『販促の設計図』中野道良

中野道良の略歴

中野道良(なかの・みちよし、1970年~)
実業家。
高知県の生まれ。明治大学理工学部建築学科を卒業。印刷会社を経て、グラフィックデザイナーを目指して専門学校に入学。
後にデザイン制作会社に入社。2006年、アドバンド株式会社を設立。

『販促の設計図』の目次

はじめに
Chapter1 なぜ、中小企業は儲からないのか?
Chapter2 商談機会が倍増する「販促の設計図」とは?
Chapter3 実践!設計図のつくり方
Chapter4 法人顧客が必ず訪れる「コーポレートサイト」
Chapter5 検索広告で接点をつくる「リスティング広告」
Chapter6 お役立ち情報を掲載「コンテンツSEO」
Chapter7 潜在ニーズを掘り起こす「ダイレクトメール」
Chapter8 専門家として商談にのぞむ「ノウハウブック」
Chapter9 人間関係の維持に役立つ「ニュースレター」
Chapter10 さあ、「販促の設計図」をつくろう
おわりに
索引

概要

2020年9月3日に第一刷が発行。翔泳社。紙は240ページ。電子書籍は、2022年3月25日に発行。電子書籍は、334ページ。

営業スタッフを使わずに、新規受注を継続的に生み出す仕組みの設計について、まとめ上げた本。さまざまな具体的な方法が記載。

正確な題名は『新規顧客が勝手にあつまる販促の設計図 「営業スタッフを使わない」「下請けもやらない」中小企業が売上を伸ばすための法則』

ただし表紙のタイトルで太く大きなフォントで書かれているのは、「販促の設計図」という部分である。

感想

電子書籍版で読む。

知り合いが働いている会社の社長さんが書かれた本ということで購入。

内容も、営業スタッフを使わずに、新規の仕事を受注するための仕組みづくりということで、かなり興味を持って読み始めた。

なかなかの文量で、とても丁寧に書かれてある。具体的な施策は、Chapter5「リスティング広告」から。

また、それぞれの章の最後に、まとめが記載してあるので、その章の振り返りも簡単。

とても勉強にはなったけれど、結局やることが多すぎるという感じは否めない。
そこそこの資金と時間、スタッフの人数が必要かも。

ただ、営業を雇うよりも、リスクが低い。
属人性に頼らない。人を雇うよりも安定的。退社とかが無い。面接とか人的、時間的な各種経費も掛からない。

仕組みが出来れば、ほぼそのまま維持できる。人を雇うのは博打に近いが、仕組みづくりは着実。

ニュースレター、ダイレクトメール。

この辺りは、反応率は、0.5%程度。そのため、1000件で、5件とかのレベル。数をこなすのは大事。

他にも、最初の反応は低かったとしても、そこで長期的な受注にしてしまえば、顧客生涯価値と呼ばれる、LTV(Life Time Value)が向上して、十分に投資の回収が出来る。

以下、引用などをしながら紹介。ページ数などは電子書籍版に準拠。

自動的に売上につながる「販促の設計図」をつくるため、重要なカギとなる6つのパーツがあります。
①コーポレートサイト ②リスティング広告 ③コンテンツSEO ④ダイレクトメール ⑤ノウハウブック ⑥ニュースレター
(P.49:Chapter2 商談機会が倍増する「販促の設計図」とは?)

販売促進のための重要なパーツとして、コーポレートサイト、リスティング広告、コンテンツSEO、ダイレクトメール(DM)、ノウハウブック、ニュースレターを挙げる。

サイトは受け入れの窓口。広告やコンテンツは新規のために。DM、ノウハウブック、ニュースレターは、既に顔合わせを何らかでしたことのある人向け。

ざっくりと上記のような分け方。

それぞれを連動させることも大切。また定期的にDMやニュースレターを配信するなど、関係性を維持。

DMに関しては、ウェブでも、紙でも。状況によって使い分ける、もしくは両方を併用。

コンテンツは、サイトに掲載するだけではなく、DMやノウハウブック、ニュースレター、リスティング広告などにも流用が可能。

コンテンツは大切である。

見込客の関心は自分自身にとっての利点、「メリット」です。そこで、コーポレートサイトは、見込客が感じる2つの疑問に答えるものでなければなりません。

①なぜ、この商品を買わなければならないか
②なぜ、この会社から買わなければならないか
(P.120「Chapter4 法人顧客が必ず訪れる「コーポレートサイト」」)

コーポレートサイトの目的。

コンテンツで掲載しておくべき内容が、商品と会社のこと。

当たり前と言えば、当たり前ではあるが。

なぜ、この商品が必要であるのか、なぜこの会社の商品であるのか、ということについて、明確に理由付けをしておく。

商品に関する機能面やサービス面、コストパフォーマンスなどのメリット。

また会社の理念やサポート体制などについても。

これはあらゆる商品にもいえることで、お客様が購入するのは、“良い”商品ではなく、“良さそうな”商品です。企業は、「モノ」ではなく「物語」を売ることが大切で、ありふれた商品だとしても、ストーリーを描くことで価値を感じてもらうことはできます。(P.141:Chapter4 法人顧客が必ず訪れる「コーポレートサイト」)

これは、というのは、基本的に商品というのは、使ってからの購入が出来ない、という状態で、選ぶということ。

最近では、無料体験期間など、Amazonの関連サービスや映像配信サービス、SaaS(Software as a Service)系などでも出てきてはいる。

ただ、一般的には、試しに使ってからの購入というのは無い。またお試し期間があったとしても、申し込みのための心理的なハードルは高い。

そのため、良い商品か、どうかは実際に分からない状態で購入する。

判断する基準は、良い商品ではなく、良さそうな商品になる。

結果として、物語、ストーリーテリングの手法が必要になる。物語、ストーリーを使って、商品の良さをアピールすることになる、というもの。

結論の部分はよく聞くが、過程の部分は自分の中に無かったので、とても勉強になった。

成功するノウハウブック「構成のフロー」
①見込客の悩みや課題に共感
②商品まわりの一般的な情報
③解決のヒント・アイデア・ノウハウ
④導入時のサプライヤーの選び方
⑤あなたの会社の強みや特徴
→商談機会の創出
(P.274の図から:Chapter8 専門家として商談にのぞむ「ノウハウブック」)

商談の順番でもあり、ノウハウブックの構成の順番でもある流れ。

また、それぞれ、コーポレートサイトのコンテンツとしても利用できる内容である。

実際には、かなりの労働力、時間、資金が必要にはなりそうではあるが、上記のようなポイントを押さえた販売促進の仕組みが出来上がってしまえば、新規受注がとても楽になるだろう。

新規受注の増やしたい社長や個人事業主、フリーランスの方、新たな営業手法を模索している営業マンなどにも、非常にオススメの本である。

著者が「おわりに」で言及していた『ある広告人の告白』という本も読んでみようと思う。

書籍紹介

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