文
秋元康
佐藤章
佐藤可士和
終章 マーケティングの力で日本を元気に！
概要
2018年5月28日に第一刷が発行。日経BP社。350ページ。ソフトカバー。127mm×188mm。四六判。
副題は「個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド」。
会社やチームなどでマーケティングを実行するには、組織的な施策が必要となる。
そのための組織づくりや組織を個人で動かすための方法を説いた本。
ビジネスを実行する組織の主な機能を4つに大別。
組織マネジメント機能、マーケティング機能、ファイナンス機能、生産マネジメント機能。この4つが会社の業績を支える。
土台となるのが組織マネジメント機能。その上に、マネジメント機能、ファイナンス機能、生産マネジメント機能の3つ柱が立つイメージ。
組織の理想は、人体と同様に、共依存関係。人体の各臓器には、上下関係はなく、また足の引っ張り合いもない。
そのような組織の体制を整えるには、仕事とプライベートを明確に分ける事が重要。
変革に必要なのは、人間の本質に合わせた対策。人間の本能として、変革を拒むようにできている。
その本能に対して上手に対処するには、マーケティングや意思決定、評価報酬といったシステムの構築が根幹となる。
また、会議やプロジェクトを進める上でのターゲットを選定する際のポイントとして、「第8章 成功のカギはターゲット理解が9割（WHO）」の229ページに記載も。
「意志決定者は誰か？」
「合意形成の重心になる人は誰か？」
「提案を潰せる人がいるとすると誰か？」
上記の3つを押さえる事が大切というアドバイスも。
その他に第三部では、各業界の第一線で活躍する人々との対談も。
鈴木敏文（すずき・としふみ、1932年～）…セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問。
秋元康（あきもと・やすし、1958年～）…作詞家。
佐藤章（さとう・あきら、1959年～）…湖池屋社長。
佐藤可士和（さとう・かしわ、1965年～）…SANURAI クリエイティブディレクター。
マーケティングに即した組織をつくるための方策が詰まった一冊である。
感想
経験が豊富で事例も具体的で分かりやすい。
一般的にマーケティングという言葉は「販売プロモーションの仕事」として狭義となるが、森岡毅の考えるマーケティングとは「市場価値を想像する仕事全般」。
そのために必要なのが組織革命。組織の構造を変更する事で、よりマーケティングが実行しやすい環境が出来るという話。
森岡毅の書籍では、人間の動物としての本能などに即した対応が書かれているが、この本も同様に、その点に触れている。
つまり、人間の深い本能に対処する術が書かれている。結論としては、各種のシステムづくりである。
また消費者のためのマーケティングだけではなく、組織の中で活躍するための自分のためのマーケティングについても書かれている点が特徴である。
組織の中で、どのように動いて、結果を残すのかという事。
そのためには3つのポイントが「第6章 自分起点で会社を変える個人技」の196ページに。
「自分の属する組織と、上位組織、下位組織、それぞれの目的と戦略は何か？」
「それぞれの重要事項における意志決定者は誰なのか？」
「上司と、その上司、それぞれの評価が何によって決まるか？」
上記の3つである。
その他に、会議で夢中になって自己の主張ばかりする人を止めるテクニックとして、その相手の名前を笑顔で、繰り返し呼び続けるという方法も紹介。
組織を変革したい人、組織的なマーケティングを実施したい人、チームで結果を残したい人などに非常にオススメの一冊である。
書籍紹介
関連書籍
関連スポット
USJ：ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
2001年にオープンした大阪にあるテーマパーク。
公式サイト：ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
