
「金儲けの神様」と呼ばれながら、そのキャリアを直木賞作家としてスタートさせた稀有な人物、邱永漢(きゅう・えいかん、1924年~2012年)。
彼の遺したエッセイや随筆は、単なる成功譚やビジネス書ではありません。
激動の20世紀を台湾、香港、日本という複数の視点から見つめ続けた彼の言葉は、お金、仕事、人生、そして食文化に至るまで、物事の本質を鋭く突く普遍的な知恵に満ちています。
この記事では、数ある邱永漢のエッセイや随筆などのおすすめの本の中から、特に現代を生きる私たちに多くの示唆を与えてくれる必読書を厳選。
初心者にも分かりやすい選び方の指針と共に、その魅力的な世界をご案内します。
- 1. 『新・メシの食える経済学 ― お金に恵まれる人生への手引き』邱 永漢
- 2. 『株の原則』邱 永漢
- 3. 『お金の原則』邱 永漢
- 4. 『失敗の中にノウハウあり ― 金儲けの神様が儲けそこなった話』邱 永漢
- 5. 『食は広州に在り』邱 永漢
- 6. 『象牙の箸』邱 永漢
- 7. 『口奢りて久し』邱 永漢
- 8. 『商売の原則』邱 永漢
- 9. 『騙してもまだまだ騙せる日本人 ― 君は中国人を知らなさすぎる』邱 永漢
- 10. 『邱飯店交遊録 ― 私が招いた友人たち』邱 永漢
- 11. 『中国人と日本人』邱 永漢
- 12. 『わが青春の台湾 わが青春の香港』邱 永漢
- まとめ:邱永漢の「複眼的リアリズム」を、あなたの人生の羅針盤に
1. 『新・メシの食える経済学 ― お金に恵まれる人生への手引き』邱 永漢
おすすめのポイント
邱永漢の思想の集大成ともいえる一冊。
「メシが食える」とは単にお金があることではなく、いかに人生を豊かに生きるかという哲学的な問いにまで踏み込みます。
リーマンショック後の価値観が揺らぐ時代に書かれた本書は、お金との付き合い方から仕事の選び方まで、現代に通じる金言が満載。
邱永漢のエッセイや随筆のおすすめの本を初めて手に取るなら、まずこの作品から彼の思想の全体像に触れるのが最適です。
次のような人におすすめ
- 社会人になったばかりで、これからのお金やキャリアについて漠然とした不安を抱えている人。
- 単なる節約術や投資法ではなく、人生を豊かにするための「お金の哲学」を学びたい人。
- 時代の変化に左右されない、普遍的なものの考え方や価値観を身につけたい人。

2. 『株の原則』邱 永漢
おすすめのポイント
「株の利益は我慢料」という名言に象徴される、邱永漢の投資哲学の神髄が詰まった一冊。
短期的な価格の変動に一喜一憂するのではなく、企業の成長性を見抜き、時代の大きな流れを読むことの重要性を説きます。
テクニカルな分析よりも、自らの足で情報を集め、自分の頭で考えるという、投資の本質を教えてくれる必読書です。
次のような人におすすめ
- これから株式投資を始めたいと考えているが、何から学べば良いか分からない初心者。
- デイトレードなどの短期的な売買に疲れ、腰を据えた長期投資に切り替えたい経験者。
- 経済ニュースの裏側にある、社会や産業の大きなトレンドを読み解く視点を養いたい人。
3. 『お金の原則』邱 永漢
おすすめのポイント
アジア通貨危機という金融不安の時代に書かれた本書は、お金に好かれるための「原則」を明快に説きます。
奇をてらった秘策ではなく、「お金を大事にする」「一生懸命稼ぐ」といった、当たり前だからこそ奥深い原則を、自身の体験談を交えて分かりやすく解説。
邱永漢の本の中でも、特にお金との向き合い方を根本から見直したい時に手に取りたい一冊。
次のような人におすすめ
- お金を貯めたいのに、なぜかいつも手元に残らないと感じている人。
- 子供にお金の大切さを教えたいと考えている親世代。
- 経済的な自立を目指し、一生使えるお金の教養を身につけたいと考えているすべての人。

4. 『失敗の中にノウハウあり ― 金儲けの神様が儲けそこなった話』邱 永漢
おすすめのポイント
「金儲けの神様」が、その輝かしい成功談ではなく、自らの数々の失敗談を赤裸々に語った異色のエッセイ。
砂糖の密輸での大失敗から、株取引での手痛い損失まで、「転んでもただでは起きない」彼の真骨頂がここにあります。
成功は無数の失敗の上に成り立つという、挑戦するすべての人への力強い応援歌です。
次のような人におすすめ
- 新しい事業やプロジェクトに挑戦しようとしているが、失敗を恐れて一歩を踏み出せない人。
- 過去の失敗の経験を引きずり、自信を失ってしまっている人。
- 成功者の華やかな話よりも、その裏にあるリアルな苦闘や学びを知りたい人。
5. 『食は広州に在り』邱 永漢
おすすめのポイント
日本の食文化がまだ豊かでなかった時代に、奥深い中国料理の世界を紹介し、多くの日本人に衝撃を与えた食エッセイの金字塔。
単なるグルメガイドに留まらず、食を通して中国の文化、歴史、そして人間模様を鮮やかに描き出します。
この本を読めば、あなたの食への探求心に火がつくこと間違いなし。彼の多才ぶりを最も感じられる一冊です。
次のような人におすすめ
- 食べることが好きで、料理の背景にある文化や歴史に興味がある人。
- 旅行が好きで、特にアジアの食文化について深く知りたいと考えている人。
- 文章を読むことで、まるでその場にいるかのような体験をしたい読書家。

6. 『象牙の箸』邱 永漢
おすすめのポイント
『食は広州に在り』の続編ともいえる、珠玉の食エッセイ集。
ニンニクやアワビといった身近な食材から、中国の食文化の深淵を軽妙な筆致で語ります。
肩の力を抜いて楽しめ、日常の食卓を少し豊かにしてくれるヒントに満ちています。
彼の人生を彩った「食」への愛情が伝わってくる作品です。
次のような人におすすめ
- 日常の食事の中に、新しい発見や楽しみを見つけたい人。
- 蘊蓄(うんちく)のある話が好きで、知的好奇心を満たしたい人。
- 寝る前などに、少しずつ読み進められる面白いエッセイを探している人。
7. 『口奢りて久し』邱 永漢
おすすめのポイント
名著『食は広州に在り』から約半世紀。
世界中を飛び回り、美食を追求し続けた著者の食探求の集大成。
経済発展とともに大きく変貌した中国大陸のレストラン事情など、現代的な視点が加わっているのが特徴です。
時代の変化を「食」というレンズを通して鋭く捉える、彼の観察眼が光ります。
次のような人におすすめ
- 現代中国の文化や社会の変化に興味がある人。
- 長年にわたって一つのことを追求した人の、円熟した視点や文章に触れたい人。
- 食文化が経済や社会とどのように結びついているのかを知りたい人。

8. 『商売の原則』邱 永漢
おすすめのポイント
ITバブルが崩壊し、日本経済が閉塞感に包まれていた時代に刊行された一冊。
「時代のせいにしてはならない」と喝破し、不況期でも成功するための商売の知恵を明かします。
小手先のテクニックではなく、顧客を喜ばせるという商売の原点を思い出させてくれる、すべてのビジネスパーソンにとってのバイブルです。
次のような人におすすめ
- 自分で事業を経営している、またはこれから起業を考えている人。
- 会社の業績が伸び悩み、現状を打破するヒントを探しているマネージャー。
- 営業や販売の仕事をしており、顧客とのより良い関係を築きたいと考えている人。
9. 『騙してもまだまだ騙せる日本人 ― 君は中国人を知らなさすぎる』邱 永漢
おすすめのポイント
刺激的なタイトルですが、いわゆる「嫌中本」ではありません。
日本人と中国人の「信用」や「契約」に対する考え方の根本的な違いを、ビジネスの現場から解説します。
相互理解なくして良いパートナーシップは築けないことを教えてくれる、実践的な異文化理解の書。
グローバルに働く現代人必読の一冊です。
次のような人におすすめ
- 仕事で中国人と関わる機会があり、彼らの考え方や行動様式を理解したい人。
- 海外の文化や価値観の違いに興味があり、ステレオタイプではないリアルな情報を求めている人。
- 国際的なニュースをより深く理解するための、文化的な背景知識を身につけたい人。

10. 『邱飯店交遊録 ― 私が招いた友人たち』邱 永漢
おすすめのポイント
本田宗一郎や檀一雄など、各界の名士が訪れたという邱永漢の自宅の食卓、通称「邱飯店」。
彼らをもてなした料理の記録と共に、食卓で交わされた愉快で人間味あふれる交流を綴ります。
食が紡ぐ豊かな人間関係の素晴らしさ、そして「もてなし」の心とは何かを教えてくれる、心温まるエッセイです。
次のような人におすすめ
- 昭和の傑出した人物たちの、普段は見せない素顔やエピソードに興味がある人。
- 人を家に招いたり、料理を振る舞ったりすることが好きな人。
- ビジネスライクな人間関係だけでなく、温かみのある人との繋がりを大切にしたい人。
11. 『中国人と日本人』邱 永漢
おすすめのポイント
「職人気質」の日本人と「商人気質」の中国人。組織を重んじる日本人と、個人の繋がり「関係(クワンシイ)」を最優先する中国人。
両国民の気質の違いを、文化や歴史的背景から鋭く分析した名著です。
邱永漢の本の中でも、彼の複眼的な視点が最も冴えわたる一冊。
隣国を、そして我々自身を深く知るための最高のテキストです。
次のような人におすすめ
- 日中関係のニュースに頻繁に触れるが、その背景にある国民性の違いを理解したい人。
- 自分や日本人の持つ「当たり前」が、世界では当たり前ではないことを知りたい人。
- 異文化コミュニケーションの本質について、深く考察したいと考えている人。

12. 『わが青春の台湾 わが青春の香港』邱 永漢
おすすめのポイント
彼の思想の原点を知る上で、絶対に欠かすことのできない自伝的エッセイ。
日本統治、二・二八事件、香港への亡命という激動の歴史の渦中で、彼が何を見て、どう生きたのか。
一個人の物語が、東アジアの現代史そのものとして迫ってきます。
彼の他の著作を読む前に、あるいは読んだ後にこの本に触れることで、その言葉の重みが全く違って感じられるはずです。
次のような人におすすめ
- 邱永漢という人物そのものに、強く興味を惹かれている人。
- 台湾や香港の近代史について、教科書的ではない、個人のリアルな視点から学びたい人。
- 逆境の中で、いかにして自分の道を切り拓いていくか、そのヒントを得たい人。
まとめ:邱永漢の「複眼的リアリズム」を、あなたの人生の羅針盤に
邱永漢の著作は、単なる知識やノウハウを与えてくれるだけではありません。
それは、激動の時代を知恵と行動力で生き抜いた一人の人間が、いかにして世界を観察し、思考し、そして行動したかを追体験させてくれる貴重な記録です。
彼の複眼的な視点を通して世界を眺めるとき、これまで当たり前だと思っていた常識が揺らぎ、新しい景色が見えてくるはず。
ここに紹介した本の中から、気になる一冊を手に取ってみてください。
きっと、あなたの明日を生きるための確かなヒントが見つかるでしょう。
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