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【選書】山田風太郎のおすすめ本・書籍12選:エッセイ、随筆、日記、インタビュー

山田風太郎(やまだ・ふうたろう、1922年~2001年)といえば、『甲賀忍法帖』『魔界転生』など、奇想天外な「忍法帖」シリーズの巨匠としてあまりにも有名です。

しかし、その強烈なフィクションの世界を支えた「人間・山田風太郎」の素顔と思想に触れるなら、彼が遺したエッセイ、随筆、そして日記やインタビューこそが必読の書物といえます。

これらのノンフィクション作品には、戦争を生き抜いた冷静な観察眼、独自のユーモアとシニシズム、そして「死」を達観した哲学者の顔が鮮やかに浮かび上がります。

小説の源泉ともいえる、山田風太郎のエッセイや日記のおすすめの本を、手に取りやすい初心者向けの作品から、その世界観の核心に迫る必読書まで、厳選して12冊ご紹介します。

彼が遺した言葉の世界を巡る、選び方の一つとしてご活用ください。

1. 『あと千回の晩飯』山田風太郎

おすすめのポイント

山田風太郎のエッセイとして、まず最初におすすめしたい最高の一冊。

「晩飯を食うのもあと千回くらい」という衝撃的かつユーモラスな書き出しから、老いと死というテーマを正面から見つめた晩年の傑作です。

糖尿病やパーキンソン病との闘病を、持ち前のブラックユーモア(「国立大往生院」構想など)を交えて冷静に綴ります。

彼の死生観や人柄に触れる、まさに「最高の入門書」です。

次のような人におすすめ

  • 山田風太郎のエッセイを初めて読む人
  • 人生の「老い」や「死」というテーマに、ユーモアを持って向き合いたい人
  • シニカルでありながらも人間味あふれる哲学に触れたい人

2. 『風眼抄』山田風太郎

おすすめのポイント

著者名義で刊行された最初のエッセイ集。

師である江戸川乱歩への敬意と茶目っ気(「禿げれば尊し我が師の恩」)から、便意をこらえきれなかった話まで。

高尚なものと俗なものが混在する「風太郎節」の原点がここにあります。

気取らない筆致で、作家本人の素顔に最も手軽に会える、非常に読みやすいおすすめの随筆集です。

次のような人におすすめ

  • 山田風太郎本人の「人柄」やユニークなユーモアのセンスを知りたい人
  • 戦後の文学界や作家同士の交流に興味がある人
  • 短いエッセイで、彼の文体に気軽に触れたい初心者

3. 『人間万事嘘ばっかり』山田風太郎

おすすめのポイント

「人間万事塞翁が馬」をもじった表題が象徴的な、円熟期のシニカルな魅力が詰まったエッセイ集。

政治家が嘘の公約を掲げ、国民もそれを冷笑的に聞いているといった、人間の営みや社会を支配する「嘘」をテーマに、風太郎節が冴えわたります。

時代を超えて共感できる、痛快な社会・人間観察論としておすすめの一冊です。

次のような人におすすめ

  • 世の中の「建前」や「嘘」にうんざりしている人
  • 痛快でシニカルな世相斬りや社会批評を読みたい人
  • 山田風太郎の冷笑的ながらも鋭い人間観の真骨頂に触れたい人

4. 『風山房風呂焚き唄』山田風太郎

おすすめのポイント

蓼科の山荘「風山房」での日々を中心に、「旅」「食」「読書」「雑感」の4テーマで構成された随筆集。

古い町並みを「ウス汚い」と評したり、石川啄木のパロディで麻雀の歌を作ったりと、彼の「偏屈」でありながらも愛すべき人柄と知的な遊び心が満載です。

リラックスした筆致で、作家の私生活や本音を垣間見ることができます。

次のような人におすすめ

  • 作家の日常生活や趣味(旅、食、読書)に興味がある人
  • 世間の評価に流されない、独自の価値観に触れたい人
  • 心穏やかに読める、リラックスした筆致のエッセイを求めている人

5. 『風々院風々風々居士 ― 山田風太郎に聞く』山田風太郎(聞き手:森まゆみ)

おすすめのポイント

自身で考案した戒名を冠した、晩年のインタビュー集。

聞き手・森まゆみに対し、作家という道を選んだ理由「医者より坐っていればいいから楽」など、から自作への思いまで、重要なテーマを自らの「肉声」で語ります。

飄々としてユーモラス、気取らないのに鋭い彼の人柄と哲学が集大成されており、山田風太郎の全体像を知るのに最適なおすすめ本です。

次のような人におすすめ

  • 山田風太郎本人が語る「肉声」やインタビュー形式で読みたい人
  • 彼のエッセイで確立された人物像を、本人の言葉で確認したい人
  • 彼の人生と文学の「総まとめ」を手っ取り早く知りたい人

6. 『半身棺桶』山田風太郎

おすすめのポイント

「この世で最大の滑稽事は、自分が死ぬことだ」という中心的なテーマが繰り返し語られる、死生観エッセイ集。

「地上最大の当然事-他人の死。地上最大の意外事-自分の死」といった名言も多く、山田風太郎の哲学が純粋な形で蒸留されています。

『あと千回の晩飯』と並び、彼の死生観の核心に触れることができる必読書です。

次のような人におすすめ

  • 『あと千回の晩飯』を読んで、さらに深く彼の死生観を知りたくなった人
  • 「死」というテーマについて、宗教的・感傷的ではない言葉で考えたい人
  • 短くとも深遠な、哲学的な警句に触れたい人

7. 『死言状』山田風太郎

おすすめのポイント

麻雀から寝小便まで、日常のあらゆる事象に哲学を見出す「風太郎語録」の集大成。

「人間は長生きしすぎて、せっかくの完全形をみずから壊す」といった、シニカルで濾過されていない意見の宝庫です。

ナンセンスに見えて深遠な、彼の思想の真骨頂ともいえる警句の数々を断片的に楽しむことができます。

次のような人におすすめ

  • 山田風太郎の過激でシニカルな「本音」や「語録」に触れたい人
  • 物事の不条理や人間の愚かさを笑い飛ばすような視点が欲しい人
  • 隙間時間に少しずつ読み進められるエッセイを探している人

8. 『戦中派虫けら日記 ― 滅失への青春』山田風太郎

おすすめのポイント

『戦中派不戦日記』の前日譚にあたる、戦時下の日記。

戦争へと突き進む破滅的な時代の日常を「虫けら」の視点で記録した、もう一つの「日本国のカルテ」です。

この日記から読むことで、次項の『不戦日記』で描かれる崩壊のクライマックスが、より立体的に理解できます。

彼のシニシズムの原点を探る上で欠かせない青春の記録です。

次のような人におすすめ

  • 山田風太郎の世界観の「原点」に深く触れたい人
  • 太平洋戦争末期へと向かう、戦時下の日本の日常や空気感を知りたい人
  • 『戦中派不戦日記』を読む前に、その背景を知っておきたい人

9. 『戦中派不戦日記』山田風太郎

おすすめのポイント

山田風太郎の全著作の「原点」であり、昭和史の第一級資料とも評される金字塔的日記。

東京大空襲(「東方の空血のごとく燃え」)から玉音放送の翌日(「帝国ツイニ敵ニ屈ス。」)まで。

破滅へと向かう日本を、医学生の冷静な「傍観者」の視点で記録し続けた「日本国のカルテ」です。

彼のシニシズムと客観的な観察眼がどのように鍛え上げられたかを知るための、最重要の必読書です。

次のような人におすすめ

  • 山田風太郎という作家の思想的根幹、世界観の原点を知りたい人
  • 太平洋戦争末期の東京の様子を、個人の生々しい視点で追体験したい人
  • 単なる日記を超えた、歴史的なドキュメントや臨床報告書に関心がある人

10. 『昭和前期の青春 ― 山田風太郎エッセイ集成』山田風太郎

おすすめのポイント

『戦中派不戦日記』と対をなす重要なエッセイ集。

日記に記された当時の生々しい感情に対し、本書では成熟した作家として同じ時代を振り返り、太平洋戦争を「国家的狂気」であったと分析的に再検証します。

養父母との関係や「不良学生」時代など、彼が「傍観者」となっていったルーツも語られており、日記と併せて読むことで理解が深まります。

次のような人におすすめ

  • 『戦中派不戦日記』を読み終え、その時代を山田風太郎自身がどう分析したか知りたい人
  • なぜ日本があの戦争に突き進んだのか、彼の成熟した戦争観に触れたい人
  • 彼の「傍観者」としての視点が、どのように形成されたのかを知りたい人

11. 『わが推理小説零年 ― 山田風太郎エッセイ集成』山田風太郎

おすすめのポイント

「作家・山田風太郎」がいかにして誕生したかを理解するために不可欠なエッセイ集。

『達磨峠の事件』でのデビューの経緯、師である江戸川乱歩との交流。

そして戦争の焼け跡から「真に新しい面白さ」を追求しようとした野心など、彼の創作の原点が詳述されています。

ミステリーファンや、彼の初期作品の創作秘話を知りたい人におすすめです。

次のような人におすすめ

  • 山田風太郎の小説家としての「始まり」やデビュー秘話に興味がある人
  • 江戸川乱歩と山田風太郎の関係性を知りたいミステリーファン
  • 作家が自作の舞台裏や創作論を語るエッセイが好きな人

12. 『秀吉はいつ知ったか ― 山田風太郎エッセイ集成』山田風太郎

おすすめのポイント

彼の歴史小説や忍法帖の背後にある「知的エンジン」を覗き見ることができる歴史エッセイ集。

表題作「秀吉はいつ知ったか」のように、歴史上の謎に対して探偵の思考と小説家の想像力で挑みます。

歴史上の人物を英雄視せず、シニカルで人間味あふれる視点で捉える「山田流」歴史観の真骨頂であり、彼のフィクションを解く鍵ともなる一冊です。

次のような人におすすめ

  • 山田風太郎の歴史小説や忍法帖のファンで、その着想の源泉を知りたい人
  • ミステリーを解くように、日本史の謎ときに挑む歴史エッセイが好きな人
  • 英雄譚ではない、シニカルで人間臭い歴史観に触れたい人

まとめ:小説世界を解く「鍵」としてのノンフィクション

山田風太郎のエッセイ、日記、インタビューの世界は、彼が創造した忍法帖のフィクションに勝るとも劣らない、刺激的で奥深い魅力に満ちています。

冷静な戦争の証言者、死をユーモラスに見つめる哲学者、そして痛快な社会批評家。

彼が持つ多面的な顔は、すべてノンフィクション作品の中に刻まれています。

これらの本は、それぞれが独立した読み物として面白いのはもちろん、山田風太郎の壮大な小説世界をより深く理解するための「鍵」の役割も果たします。

今回ご紹介したおすすめの本の中から、気になる一冊を手に取ってみてください。

きっと、そのシニカルで人間味あふれる言葉の虜になるはずです。