森岡毅『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』

森岡毅の略歴

森岡毅(もりおか・つよし、1972年~)
マーケター。
兵庫県伊丹市の出身。兵庫県立伊丹高等学校、神戸大学経営学部を卒業。P&Gジャパンマーケティング本部を経て、USJに入社。2017年に独立して、マーケティング会社「刀」を創業。

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』の目次

プロローグ USJがTDLを超えた日
第1章 USJの成功の秘訣はマーケティングにあり
第2章 日本のほとんどの企業はマーケティングができていない
第3章 マーケティングの本質は何か?
第4章 「戦略」を学ぼう
第5章 マーケティング・フレームワークを学ぼう
第6章 マーケティングが日本を救う!
第7章 私はどうやってマーケターになったのか?
第8章 マーケターに向いている人、いない人
第9章 キャリアはどうやって作るのか?
エピローグ 未来のマーケターの皆さんへ

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』の概要

2016年4月23日に第一刷が発行。角川書店。261ページ。ソフトカバー。127mm×188mm。四六判。

副題は「成功を引き寄せるマーケティング入門」。

森岡毅が自分の高校生の娘にも理解できるように書いた、マーケティング思考とキャリア・アップの秘訣をまとめた本。

ビジネスにおける本質的な内容が豊富に掲載されている。また森岡毅のキャリアも辿る事ができる書籍。

様々な用語やフレームワークの解説もある。

例えば、自由主義経済について。

「参入と退出の自由」「価格設定の自由」「商品開発の自由」といった3つの自由が尊重される経済システム。

その中で生き残っていくための考え方がマーケティングであると説く。

マーケティングは、商品を売れるようにする事。比較としては、営業は、商品を売るのが仕事。

マーケティングを端的に表現すると、放っておいても顧客が商品を購入してくれる状態を作る事。つまり、顧客に選ばれるための必然を作る。

「カネ、ヒト、モノ、情報、時間、知的財産」といった6大経営資源について、目的と目標の違いなどに関しても。

分かりやすい文章ではあるが、重厚なマーケティングに関する情報が存分に詰まった書籍である。

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』の感想

『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』に続いて、読み始める。

結論としては、とても勉強になった。あとは、とても一読だけでは、全ての内容を血肉化しきれない。

再読、三読、四読といったように繰り返し読まなければと思った。

基礎的な考え方や概念の紹介。分かりやすい事例。その他、ビジネスやマーケティングに対する精神的姿勢など。

納得しながら読む事ができる。

話の掴み的な感じでアップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs、1955年~2011年)の話も。

ジョブズは常に、「テキサスのおばさんでも簡単に使える機械」を目指していたそうです。(P.41「第2章 日本のほとんどの企業はマーケティングができていない」)

スティーブ・ジョブズは天才エンジニアであり、天才経営者であったが、その本質は天才マーケターであったと森岡毅は喝破。

その話の流れで、iPhoneを取り扱い説明書無しで販売したエピソードに。日本の携帯製造会社のほとんどは市場から退場させられたという結末。

チケット転売に関する戦略的な施策についての話も。

ダフ屋とのイタチごっこを終わらせるために、消費者需要に着目。買う側の需要を激減させて、転売屋のメリットを無くす。

課題や問題を分析して、どこを潰せば良いのか、どこを解決すると、メリットが得られるのかを、考察する力。この力がいかに大切であるのかを実感。

また阪神大震災での優秀な友人の死。この二つは特に心に残ったし、この人は信用できると思った部分である。

マーケティングの基本を網羅したい人、復習したい人、豊富なマーケティングのキャリアを持つ森岡毅の思考を知りたい人などに、非常にオススメの一冊である。

書籍紹介

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USJ:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

2001年にオープンした大阪にあるテーマパーク。

公式サイト:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン