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森岡毅/今西聖貴【再読】『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティング』要約・感想

森岡毅/今西聖貴『確率思考の戦略論』表紙

  1. 市場構造の理解:市場を徹底的に分析し、勝てる戦場を見極める戦略的アプローチが成功の基盤。
  2. 消費者の好み(プレファレンス):消費者の好みが市場を動かすため、ブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスの向上が鍵。
  3. 戦略の焦点:マーケティング戦略は好み、認知、配荷の3要素に集約され、特に好みの強化が重要。
  4. 科学的アプローチ:データと確率論に基づく冷静な分析と情熱的な実行が、マーケティングを成功に導く。

森岡毅の略歴・経歴

森岡毅(もりおか・つよし、1972年~)
マーケター。
兵庫県伊丹市の出身。兵庫県立伊丹高等学校、神戸大学経営学部を卒業。P&Gジャパンマーケティング本部を経て、USJに入社。2017年に独立して、マーケティング会社「刀」を創業。

今西聖貴の略歴・経歴

今西聖貴(いまにし・せいき、1953年~)
アナリスト。
大阪府の出身。米国シンシナティ大学大学院理数部数学科修士課程を卒業。
水産会社、P&Gを経て、USJに入社。

『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』の目次

序章 ビジネスの神様はシンプルな顔をしている
第1章 市場構造の本質
第2章 戦略の本質とは何か?
第3章 戦略はどうつくるのか?
第4章 数字に熱を込めろ!
第5章 市場調査の本質と役割―プレファレンスを知る
第6章 需要予測の理論と実際―プレファレンスの採算性
第7章 消費者データの危険性
第8章 マーケティングを機能させる組織
巻末解説1 確率理論の導入とプレファレンスの数学的説明
巻末解説2 市場理解と予測に役立つ数学ツール
終章 2015年10月にUSJがTDLを超えた数学的論拠

『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』の概要・内容

2016年5月31日に第一刷が発行。角川書店。311ページ。ハードカバー。148mm×210mm。A5判。

副題は「USJでも実証された数学マーケティングの力」。

ビジネスにおける確率思考を高めるためにマーケターの森岡毅とアナリストの今西聖貴が共同で執筆した著作。

序章~第4章の前半の戦略の部分は、森岡毅。第5章~7章までの後半の消費者調査の部分は今西聖貴。

といった分担的な視点で書かれているが、基本的に全体を通して二人で協力して執筆しているとのこと。

『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティング』の要約・感想

  • 勝てる戦場を見極める市場構造の理解
  • 消費者の心を動かすたった一つの本質
  • 戦略の核心は3つの要素に集約される
  • 感覚に頼らない科学的マーケティングの構築法
  • 冷静な判断と情熱的な実行の使い分け
  • 消費者データの罠を見抜き、正しく活用する
  • 人生の成功確率を高める確率思考のすすめ

ビジネスやキャリアにおいて、完全に成功が約束された道は存在しない。しかし、その成功確率を極限まで高めるための思考法と方法論は、確かに存在する。

本書『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティング』は、その具体的な思考法と実践術を、「数学」という万国共通の客観的な言語を用いて、誰にでも理解できるよう解き明かした一冊である。

著者は、世界的な消費財メーカーP&Gで輝かしい実績を積んだ後、経営危機に瀕していたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)をV字回復へと導いた立役者として知られるマーケター、森岡毅(もりおか・つよし、1972年~)。

そして、その戦略を背後で支え、数学的観点から理論の正しさを証明したアナリスト、今西聖貴(いまにし・せいき、1953年~)である。

この二人の専門家、すなわち「戦略家」と「数学者」の知見が融合することで、本書の理論は圧倒的な説得力と再現性を獲得している。

本書で一貫して語られるのは、個人の才能やひらめきに依存した精神論や、過去の成功体験に縛られた経験則ではない。

徹底したデータ分析と冷徹な確率論に基づいた、極めて科学的なマーケティング戦略である。

なぜUSJは、誰もが不可能だと考えた奇跡的な復活を遂げることができたのか。

その根幹には、ビジネスにおける不確実性を乗りこなし、成功の蓋然性を上げるための「確率思考」があった。

この記事では、本書の核心部分に深く触れながら、ビジネスの現場だけでなく、仕事や人生のあらゆる局面で応用可能な、その思考のエッセンスを探求していく。

勝てる戦場を見極める市場構造の理解

多くの人がビジネスの成功を夢見て、多大な努力を注ぎ込む。しかし、その努力が必ずしも報われるわけではない。

その最大の理由の一つは、そもそも「勝てない戦」に貴重な経営資源を投下してしまっているケースが後を絶たないからだ。

森岡毅は、自身の成功の秘訣、そしてUSJ復活の第一歩がどこにあったのかを、次のように明快に語っている。

私は市場構造を精緻に理解することに情熱を燃やし、「勝てる戦いを見つけること」と「市場構造を利用する方法を考えること」に思考を集中しているのです。つまり勝てない戦を避けて、勝てる戦を選んでいるから、結果として勝つ確率が高いだけなのです。(P.21「市場構造の本質」)

USJのV字回復という華々しい実績の裏側には、このような極めて冷静かつ客観的な現状分析があった。

それは、希望的観測や精神論を一切排除し、自社が置かれている市場の構造、競合の強さ、顧客の動向などを、手術台の上で解剖するかのように徹底的に理解することから始まる。

闇雲に努力するのではなく、まず自らが置かれている「戦場」の地形を把握し、どこに攻め込めば勝率が高いのか、どの戦いは避けるべきなのかを見極める。

この視点こそが、あらゆる戦略を立てる上での揺るぎない大前提となるのである。

消費者の心を動かすたった一つの本質

では、その複雑に見える市場構造を決定づけている、最も根源的な要素とは一体何なのだろうか。

業界や商品が異なれば、その構造も千差万別に見える。しかし森岡毅は、その答えは驚くほどシンプルであると断言する。

それら市場構造を決定づけているDNA、あるいは震源とも言うべき「本質」は一体何でしょうか? いきなり革新の答えを申し上げますが、それは消費者のPreference(プレファレンス)です。プレファレンスとは、消費者のブランドに対する相対的な好意度(簡単に言えば「好み」)のことで、主にブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスの3つによって決定されています。(P.22「市場構造の本質」)

市場を動かす根源は、消費者の「好み」、すなわちプレファレンスに他ならない。そして、そのプレファレンスは、以下の3つの要素によって形成されると本書は定義する。

  1. ブランド・エクイティー:そのブランドが長年にわたって築き上げてきた信頼、安心感、憧れといった無形の資産価値。
  2. 価格:単なる安さではなく、提供される価値に対して消費者が納得できるかどうかという「価格の魅力」。
  3. 製品パフォーマンス:製品やサービスそのものが持つ、基本的な性能や品質。

このシンプルな真理を深く理解することが、あらゆるマーケティング活動の出発点となる。

消費者は、何かを購入しようとする際、世の中に存在する無数の選択肢の中から一つを選ぶわけではない。

多くの場合、人間の脳は情報処理の負担を軽減するため、無意識のうちにいくつかの信頼できる候補に絞り込んでいる。

消費者の頭の中には、今までの購入経験から買って良いと思ういくつかの候補となるブランドがあるということです。それらの購入候補であるいくつかのブランドの組み合わせを「Evoked Set(エボークト・セット)」とマーケティング用語で呼びます。(P.32「市場構造の本質」)

消費者の頭の中に存在する、この「購入候補リスト(エボークト・セット)」に入り込むこと。

これができなければ、ビジネスの土俵にすら上がれない。

そして、そのリストの中で最も選ばれる存在になるためには、前述の3要素から成るプレファレンスを地道に、しかし戦略的に高めていく以外に道はないのである。

戦略の核心は3つの要素に集約される

市場構造を理解し、プレファレンスの重要性を認識した上で、次に取り組むべきは具体的な戦略の立案である。

しかし、多くの戦略が絵に描いた餅で終わる背景には、ある共通の過ちが存在するという。

市場構造にはコントロールすべきものと、コントロールしにくい(あるいはできない)ものがあるのです。マーケティング戦略に限らず、戦略が失敗する時は、知らず知らずのうちに自分達でコントロールできなことに多くの経営資源を投入してしまっているパターンが非常に多く見られます。(P.39「戦略の本質とは何か?」)

自社の努力で変えられる領域と、そうでない領域(例えば、景気の動向や法規制など)を冷静に見極めること。

この峻別が、戦略の精度を大きく左右する。我々が貴重な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を投入すべきは、当然ながら前者である。

では、そのコントロール可能な領域とは具体的に何なのだろうか。

ようするに戦略の行きつく先もその3つしかないということです。戦略、つまり経営資源の配分先は、結局のところPreference(好意度)、Awareness(認知)、Distribution(配荷)の3つに集約されるのです。その中でも無限の可能性を持っているのはプレファレンスのみですから、戦略の究極的な焦点は消費者プレファレンスを高めることです。(P.40「戦略の本質とは何か?」)

戦略の焦点は、驚くほどシンプルに「プレファレンス(好み)」「アウェアネス(認知)」「ディストリビューション(配荷)」の3つに集約される。

消費者にいかに好かれるか、いかにその存在を知ってもらうか、そして、いかに商品を手に取りやすくするか。

企業のあらゆるマーケティング活動は、突き詰めればこの3つのいずれかに分類される。

中でも、ブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスの3要素から成るプレファレンスは、工夫次第で無限に高められる可能性を秘めている。

認知度や配荷率は100%が上限だが、好意度には上限がない。

したがって、戦略の究極的な目的は、このプレファレンスを最大化することにある。

認知と配荷を伸ばす具体的なアプローチ

プレファレンスが戦略の最重要項目である一方、それがどれだけ高くても、消費者に知られていなければ、あるいは欲しい時に手に入らなければ、売上には決して繋がらない。

「認知」と「配荷」の戦略もまた、ビジネス成長に不可欠な両輪である。

森岡毅は、認知度を高めるための型破りなアプローチを自ら実践している。

私は死ぬほど忙しかった2013年10月から11月にかけての6週間で、業務時間は一切使わず、自分のプライベートの時間をほぼ全て費やして1冊の本を執筆しました。それが私の処女作となった『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』(角川文庫)です。(P.49「戦略の本質とは何か?」)

USJの改革で多忙を極める中、わずか6週間、しかも業務時間外のプライベートな時間だけで一冊の本を書き上げるというエピソードは、彼の情熱と実行力の凄まじさを物語っている。

しかし、これは単なる武勇伝ではない。

自らの考えや実績を本という形で世に問うことで、USJというブランドだけでなく、森岡毅自身の「認知」を飛躍的に高めるための、極めて高度な戦略的マーケティング活動だったのである。

ただ、睡眠はしっかりと取っていたのかは非常に気になるが。あとは、基本的な体力、持久力の強さも。

一方で、「配荷」、つまり商品を顧客に届ける仕組みについても、多くの企業は改善の余地を残している。

単に商品を店頭に並べるだけでは、配荷戦略としては不十分なのだ。

自社ブランドがその店に配荷されていると言っても、何SKU(SKU:商品の最小管理単位のこと。Stock Keeping Unitの略)配荷されているのか、そのSKUの組み合わせはその店の顧客のプレファレンスに噛み合っているのか、棚のどのくらい有利な位置に置かれているのか、理想の価格設定は実現できているのか等々、その実情においては大きな質的な差があるのです。配荷の質、すなわち配荷の内容を質的に改善することでも、1配荷単位あたりの売上を伸ばすことができ、ビジネスを大きく改善することができます。(P.54「戦略の本質とは何か?」)

配荷には「量」だけでなく「質」が存在する。

店舗の顧客層に合わせた商品ラインナップ(SKU)の最適化、顧客の目線の高さにあるゴールデンゾーンへの陳列、適切な価格設定など。

配荷の「質」を高める細やかな改善の一つ一つが、売上の最大化に直結する。

これもまた、データに基づいた科学的な分析によって最適解を導き出すべき領域なのである。

感覚に頼らない科学的マーケティングの構築法

本書が一貫して読者に訴えかけるのは、マーケティングは一部の天才が生み出すアートや勘ではなく、誰もが学び、実践できるサイエンス(科学)であるべきだという力強い思想である。

マーケティングは、どれだけ成功確率を高められるかを模索し続ける「科学」を基本としなくてはならない。それは私の信念です。(P.75「戦略はどうつくるのか?」)

この「科学」としてのマーケティングは、価格設定のような具体的な戦術レベルにまで貫かれている。

例えば、付加価値の高い商品を提供する際の価格設定について、尊敬するダーク・ヤーガー(Dirk I. Jager、1943年~2022年)の教えを引用し、その本質を説いている。

「プレミアム・プライシングは正しい」。それは、私が尊敬しているP&G世界本社の元CEO(かつては日本法人の社長でもあった)ダーク・ヤーガーが残してくれた教えでもあります。その一番の根拠は、消費者を継続的に喜ばすために必要な原資を獲得するためには、プレミアム・プライシングでないと難しいということです。(P.89「戦略はどうつくるのか?」)

消費者に長期的に価値を提供し続けるためには、製品開発やサービス改善のための原資が必要不可欠である。

そのためには、適切な利益を確保できる価格設定、すなわちプレミアム・プライシングが正当化されるという考え方だ。これは単なる値上げの推奨ではない。

データに基づき、顧客がその価値を十分に納得し、かつ企業が持続的に成長し続けられる最適な価格帯を見つけ出すことこそが、科学的なアプローチなのである。

さらに、戦略立案のプロセスにおいても、その科学的な思考は徹底されている。

最善と思われるシナリオを一つ作るだけで満足することはない。

そうやってベストだと思える目的から逆算したシナリオ(戦略)を導き出すとき、私が必ずやることにしていることがあります。同じ目的を、そのベストシナリオとはできるだけ違う道筋で達成する戦略をもう1つ考えてみるのです。(P.100「戦略はどうつくるのか?」)

考え抜いたAプランに対し、あえて全く異なる前提やアプローチのBプランを立案する。

このプロセスは、Aプランの弱点や盲点、潜在的なリスクを浮き彫りにするための「思考のテスト」である。

これにより、主軸となる戦略をより強固で、不測の事態にも耐えうるものへと磨き上げることができる。

これもまた、成功確率を上げるための極めて合理的な手法の一つだ。

冷静な判断と情熱的な実行の使い分け

科学的、合理的、確率論的。

こうした言葉が並ぶと、どこか冷徹で機械的な仕事の進め方を想像するかもしれない。

しかし、森岡毅は、戦略の「実行」段階においては、むしろ「熱」が決定的に重要になると説く。

肝心なのは、その使い分けである。

意志決定そのものに「熱」は要りません、むしろ「熱」は邪魔になります。極めて冷静に、目的に対して純粋に確率が高いもんを選ぶだけです。熱量が要るのはその後、決定した方向に人を説得したり、戦術を実施したりする次の段階です。(P.129「数字に熱を込めろ!」)

戦略を「選択」する意志決定のフェーズでは、個人の感情や希望的観測、あるいは過去の成功体験への固執といった「熱」は、判断を曇らせるノイズになり得る。

目的達成のために最も確率の高い選択肢は何か。

それをデータに基づき、極めて冷静に判断する。

そして、一度進むべき道が決まったならば、そこからは熱量を持って周囲を巻き込み、組織を動かし、立ちはだかる困難を乗り越えるために戦術を徹底的に実行していく。

この「冷静な頭脳」と「熱い心」の分離と使い分けこそが、現代のリーダーに求められる重要な資質なのである。

消費者データの罠を見抜き、正しく活用する

データに基づいた科学的なアプローチを根幹に据える本書だが、同時に、そのデータ、特に消費者データの危険性についても強く警鐘を鳴らす。

データを盲信することは、時に大きな過ちに繋がる可能性があるからだ。

人の判断はコンテクスト(文脈や状況)に左右され、人は期待したことに対して評価するのです。(P.145「市場調査の本質と役割」)

同じ商品であっても、どのような状況で、どのような目的意識を持って使われるかという「コンテクスト」によって、その評価は180度変わることがある。

データを見る際には、その数字がどのような文脈、どのような状況下で生まれたものなのかを深く洞察する必要がある。

さらに、人間という存在の、より本質的な特性についても忘れてはならない。

「消費者の購入判断は感情的」ということに注意して下さい。(P.148「市場調査の本質と役割」)

人間は、自分が合理的であると信じたがる生き物だが、その行動の多くは感情によって左右されている。

特に「購入」という最終的な意思決定は、論理的なスペックの比較よりも、直感的な「好き」「欲しい」という感情がトリガーになることが多い。

この人間心理の根源的な事実を無視して、データ上の合理性だけを追求しても、消費者の心を動かすことはできない。

したがって、消費者データを扱う際には、常に以下の3つの点に注意深くあるべきだと本書は説く。

消費者データには、基本的に3つの注意すべき点があります。
(以下、抜粋)
「代表性があるのか」
「統計的に誤差を含む」
「同じ質問でも、聞き方や状況などにより数値が変わる(これをバイアスと呼びます)」(P.190「消費者データの危険性」)

データは、あくまで現実の一部を切り取った素材に過ぎない。

そのデータは本当に市場全体を代表しているのか、統計的な誤差はどの程度考慮すべきか、質問の仕方によって結果が意図せず歪められていないか。

こうした点を常に吟味し、データを鵜呑みにするのではなく、その数字の裏にある「真実」を読み解こうとする批判的な姿勢が不可欠なのである。

人生の成功確率を高める確率思考のすすめ

本書の射程は、マーケティングというビジネスの一領域にとどまらない。

その根底に流れる「確率思考」は、私たちのキャリア選択や日々の学習、さらには人間関係に至るまで、あらゆる意思決定に応用可能な、普遍的な武器となり得る。

共著者である今西聖貴は、その数学者としての視点から、終章で次のように読者に語りかける。

「できることは確率を上げること、結果に対して悔いはない」。常にこのような姿勢でいろいろなことに臨んでいただきたい。起こったことは変更できない。変えることができるのは未来のみです。これは「人事を尽くして天命を待つ」に近いと思います。ただ人事を尽くす過程で、目的に対する確率の概念を考慮して選択するよう心がけていただきたい。(P.297「2015年10月にUSJがTDLを超えた数学的論拠」)

人生は選択の連続であり、その一つ一つの選択が未来を形作っていく。

我々にできるのは、変えられない過去を悔やむことではなく、これから訪れる未来に繋がる選択の「成功確率」を、自らの思考と努力によって少しでも高めていくことだ。

それはまさに、古来の知恵である「人事を尽くして天命を待つ」の、「人事を尽くす」部分を科学的にアップデートする試みとも言える。

本書の後半では、プレファレンスを数学的に説明する理論や、需要予測に役立つ数学ツールが詳細に解説されている。

正直なところ、この部分は数学的な素養がなければ、一度で完全に理解するのは難しいかもしれない。

しかし、この難解に見える数学的なアプローチこそが、本書で語られる戦略論の信頼性と再現性を担保する、揺るぎない土台となっている。

この本をきっかけに、これまで苦手意識を持っていた確率や統計といった数学の分野を、自らの武器とするために学び直したいという、知的好奇心を強く刺激された読者も少なくないだろう。

『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』は、ビジネスの最前線で日々格闘する人々にとって、明日から使える強力な武器となる実践的な戦略書である。

同時に、自らのキャリアを主体的に切り拓こうとするすべての人々にとって、意思決定の質を格段に高め、未来の成功確率を引き上げるための思考法を授けてくれる、必読の人生の指南書とも言える一冊である。

書籍紹介

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