『プロ法律家のビジネス成功術』金森重樹

金森重樹の略歴

金森重樹(かなもり・しげき、1970年~)
行政書士、経営者。
東京大学法学部を卒業。

『プロ法律家のビジネス成功術』の目次

はじめに
PART 1 成功への心構えとメカニズム
PART 2 「資格」だけで食えるほど甘くない
PART 3 「お客・情報・金」が集中するビジネス戦略
PART 4 ベンリで効果的な集客手法
PART 5 価値の再定義でさらに大きく稼ぐ

※実際にはそれぞれのPARTごとに、小テーマがあり、トータルで45個に分かれている。

概要

2012年8月31日に第一刷が発行。PHPビジネス新書。200ページ。

感想

ネットで知った本。内容をサラッと確認して、面白そうだったので購入。

結論としては、とても面白かった。

お金を使うこと。借りること。そして、収益を上げること。技術や資格を利用して、業界やビジネスに入り、別軸で収益を上げるという発想。

特にお金を使うという点。広告に使ったり、人に使ったりが重要なのか。もちろん、リターンを期待して。

あとは、自分の体験や考えを重視する。つまりは、自分で積極的にリスクを取っていく方法。勉強になる。また、顧客への定期的な連絡なども。

年に一回くらいは再読するのも良いかも。

最初からわかっていたら、誰だって50万円出します。そうではなくて、誰も保証してくれないところにお金を躊躇なく捨てることが大切なのです。(P.26:成功への心構えとメカニズム・②なぜ半年間、広告を出し続けられない?)

ここに到るまでに「お金を捨てる勇気を持とう」という話も。

リスクを取って、お金を使う、むしろ、お金を捨てる、という勇気が必要。特に広告費など。あるいは、営業費についても。

そして、保証や安定が欲しいのであれば、サラリーマンをやっていて下さい、といった意見も。

なかなか、お金を捨てる、という勇気は持てないが、なるべく、将来的な投資となるように、回収できるような形を期待して、お金を前向きに使っていきたい。

自分の強みを生かせる市場で、自分のルールで戦うというのが商売の鉄則です。(P.93:PART 2 「資格」だけで食えるほど甘くない・⑱強みが生かせる市場での戦い方)

やはり、自分の強みを出すことが重要。その市場や環境を探す。そして、自分のルールで戦うのか。

なるほど。

これは、いろいろな人が言っているな。弱みを克服するよりも、強みをさらに伸ばせとか。

まぁ、自分の性格を知ったり、回りの人から強みを聞いてみるのも良いのかも。

意外と自分の強みというのは、当たり前過ぎて自分では分からない場合も多いし。

実際に自分も読書や執筆のスピードが平均より下なのか上なのか分からないし。いや、下ということは無いとは思うけれど。

どの程度、上なのかは分からないし。

アポ取りのために電話をかけていきます。その段階で「ご説明に納得していただければ、業務の依頼を検討するご予定がありますか?」と、こちらから先手で聞きます。(P.157:PART 4 ベンリで効果的な集客手法・㉞せっかく集めた反応が受注につながらないわけ)

注意点として、見込み客の中に、単なる無料で情報を知ろうとする「教えて君」が混じっていること。

そのために、受注の可能性が高いお客さんを優先にして、連絡をする。その際に先手で、上記のように、依頼の可能性を明確に聞く、というもの。

すると「教えて君」を排除しやすくなる。

この辺りも自分の中で、しっかりと無料と有料の範囲を区分しておくことかな。

「こちらから、電話します」といっている客が、自分から電話するはすがありません。他の事務所をハシゴして、相談しているのが落ちです。あるいは、あなたのことを完全に忘れ去っています。(P.161:PART 4 ベンリで効果的な集客手法・㉟メールの相談にはメールで回答するな)

基本的には、お客さんはあたなのことなど忘れていますよ、という話。

この前提は大事かも。一応、プッシュするのは大事か。

ある程度の粘り強さか。プッシュの間隔も考慮が必要だな。

キーエンスのように、システム化しておくのが楽なのかもな。

相手に期待せず、呼吸を計りながら、交渉するということだな。

いずれの事例でも共通点は、「勢いのある事業の発見ができた」という点に尽きます。(P.187:PART 5 価値の再定義でさらに大きく稼ぐ・㊷僕はどんな風に価値の再定義をしたか)

マクドナルドをフランチャイズ展開させたレイ・クロック(Raymond Albert Kroc、1902年~1984年)や、倒産しかかった広告代理店の社長が、事業転換して成功した話が書かれた後のまとめ。

勢いの見極め。広告の出稿量などの指標。

さまざまな人とのつながり、各種メディア、株価の変動、IR情報など。

情報感度。いろいろとアンテナを張っておく。

あとは柔軟性と迅速性といった感じか。

行政書士で高額納税者になる道、それは自己否定によってこれまで自分がやってきた書類書き業務をすべて捨て去ること、価値を再定義して価値が移動していった先で自ら大きなリスクを取って事業展開をすることにことあるのではないでしょうか?(P.200:PART 5 価値の再定義でさらに大きく稼ぐ・㊺潰れそうなラーメン屋を整理した話)

自己否定と価値の再定義。

181ページには、事業転換に成功した富士フィルムと破産してしまったコダック(Eastman Kodak Company)の話も。

富士フィルムもコダックは、どちらも写真用フィルムのメーカー。

デジカメが普及した際に、富士フィルムは自己否定して、医薬品、化粧品の分野へと転換。価値の再定義。

コダックはそのまま2012年に倒産。あまりにも写真用フィルムでの成功が大き過ぎたのが原因。

いわゆる、イノベーションのジレンマ。

こだわり過ぎない。柔軟性を持つ。

しっかりと計算しつつ、リスクを取り、失敗からは学び、成功からは報酬を得る。

簡単ではないけれど。中長期的に物事を俯瞰しておくことか。

というわけで、特にフリーランスや個人事業主、零細企業の経営者などに非常にオススメの本である。

最近では、ダイエット系の本も出しているようなので、その辺りも興味深い。

書籍紹介

関連書籍