『新訳 ハイパワー・マーケティング』ジェイ・エイブラハム

ジェイ・エイブラハムの略歴

ジェイ・エイブラハム(Jay Abraham、1949年~)
アメリカの経営者、コンサルタント。
アメリカのインディアナ州インディアナポリスの生まれ。

『新訳 ハイパワー・マーケティング』の目次

まえがき
第1章 あなたの飛行計画 どこに向かうか、全体像を理解する
第2章 現状を把握する 現在の強みと弱みを知る
第3章 関係性に投資しよう クライアントの顧客生涯価値を計算する
第4章 人と違う強みを探す USPを構築する
第5章 断ることができないオファー 購入を妨げる最大の障害を取り除くリスクリバーサル
第6章 魚のいるところで釣りをせよ 質の高い見込み客にターゲットを絞る
第7章 気前のよいクライアント 過去のクライアントとの関係性を再活性化する
第8章 アドオンのチャンス クライアントの満足度と取引額を増加させる
第9章 ダイレクトメールは1万人の営業部隊 セールスレターと活字でクライアントを獲得しよう
第10章 テレマーケティングの力 電話を活用してクライアントを獲得する
第11章 ビッグ・プロフィット・ドットコム インターネットを活用して販売する
第12章 私の商品をあなたの商品と交換しませんか 商品やサービスをお金として活用するバーター
第13章 足を踏み外さないために 最小のリスクで最大の結果を得るためにテストをする
第14章 事後コミュニケーション あなたの富を築く人々と連絡を取ろう
第15章 ビジネスの極意、卓越論 クライアントとチームの人生を高め、信頼関係を築く方法
第16章 マインドセット 無敵になるために
第17章 考える以上にあなたは多くを持っている あなたの成功を定義しよう
監訳者あとがき

概要

2017年10月27日に第一刷が発行。角川e文庫。305ページ。

副題は“あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方”。

原著は2000年2月21日に刊行。原題は『Getting Everything You Can Out of All You’ve Got』。副題は「21 Ways You Can Out-Think, Out-Perform, and Out-Earn the Competition」。

2001年7月1日にPHP研究所から『お金をかけずにお金を稼ぐ方法』として刊行。

2005年2月19日にジャック・メディアから『ハイパワー・マーケティング』として刊行。

監修は、講演会コンサルタントの小山竜央(こやま・たつお、1982年~)。香川県の生まれ。大手広告代理店勤務を経て独立した人物。

監訳は、翻訳家で経営者の島藤真澄(しまふじ・ますみ)。京都芸術短期大学を卒業。神戸大学発達科学部へ編入、後に中退。慶應義塾大学文学部人間関係学科を卒業した人物。

感想

税理士の岡本吏郎(おかもと・しろう、1961年~)の本で知った作品。

kindle unlimitedにあったので読んでみた。

内容はとても具体的で勉強になった。さすが全米で「マーケティング・バイブル」と称賛される作品である。

ただちょっと和訳が微妙に変なところも。そこまで言語感覚は鋭敏ではないような気がしたかな。

自分の日本語力の弱さかもしれないけれど。

ビジネスを大きくする方法は、たった3つしかありません。

1 クライアントの数を増やす
2 クライアント1人あたりの平均販売額を増やす
3 クライアントが購入する頻度を増やす(P.19「第1章 あなたの飛行計画 どこに向かうか、全体像を理解する」)

ビジネスを大きくする方法は、たった3つであると。

非常に明快である。お客、値段、回数を、それぞれ増やすこと。

とても分かりやすい。あとは、どこに注力すれば良いのかを、現状から考える。

すると最適解が得られる。優先順位付けをして、取り組みやすい所から、順番に対応していくのも良い。

これは、USP(ユニーク・セリング・プロポジション)と呼ばれています。USPとは、あなたのビジネスが「他人を追随するだけの」競合を引き離す、独自の魅力のアイデアのことです。(P.55「第4章 人と違う強みを探す USPを構築する」)

競合よりも優れた結果やメリットを出すために、自社が何をできるのか、つまりは、強みはどのようなものか、ということ。

強み、独自性、個性。

まずは自分を知ること。「第2章 現状を把握する 現在の強みと弱みを知る」とも重なる部分。

このUSPによって、プロモーションやマーケティング、広告、販売などの活動が、変わってくる。

その後に、具体的なUSPの設定についての話が続いていく。

自社が提供しているUSPをリストアップしたり、競合のUSPをリストアップしたりして、そこから改善策を練ることも。

孫子の兵法だ。

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」といった感じだな。

見込み客やクライアントのリスクを取り除けば、行動へのハードルを下げることができ、購入時の主な障害物を取り除くことができます。これこそが、あなたのしなければならないことです。(P.84「第5章 断ることができないオファー 購入を妨げる最大の障害を取り除くリスクリバーサル」)

見込み客のリスクを潰していく。お試し無料など。その後は他社よりも高額でも購入する場合があるという事例についても。

なるほどな。サブスクリプションとか、基本的に最初は無料お試しとか多いし。シャンプーやリンス、化粧品なども無料お試しがあるし。

常にこちら側がリスクを取っているような形にしておくことか。

値引きではない、というのもポイントかもな。

私は「ダイレクトメール」という言葉を、ビジネスに携わる人が、見込み客やクライアントとのコミュニケーションのために使用する、あらゆる種類の文書類の総称として使います。(P.146「第9章 ダイレクトメールは1万人の営業部隊 セールスレターと活字でクライアントを獲得しよう」)

ダイレクトメールの定義。Eメールであれ、ハガキであれ、メッセンジャーであれ、ラインであれ、なんでも。といった感じだろうか。

現代であれば、入り口的な意味での動画、ショート動画、You Tube、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)とかも。

新規顧客と繋がるツール。関係維持のためのツール。

最近では、ネット上のマーケティングが、あまりに飽和し過ぎているようにも感じる。

オフラインの現実の足を使った営業の方が、効果がありそうな気もするけれど。

バーターは、不景気に強いだけではなく、資金調達が難しい経済においてもうまく機能させることができ、繁栄をもたらすことができるのです。(P.228「第12章 私の商品をあなたの商品と交換しませんか 商品やサービスをお金として活用するバーター」)

お金が動かない。サービスや商品が動く、バーター取り引き。

しかも、不景気に強い。これは驚いた。

お金が実際に動かないということは、税金に対してもそこそこの効果がありそう。

お金を介さない取り引き。サービスとサービスの交換。商品と商品の交換。サービスと商品の交換。

景気の影響にも強い。この辺りは、もっと注目して、情報収集していきたいところである。

ただ私が言いたいのは、自分が求めるものがわからないかぎり、人はそれを手に入れることができない、ということです。さらに自分にとって成功とはどういうものであるかを、あらかじめ理解しておかなければ、自分が本当に何を求めているかはわからないのです。(P.297「第17章 考える以上にあなたは多くを持っている あなたの成功を定義しよう」)

最後のメッセージが強烈というか鮮烈。

まずは自分が求めるものを正確に理解する。自分の成功とは何かを具体的に定義する。

自分が何を求めているのか。自分にとっての成功とは何なのか。

最初に、そのようなことを明確にしておかなければ、いけない。ある種の目標設定。目標というか、目的地が分からなければ、行き方や手段も考えられない。

他者からの評価ではなく、自分の評価軸。

結局のところ、自分の内部を掘ることが大事なんだろうな。

というわけで、マーケティングだけではなく、自分の人生を見つめ直すきっかけにもなる非常にオススメの本である。

書籍紹介

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