『起業家の勇気』児玉博

児玉博の略歴

児玉博(こだま・ひろし、1959年~)
ノンフィクション作家。
大分県の生まれ。早稲田大学第二文学部を卒業。
2016年に第47回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

宇野康秀の略歴

宇野康秀(うの・やすひで、1963年~)
実業家。USEN-NEXT HOLDINGSの代表取締役社長CEO。
大阪府大阪市の生まれ。清風中学校・高等学校、明治学院大学法学部法律学科を卒業。リクルートコスモスを経て、人材派遣会社のインテリジェンスを創業。
父親は、大阪有線放送社の創業者・宇野元忠(うの・もとただ、1935年~1998年)。

『起業家の勇気』の目次

はじめに
1 有線の鬼
2 カネの力
3 大阪戦争
4 江副浩正とリクルートの時代
5 お前より優秀な奴を採用しろ
6 インテリジェンス創業
7 新入社員、藤田晋
8 父、元忠の最期
9 血染めのわら人形
10 三木谷、堀江、村上 躍動す
11 孫正義の空手形
12 社長追放

概要

2020年4月10日に第一刷が発行。文藝春秋。255ページ。ソフトカバー。127mm×188mm。四六版。

副題は「USEN宇野康秀とベンチャーの興亡」。USENと宇野康秀のビジネスキャリアの軌跡を辿る物語。

父親は、1964年に株式会社として大阪有線放送社を設立した宇野元忠。

その次男として生まれ育ち、後に事業や会社について学ぶためにリクルートのグループ会社に就職。一年後に独立。

ベンチャー業界の荒波に揉まれていくといった粗筋。

目次にもある通り、様々な人物が登場。

江副浩正(えぞえ・ひろまさ、1936年~2013年)…リクルートの創業者。大阪府大阪市の生まれで、東京大学教育学部教育心理学科を卒業。後に贈収賄に関連したリクルート事件に巻き込まれる。

藤田晋(ふじた・すすむ、1973年~)…サイバーエージェントの創業者。福井県の出身。青山学院大学経営学部を卒業。宇野康秀が創業したインテリジェンスに入社し、後に起業。

三木谷浩史(みきたに・ひろし、1965年~)…楽天グループの創業者。兵庫県立神戸市の出身。一橋大学商学部を卒業。ハーバード大学経営大学院終了。

堀江貴文(ほりえ・たかふみ、1972年~)…実業家。元ライブドア代表取締役社長CEO。福岡県の出身。東京大学文学部を中退。大学在学中に有限会社オン・ザ・エッジを設立。

村上世彰(むらかみ・よしあき、1959年~)…投資家。大阪府大阪市の出身。東京大学法学部を卒業。通商産業省を経て、ファンドを立ち上げる。

孫正義(そん・まさよし、1957年~)…ソフトバンクグループの創業者。佐賀県の生まれ、福岡県の育ち。カリフォルニア大学バークレー校を卒業。

目次には出ていないが、GMOインターネットグループの創業者・熊谷正寿(くまがい・まさとし、1963年~)なども登場。

宇野康秀の人生、USENの歴史、日本のベンチャー業界の盛衰などを濃厚に堪能できる一冊。

感想

どこかで目にして前々から気になっていた書籍。非常に面白かった。

特に宇野康秀の父親・宇野元忠のキャラクターが凄まじい。

華僑のファミリーで、現役で大阪大学工学部に入学し、後に経済学部へ転部。時代的なものもあるが、かなり強気なビジネスで全国展開していく姿は驚いた。

スケールが違い過ぎる。

また上記に列挙した人物たちの人間ドラマも面白い。

あとは、超悪役として出てくる金融機関の小泉泰郎と原田良輔。これもまた、エグかった。

書籍の構成や流れが良かったのポイント。

宇野康秀がアメリカの評論家であるアルビン・トフラー(Alvin Toffler、1928年~2016年)の『第三の波』に衝撃を受けて、現在でも若い人に勧めているという記述もあった。

所持はしているけれど、まだ読んでいなかったので、『第三の波』も読んでみようと思う。

結論としては、USENやベンチャー、起業などに興味のある人には非常にオススメの一冊である。

書籍紹介

関連書籍