茨木のりこの略歴
茨木のり子(いばらぎ・のりこ、1926年~2006年)
詩人。随筆家。
本名は、三浦のり子。旧姓は、宮崎のり子。
大阪府大阪市の生まれ。愛知県西尾市の育ち。西尾高等女学校(現在の西尾高等学校)を卒業。
帝国女子医学・薬学・理学専門学校(現在の東邦大学)の薬学部を卒業。
『茨木のり子の献立帖』の目次
みどり式カレー
ポテトキャセロール
鶏の水炊き
ちぢみ
中華風サラダ
茶碗蒸し
めいたがれいのフライ、赤貝の酢の物、カブぬか漬け
ガスパチョ
ローストビーフ
水正果 ちりめんじゃこ とうがらしまぶし
チキンライス、ほうれん草のおひたし
粟ぜんざい
コンビーフサラダ、納豆、わかめ汁
やきとり
雑菜
たこ コリアン風、浦項 かれい細切り、ナムル(3種)
チーズケーキ
ヤンソンさんの誘惑
茹で豚
胡麻豆腐
つけ汁
パエリア
プリン
ハヤシライス
ブイヤベース アイオリソース
きすマリネ
サワークラウト
薬食
わかめスープ
オマール海老のリゾット コーラルソース
マカロニナポリタン
朝鮮風ひやむぎ
粽子
ベークドポテト
ひらめ刺し、柳かれい、熱燗
栗ご飯、なめこ汁、鶏立田揚げ
鶏とびわの甘酢あんかけ
リゾット
野菜スープ
ビフテキ、グリーンピースごはん、玉子焼き茨木のり子の日記抄 一九四九年~一九七四年
エッセイ
東京の伯母さんちの夕食の世界 宮崎治
実測 茨木のり子の台所
茨木のり子 略年譜
『茨木のり子の献立帖』の概要
2017年1月13日に第一刷が発行。コロナ・ブックス。平凡社。ソフトカバー。143ページ。170mm×220mm。
料理好きだった詩人・茨木のり子のレシピを写真付きで紹介。愛用したキッチン関連の品々に加えて、茨木のり子の日記も掲載された作品。
「茨木のり子の日記抄」は、68~80ページに1949年~1955年までの抜粋、122~141ページに1955年の続き~1956年まで、1966年~1968年まで、1969年~1971年まで、1972年~1974年まで、といった構成。
料理の写真は、レシピを基にして再現したもの。
さまざまな種類の料理が掲載されているが、韓国に興味を抱いていた茨木のり子。そのため、韓国料理も多数ある。
ちなみに、水正果は“スジョングァ”、雑菜は“チャプチェ”、浦項は“ボハン”、薬食は“ヤクシク”、粽子は“ツォンズ”とったように、読み仮名が目次に付けられている。
その他に、茨木のり子の家にある食器棚や食器類、料理の道具、茨木のり子自身や夫で医師の三浦安信(みうら・やすのぶ、1918年~1975年)の写真なども。
エッセイでは、実際に茨木のり子の手料理を食べていた時期もある甥で医師の宮崎治(みやざき・おさむ)の文章も。
茨木のり子には、弟がいる。医師で実家の宮崎医院を継いだ宮崎英一(みやざき・えいいち、1928年~2002年)である。その息子が、甥の宮崎治である。
『茨木のり子の献立帖』の感想
料理好きであった茨木のり子。
友人や知人から得た情報を、ノートやメモに残していた。
レストランに行って気に入った料理があれば、店員さんに作り方を事細かく訊いて、困らせてしまう事もあったという。
『茨木のり子の献立帖』は、茨木のり子のレシピノートを基に作った料理の写真、直筆レシピの写真。
そして、家具や調度品、茨木のり子、夫・三浦安信などの写真も。
65~67ページには、甥で医師の宮崎治の文章も。伯母・茨木のり子の家によく遊びに行っていたらしい。この人の文章も上手い。
加えて、茨木のり子の日記。と、その写真。
下手ではないけれど、上手くもない字。まぁ、誰かに見せる理由ではなく、自分のために書いていたものだから仕方がないと言えば仕方がないが。
幾つかのレシピで達筆なものもあったので、他者に見せるような時は、上手く書いて、普段は気楽に書いていたのかも。
バランスは取れた柔らかな文字といった感じ。
118・119ページの見開きには、「茨木のり子の台所」というタイトルで、家の間取りも。
当時としては珍しい、2階に台所のある家。
あとは、かなり興味深かった日記の文章も。
1969年10月6日の日記には、
梅棹忠夫著「知的生産の技術」をよむ。得るところ多し、私もカードを使ってみようかとおもう。(P.133「1969~1971年 昭和四十四~四十六年」)
ちなみに、生態学者で民俗学者・梅棹忠夫(うめさお・ただお、1920年~2010年)の『知的生産の技術』は、1969年7月21日に発売。
つまり、2カ月半くらい後には読んでいる。
どのような経緯で、この本を知って、どのように興味を抱いて、この本を手に取り、どのような感想を抱いたのか、もっと詳しく知りたいと思った。
話を元に戻して、全体的な写真のトーンが良かった。レトロな雰囲気といった感じか。
構成なども飽きさせないように緩急がある。
茨木のり子の日記の文章も、想像通り良かった。
爽やかで気持ちが良い。品のある文章。育ちの良さなのか。
料理好きな方はもちろんではあるが、茨木のり子のファンであれば、充分に楽しめる非常にオススメの作品である。
さらに茨木のり子の関連の著作としては『茨木のり子の家』というのもあるので、こちらも興味のある方には是非、手に取ってもらいたい作品である。
書籍紹介
関連書籍
関連スポット
宮崎医院
愛知県西尾市にある病院・宮崎医院。茨木のり子の父・宮崎洪(みやざき・ひろし、1897年~1963年)が開業。茨木のり子が育った場所。
公式サイト:宮崎医院
根府川駅
神奈川県小田原市にある東海道本線の根府川(ねぶかわ)駅。詩「根府川の海」の題材。
浄禅寺
山形県鶴岡市の浄土真宗本願寺派の寺院。公式サイトは特に無い。
夫・三浦安信(みうら・やすのぶ、1918年~1975年)と供に、茨木のり子のお墓がある。
ちなみに山形県鶴岡市は三浦安信の生まれ故郷。また鶴岡市の北側に隣接する東田川郡三川町は、茨木のり子の母であり、旧姓・大滝勝(おおたき・かつ、1905年~1937年)の生まれ故郷。
勝は鶴岡高等女学校(現・鶴岡北高等学校)を卒業している。