『スモールビジネスの教科書【実践編】』武田所長

武田所長の略歴

武田所長(たけだしょちょう)
経営者、事業家。
東京大学を卒業後、戦略系コンサルティングファームに入社。
退職後に、20以上のビジネスを展開し、それぞれの売上は年間数百万円~10億円。
「安定・着実」に「社員数30人以下・営業利益で年間3000万円以上」を目指すスモールビジネスを推奨。

『スモールビジネスの教科書【実践編】』の目次

はじめに
本書のの構成
協力してくださったスモビジオーナー
第1部 スモビジを開始する
第1章 儲かる情報を入手する
事例 スモビジオーナーたちの情報源
解説 何が今儲かっているのか、それは何故儲かるのか
第2章 着手すべき事業を見極める
事例 参入事業の見極めと撤退基準
解説 常に新しいものに手をつけ、新しい波に乗り換えていく
第3章 最初から売上が立つ事業とは何か?
事例 スモビジ参入事例と結果
解説 最初は独自性よりも安定確実性
第4章 参入初期の動き方
事例 参入初期にどう動いたか
解説 自らの手を動かす
第2部 スモビジを軌道に乗せる
第1章 金払いのよい顧客を見つける
事例 注力セグメントの見つけ方
解説 注力セグメントを発見・理解し特化する
第2章 競合優位性を確率する
事例 持続的な優位性の実現方法
解説 持続可能な優位性を作るには
第3章 売れる営業・販売チャネルを発見する
事例 代理店、コミュニティ、最新より王道
解説 適切な販売・営業チャネルの発見には労を惜しむな
第4章 事業を改善し勝ち続ける
事例 スモビジオーナーたちが日々行っていること
解説 スモビジは「信頼」と「日々の改善」の上に成り立つ
第5章 失敗を次に繋げる
事例 事業の失敗と対応方法
解説 失敗との向き合い方
全体サマリー
FAQ
おわりに

概要

2023年11月15日に第一刷が発行。実業之日本社。229ページ。ソフトカバー。127mm✕188mm。四六判。

2022年4月7日に発売された『スモールビジネスの教科書』の続編が、『スモールビジネスの教科書【実践編】』

4、5ページに「本書におけるスモールビジネスの定義」が記載されている。

「年間に安定して3000万円以上、自由に使える金を2年以内に創出出来る」、「社員数30名以下・営業利益で年間3000万円以上を目指す」など。

感想

前作である『スモールビジネスの教科書』が面白かったので、続編の『スモールビジネスの教科書【実践編】』も読んでみた。

結論としては、やはり興味深く勉強になった。

情報としては分かっていても、自分で実際に行動してみるとなると難しいというのも、なかなか悲しい人間の性である。

陥りやすい点などがまとめられているのも良い点。

複数のスモールビジネスのオーナーの具体例や意見などが掲載されているのも特徴である。

基本的にスモールビジネスでは長期的なビジネスを目指すのではなく、ある程度の期間で収益を上げて、別の事業に移行していく形。

そこで、事業着手の優先度を決める3つのポイントとして、性格、強み、市場を挙げる。

さらに注意点として以下についても。

多くのスモビジオーナーは失敗する人の特徴として「特定の商材にこだわりすぎていること」を上げている。
自分が好きであることとビジネスとして成功することには大きな隔たりがあるのだ。(P.65:第1部 スモビジを開始する・第2章 着手すべき事業を見極める)

特定の商材にこだわらない。自分の好きなことだけに集中しない。

趣味やボランティアのいる領域は、レッドオーシャン。

経済合理性を無視した相手がいるということだから。

確かに難しいところではあるが、まずは儲かるかどうか、というのが究極のポイントか。

あとは継続できるかどうか、という点もあるとは思うが。参入障壁の低さ、高さなども考慮しないといけない。

アイデアの手始めに、まずは自分の好きな領域などから考えてみるのは、一つの方法かもしれない。

損切り、撤退なども最初から念頭に置いておくということか。

IR資料を見てみると驚くほど多くの数値、具体的な顧客名が開示されている。(P.75:第1部 スモビジを開始する・第2章 着手すべき事業を見極める)

IR資料とは、Investor Relations資料のこと。

企業が、株主や投資家向けに、経営状況や財務状況など発信する広報活動の資料。

ここから「誰が・何に・何故・どの程度支払い・どのような効果を得ているのかという事例を」読み解いて、頭の中に入れて置くのが有効であると。

儲かっている領域。儲かっている企業。

儲かっていない領域。儲かっていない企業。

IR資料で明確に分かると。そのため、何となくメディアや雰囲気で、儲かっていそうでも、実は儲かっていない、というものが多いとも。

自分も積極的にIR資料を読んでいこうと思う。

営業というのはスモビジを安定させるための必須スキルである。(P.75:第1部 スモビジを開始する・第3章 最初から売上が立つ事業とは何か?)

当然のことではあるが、営業力は重要。どのように露出していくのか、というのも。

営業に関しても仕組み化というか、システム化してしまっている企業もあるみたいだし。

あとはキーエンスのように、恐ろしい程の営業力を兼ね備えた企業もあるし。

スモールビジネスでも、営業力の設計がポイント。まぁ、あとは、詰まる所、人に会うということか。

「私らのサービスを導入すれば売上があがりますよ」と訴求出来るサービスは「私らのサービスを導入すれば手間が削減出来ますよ」より強いのだ。(P.125:第2部 スモビジを軌道に乗せる・第1章 金払いのよい顧客を見つける)

売上向上>手間削減。

便利や楽になりますよ、よりも、売上が伸びますよ、の方が強い。

ということは、合わせ技でいけば良いのか。

売上が伸びるし、また、手間も削減できます、みたいな。

訴求できる文言を論理的に準備しておくこと。事例を用意していおく。導入したら、分かりやすい成果を残す。クライアントを紹介してもらう。口コミで広めてもらう。

といった流れが理想ではある。

まず自分が考えたものとの類似品は必ずある。
なければ自分が考えたビジネス自体が妄想である可能性が高い。
むしろ類似品があることは良いことだ。
類似品が成功している場合はもっと良い。(P.166:第2部 スモビジを軌道に乗せる・第2章 競合優位性を確立する)

類似品はあって当たり前。アイデアにほとんど価値がない、みたいなものと同じか。

類似品が成功していたら、そこから地域や注力セグメント、価格などを変えて、市場に投入すると成功確率が上がるといった指摘も。

他社の成功事例から学ぶ。同時に、他社の失敗事例からも学ぶ。

良かれ悪しかれ、学んで吸収するという構えが良いか。

最初から有料で提供し、支払い意思を確認するべきである。(P.220:FAQ)

初期段階で実験的に無料サービスするのも、してはいけない、と。

ここで「いくら払ってくれるのか」を確認する。

企業、業界、関係性、提供サービスの内容のバランス。

調整しながら、相場というか、懐具合の推測か。

ここはしっかりと基準を持っておかなければならないところ。

おおよそ平日平均10時間程度、休日3時間程度である。(P.224:FAQ)

武田所長は、普段どのくらいの時間を仕事に当てているのか、といった内容の質問に対する答え。

まぁ、やはり、それなりに働いている。

休日に関しても、バッファ的なものなので、締め切りなどの前などは平日扱いになるとも。

成果を出すには、ある程度以上の業務時間が必要ってことだよな。

もともと体力がある感じなのだろうか。体育会系というイメージはあまりないが。

文量もほどほどで、非常に読みやすい文体と合わさって、スムーズに読み進められる。

前著『スモールビジネスの教科書』と同様に、スモールビジネスに興味のある人には非常にオススメの本である。

書籍紹介

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