越前敏弥の略歴
越前敏弥(えちぜん・としや、1961年~ )
翻訳家、翻訳講座講師。
石川県生まれ。筑波大学附属駒場中学校・高等学校、東京大学文学部国文科を卒業。ゲームセンター従業員、学習塾自営、留学予備校講師などを経た後、フェロー・アカデミーで翻訳を学ぶ。37歳からエンタテイメント小説の翻訳を始める。
アメリカの小説家であるダン・ブラウン(Dan Brown、1964年~)の『天使と悪魔』、『ダ・ヴィンチ・コード』などを手掛ける。
『日本人なら必ず誤訳する英文』の目次
まえがき
本書の使い方
PART A 基礎編
1 文の構造
2 時制・態
3 否定
4 助動詞・不定詞
5 動名詞・分詞
6 比較
7 関係詞
8 仮定法
9 相関構文・特殊構文
10 その他
PART B 難問編
PART C 超難問編
あとがき
『日本人なら必ず誤訳する英文』の概要
2013年1月11日に第一刷が発行。ディスカバー携書。223ページ。
英語の指導や翻訳の経験が豊富な越前敏弥が、日本人の間違えやすい英文を紹介。単語の意味の選択や文法構造などの詳細な解説が大きな魅力となっている。
2009年2月20日に第一刷が発行した単行本を、新書サイズのディスカバー携書として刊行したもの。
正確な題名は『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文』。副題的に「あなたはこれをどう訳しますか?」と書かれている。
目次にある通り、大きく分けて、「PART A 基礎編」「PART B 難問編」「PART C 超難問編」の三部構成。
「PART A 基礎編」は、テーマ毎に10個に分かれている。
「ちょっとひと息 interview わたしは英語をこうして勉強した」という、越前敏弥の英語に関するエッセイが、その1~その4まで、合間に挿入される。
場所は、「PART A 基礎編」の「5 動名詞・分詞」と「10 その他」の後。「PART B 難問編」と「PART C 超難問編」の後。
『日本人なら必ず誤訳する英文』の感想
英語関連の本が好きで、昔から色々と読んでいる。
今回は、たまたま、ふろむだ『最新研究からわかる 学習効率の高め方』シリーズを読んでいたら、推薦図書的な感じで出てきた。
調べてみたら、kindle unlimitedにあった。
とても楽しく読んで勉強になったけれど、自分の英語力の無さに、少し凹んだ。
一応、継続的に英語の勉強はしているし、昔から得意というわけではないけれど、苦手意識もない感じ。
でも、解きながら読んだけれど、誤訳しまくりだった。
ああ、しっかりと、基礎というか、文法や語句の意味、用法などを、改めて正確に身に付けないといけない、と反省。
例えば、以下の問題。
A-26
・Not a few of the students were absent.
・Quite a few of the students were absent.
(P.41「PART A 基礎編:3 否定」)
解答は、どちらも、「かなりの数の学生が欠席した」となる。
どちらも同じ意味である。
上の文は、そうだろう。「少ない」を否定しているから、「少なくない」。つまり、多い。
そして、下の文。
quiteって、「かなり、とても」という意味の副詞だと思っていた。
いや、確かにそうなんだけれど。
だから、「かなり少数の学生が欠席した」という訳だと思った。
でも、quite a fewや、quite a bitとかになると、「多い」という意味で「かなりの、相当量の」というルール。
結論として、下の文も「多い」という意味で「かなりの数の学生が欠席した」となる。
分かりやすい単語の方が、つまずきやすい。気をつけよう。
英文に関して言及していくと、膨大な数になっていくので、「ちょっとひと息 interview わたしは英語をこうして勉強した」で、気になった部分を。
これは英検にかぎりませんが、資格試験というものは満点に近い点数をとれる実力をつけてから受けるべきですね。ギリギリで受かるぐらいなら、むしろ受からないほうがいい。(P.73「わたしは英語をこうして勉強した:その1」)
これは、本当に大切だと思う。
資格試験でギリギリ合格って、ただ試験に合格しただけ。実際の力が伴っていないと言える。
余裕でクリアできる力を付けておくこと。
試験の合格は、あくまでも手段であって、目的ではない。
その知識を活用することが目的。であるならば、ギリギリの合格は、ギリギリの知識量ということ。
しっかりと、知識量を身に付けるように学習していこうと思う。
さらに続いて、越前敏弥の進学に関しての話があった。
東京大学文学部国文科を卒業している越前敏弥。東大で凄いなと思っていたら、二浪していた。
いや、凄いけどね。東大に入れるのは。
意外と苦労して入学したんだな、とちょっとだけ思った。
結局、英語を正しく理解しているか否かを知るには、訳してみる以外に方法はないんです。(P.182「わたしは英語をこうして勉強した:その3」)
その後には「おそらく正しく訳せないものは絶対に理解できていないと思います」という発言も。
やはり、英文和訳というのは、大切なのか。
何となく正しいだろうとは思っていたけれど。今後も文法や用法などの勉強を続けていこうと思う。
英文和訳は役に立たないみたいな英語教育に関する批判とかも聞くけれど、実際には充分な意味があるだろうな。
10年近く翻訳学校で教えてきた経験から言うと、日本語の運用力と英語の読解力は、99パーセントの生徒について完璧に比例します。(P.182「わたしは英語をこうして勉強した:その3」)
よく、英語と日本語、どちらが大切なのかと訊かれるとか。
二項対立ではなく、両方とも大切。
むしろ、日本語を疎かにしている感じすらあるような気がする。
アメリカ、イギリスと海外経験も豊富で、多くの書物を著している数学者の藤原正彦(ふじわら・まさひこ、1943年~)も、国語が大切だと言っているし。
英語と同様に日本語の勉強も続けていこう。
構文解析のような地道で地味な勉強を、ある期間徹底してやる必要があると思います。それと、日本語に対しても、英語以上に敏感になれるよう、日ごろから注意しておくことですね。(「わたしは英語をこうして勉強した:その4」)
地道な勉強と日本語。
コツコツと坦々と、といった姿勢が重要なのかもしれない。
全体を通して、英語に関する書籍も出てきた。
『英文解釈教室』、『英文法頻出問題演習』、『英語構文詳解』、『ビジュアル英文解釈』。
著者は、どれも予備校講師の伊藤和夫(いとう・かずお、1927年~1997年)である。
長野県生まれで、第一高等学校、東京大学哲学科を卒業。駿台予備校の英語講師として活躍した人物。
チェックしておこう。
越前敏弥のこのシリーズは、さらに『日本人なら必ず悪訳する英文』、『日本人なら必ず誤訳する英文 リベンジ編』とある。
また『日本人なら必ず誤訳する英文』と『日本人なら必ず誤訳する英文 リベンジ編』の2冊を加筆、修正、再構成した『日本人なら必ず誤訳する英文 決定版』も。
シリーズを読み進めていこうと思う。
英語に特に自信のある人、もしくは英語の知識をもっと付けたい、英語の復習をしたいという人には、非常にオススメの本である。