『茨木のり子』花神ブックス

茨木のり子の略歴

茨木のり子(いばらぎ・のりこ、1926年~2006年)
詩人。随筆家。
本名は、三浦のり子。旧姓は、宮崎のり子。
大阪府大阪市の生まれ。愛知県西尾市の育ち。西尾高等女学校(現在の西尾高等学校)を卒業。
帝国女子医学・薬学・理学専門学校(現在の東邦大学)の薬学部を卒業。

『茨木のり子』目次

◎詩・童話・エッセイ
詩集 自選63篇 『対話』から 『見えない配達夫』から 『鎮魂歌』から 『人名詩集』から 『自分の感受性くらい』から 『寸志』から 詩集未収録作品
童話 貝の子プチキュー
エッセイ はたちが敗戦
エッセイ 第一詩集を出した頃
◎アルバム
茨木のり子アルバム
◎茨木のり子についてⅠ
茨木のり子さんこと――山本安英
声が聴こえる詩――岸田衿子
下手な料理人によるのり子さんゴッタ煮挿話添え――川崎洋
戦後現代詩の長女――新川和江
勁さと優しさと――牟礼慶子
確かなことば――藤久ミネ
それ行けチンドラボッチ――辻征夫
原風景としての戦争――郷原宏
三浦安信・のり子夫妻――岩崎勝海
◎対談
美しい言葉を求めて――大岡信+茨木のり子
◎茨木のり子についてⅡ
「癖」を読む――谷川俊太郎
あらゆる君主すてる旅路――茨木のり子の出現――堀場清子
茨木のり子の戦後詩的位置――野沢啓
第一詩集『対話』を中心に茨木のり子さんの資質を考える――吉野弘
『見えない配達夫』再読寸感――岩田宏
『鎮魂歌』について――石川逸子
優しい力――『人名詩集』について――高橋順子
『自分の感受性くらい』のこと――天野祐吉
茨木さんんと一緒に笑おう――工藤直子
茨木さんの散文――水尾比呂志
◎資料
自編年譜――一九四五年まで 一九八五年から
年譜<作品を中心に>――大西和男編
著書解題

概要

1996年7月20日に第一刷が発行。花神ブックス。ソフトカバー。210ページ。菊判。150mm×220mm。

詩人・茨木のり子の全体像をまとめた著作。茨木のり子の詩やエッセイ、対談に加えて、関連ある詩人たちなどの文章が豊富に掲載されている。

より正確に表記するのであれば、“花神ブックス1”として『増補 茨木のり子』の題名で、花神社から出版されている。

「◎アルバム」といった形で、さまざまな時期の茨木のり子の写真がモノクロながら掲載されている。

執筆者の以下の通り。

山本安英(やまもと・やすえ、1902年~1993年)…女優、朗読家。東京生まれ。神奈川高等女学校を卒業。

岸田衿子(きしだ・えりこ、1929年~2011年)…詩人、童話作家。東京生まれ。東京芸術大学油絵科を卒業。詩誌「櫂」同人。

川崎洋(かわさき・ひろし、1930年~2004年)…詩人・放送作家。福岡県の出身。西南学院専門学校英文科(現在の西南学院大学)を中退。茨木のり子と共に「櫂」を創刊。

新川和江(しんかわ・かずえ、1929年~)…詩人。茨城県結城市の出身。茨城県立結城高等女学校を卒業。

牟礼慶子(むれ・けいこ、1929年~2012年)…詩人、教師。東京生まれ。實践女子専門学校(現在の実践女子大学)国文科を卒業。

藤久ミネ(ふじひさ・みね、1934年~)…翻訳者。

辻征夫(つじ・ゆきお、1939年~2000年)…詩人。東京出身。明治大学文学部卒業。

郷原宏(ごうはら・ひろし、1942年~)…詩人、文芸評論家、翻訳家。島根県生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業。読売新聞社にて勤務。

岩崎勝海(いわさき・かつみ、1925年~2000年)…編集者。長崎県生まれ。早稲田大学卒業。岩波書店にて勤務。

大岡信(おおおか・まこと、1931年~2017年)…詩人・評論家。静岡県三島市出身。東京大学文学部国文科を卒業。読売新聞社外報部記者を経て、大学教授などを務める。

谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう、1931年~)…詩人、翻訳家、絵本作家、脚本家。東京都出身。東京都立豊多摩高等学校を卒業。

堀場清子(ほりば・きよこ、1930年~)…詩人、女性史研究家。広島県生まれ、東京育ち。早稲田大学文学部国文科を卒業。共同通信社に勤務。

野沢啓(のざわ・けい、1949年~)…詩人、批評家。東京生まれ。東京大学大学院フランス語フランス文学科博士課程を中退。

吉野弘(よしの・ひろし、1926年~2014年)…詩人。山形県酒田市生まれ。山形県立酒田商業学校を卒業。「櫂」の同人。

岩田宏(いわた・ひろし、1932年~2014年)…詩人、作家、翻訳家。北海道虻田郡京極町の出身。本名・小笠原豊樹(おがさわら・とよき)著作もあり、翻訳家としては主に本名で活動。東京外国語大学ロシア語学科中を退。

石川逸子(いしかわ・いつこ、1933年~)…詩人。東京生まれ。お茶の水女子大学史学科を卒業。

高橋順子(たかはし・じゅんこ、1944年~)…詩人。千葉県旭市の出身。東京大学文学部フランス文学科を卒業。

天野祐吉(あまの・ゆうきち、1933年~2013年)…コラムニスト。東京生まれ。愛媛県育ち。明治学院大学を中退。

工藤直子(くどう・なおこ、1935年~)詩人、童話作家。台湾生まれ。お茶の水女子大学文教育学部中国文学科卒業、博報堂に勤務。

水尾比呂志(みずお・ひろし、1930年~2022年)…美術史家、民藝運動家、放送作家。大阪生まれ。東京大学文学部を卒業、東京大学大学院美術史学科修士課程を修了。本名は同じ読み方で、博の表記。「櫂」の同人。

大西和男(おおにし・かずお、1941年~2012年)…編集者。

感想

茨木のり子の作品は、かなりの量を読んでいるとは思う。

でも、まだまだ関連作品を揃えていないようなので、いろいろと買い漁っている途中。

その中のひとつが今回の花神ブックスの『茨木のり子』

特に印象に残ったのは「茨木のり子についてⅠ」にある、新川和江の文章。

タイトルは、「戦後現代詩の長女」。

茨木のり子は、“戦後現代詩の長女”とも呼ばれる人物。その呼称をつけたのが、新川和江のこの文章といった感じか。

二段組の3ページの文章ではあるが、新川和江が先輩である茨木のり子について、敬愛の情を抱きながら瑞々しい文章を書いている。

この著作では、その他にも多くの詩人や関連した人物たちが文章を寄せている。

気になる詩人から読むのも良いかもしれない。

また、茨木のり子の詩やエッセイも掲載されているのもポイント。

これを購入する人たちは、それなりに茨木のり子の作品に触れているとは思うが、復習というか再読的な感じでも、とても楽しめる。

茨木のり子に関する資料的な情報も多数、掲載されているのもポイントである。

茨木のり子ファンであれば、十分に楽しめる著作で非常にオススメである。

書籍紹介

関連書籍

関連スポット

宮崎医院

愛知県西尾市にある病院・宮崎医院。茨木のり子の父・宮崎洪(みやざき・ひろし、1897年~1963年)が開業。茨木のり子が育った場所。

公式サイト:宮崎医院

根府川駅

神奈川県小田原市にある東海道本線の根府川(ねぶかわ)駅。詩「根府川の海」の題材。

浄禅寺

山形県鶴岡市の浄土真宗本願寺派の寺院。公式サイトは特に無い。

夫・三浦安信(みうら・やすのぶ、1918年~1975年)と供に、茨木のり子のお墓がある。

ちなみに山形県鶴岡市は三浦安信の生まれ故郷。また鶴岡市の北側に隣接する東田川郡三川町は、茨木のり子の母であり、旧姓・大滝勝(おおたき・かつ、1905年~1937年)の生まれ故郷。

勝は鶴岡高等女学校(現・鶴岡北高等学校)を卒業している。