板坂元の略歴
板坂元(いたさか・げん、1922年~2004年)
日本文学者、評論家。
中国南京の生まれ。東京大学文学部国文科を卒業。専攻は江戸文学。
ケンブリッジ大学、ハーバード大学で教鞭を執る。
『考える技術・書く技術』の目次
Ⅰ-頭のウォームアップ
Ⅱ-視点
Ⅲ-読書
Ⅳ-整理
Ⅴ-発想
Ⅵ-説得
Ⅶ-仕上げ
Ⅷ-まとめ
あとがき
『考える技術・書く技術』の概要
1973年8月31日に第一刷の発行。講談社現代新書。211ページ。時を経ても多くの示唆を与えてくれる名著。
とくに老化現象は、老いのくりごとになって、いっこうに自分の立場を変えようとしない頑固さを伴いがちである。「わしの若い頃は」という言葉を連発するようになったら、知能の発達がとまったことを意味する。(P.41「Ⅱ-視点」)
ここでは、視点の供給を外部に頼るだけではなく、意識的に自分の内部も変化させよ、と述べている。
柔軟さが欠乏してきたら、老化現象の始まり。所謂、老害というものになってしまう。
絶えず、多角的な視点を持つべきであり、それは発想の源泉に繋がる。
夜の睡眠から開放されたときが疲労がいちばん回復している状態だから、読む時間があったら本をとり上げる。(P.52「Ⅲ-読書」)
朝の寝起きの読書の推奨。頭が充分な休息を得た後なのだから、知識を吸収するのには最適な時間であると説く。
因みにこの文章の前の部分では、情報が過多になってきているので、情報処理の技術が必要。
また「いかに読むか」よりも「いかに読まないか」が重要であるとも指摘する。
人間の微妙な脳のはたらきにもとづく読み・書き・考えなどの精神活動が、文房具が与える視覚・触覚・重量感またその位置などの影響に左右されないはずはない。いろいろと試してみると、面白いほど効果のちがうものであることは、自信をもって請け合うことができる。(P.108「Ⅳ-整理」)
ボールペン、万年筆、鉛筆、ノート、メモ帳など。現代であれば、スマートフォンやタブレットなどの各種のデバイス。
自らの知的活動において、周辺の道具をしっかりと好みや使いやすさなどに応じて選別すべし、という事。
実際にここでは、その後段でインテリアなどにも言及している。机や椅子、レイアウト、間取り。
さらに発展させれば服装や髪型、眼鏡、アクセサリーなどにも結びついていく。
けっきょく、アイディアを得るためのルールはない、ということになる。アイディアというものが、そもそも確立されているルールを破壊するのを目的とするものだから、やむを得ないことであろう。カード・システムやファイル・システムという知的な活動と、身体を動かしたり、関係のない事に精神集中したりする、どちらかというと情動的な活動とが、たがいに入り組んで反撥し調和するところで、創造的な考えが生まれる。(P.127「Ⅴ-発想」)
アイディアを得るための必勝法はない。
頭を使ったり、体を動かしたりすると、新たな考え方が生まれる事が多いようだ、という方向性。
色々と試行錯誤を繰り返して、自分なりの方法論を見つけ出しなさいという結論に到る。
またずっと同じ知的作業に集中するのではなく、それを全く忘却できるような活動を取り入れるのも良いかもしれないと記載。
買い物、ロッキング・チェア、散歩、映画などが、この記述の前に書かれている。
知識とか教養というものの第一歩は、知っていることと知らないことをはっきり区別することだ。また、自分で考えたことと他人から教わったこととを、はっきりと区別することである。(P.200「Ⅷ-まとめ」)
明確に自説と他説の境界線を明確にしなさい、という事。
どの道でも、ほとんどは他人の考えたもので、一人の人間の独創は、極わずかである。
私のものは非常に少ないと思うかもしれないが、それだけでも立派な仕事で、その人の功績に充分なると伝える。
誠実さの大切さ。
『考える技術・書く技術』の感想
本を読んだり、文章を書いたりするのが好きだったので、知的生産系の本の繋がりで読み始めた気がする。
具体的な方法論の記載も多く参考になる。
興味の無い雑誌も多数読んで、雑多な情報に触れる事など、様々な視点を得られるので分かりやすい。
現在で言えば、色々なウェブメディアの訪問なども。
読書で言えば、多読や外国語の習得の重要性も多くの学者や評論家が述べるように、板坂元も指摘している。
物事に処する誠実と情熱についても。また自分の方法論を創出しなさいという事も。
私の場合には、読書は2、3冊を同時並行で読んでいる。カテゴリーは、ビジネス、文学、歴史小説などがメイン。
さらに掘り下げて、ビジネスでは、マーケティングやウェブ、ソーシャルメディアなどの本が多いかもしれない。
語学で言えば、英語の勉強も継続している。気分転換には、Amazon Prime VideoやNetflix、Disney+などで、映画やドラマなどを鑑賞。
身体的な部分で言えば、散歩が好きであったり、スーパー銭湯に行ったりする事も。
今後は、こういった人達が学んだり、教鞭と執ったりした海外の大学を観光してみたいと考えている。
因みに『考える技術・書く技術』には続編として『続 考える技術・書く技術』もあり非常にオススメである。
書籍紹介
関連書籍
関連スポット
ケンブリッジ大学
イギリスのケンブリッジにある総合大学。
公式サイト:ケンブリッジ大学
ハーバード大学
アメリカのマサチューセッツ州にある私立大学。
公式サイト:ハーバード大学