『「空海の風景」を旅する』NHK取材班

『「空海の風景」を旅する』の目次

プロローグ 『空海の風景』への度はこうして始まった
第一章 なぜ、今、空海なのか
第二章 讃岐
第三章 奈良
第四章 室戸岬
第五章 渡海
第六章 長安
第七章 博多
第八章 空海と最澄
第九章 東寺
第十章 高野山
エピローグ 「空海」現在の風景
あとがき
主要参考文献
コラム 時代をこえる碑の林
「弘法大師行状絵詞」撮影記

概要

2005年8月25日に第一刷が発行。中公文庫。
2002年8月に中央公論新社から刊行された単行本を文庫化したもの。

2002年1月4、5日に2回に分けて放送したNHKスペシャル「空海の風景」の番組制作スタッフによる歴史紀行。

『空海の風景』は、作家・司馬遼太郎(しば・りょうたろう、1923年~1996年)が、真言宗の開祖となった空海(くうかい、774年~835年)を主人公として描いた歴史小説。

単行本は1975年10月に、文庫本は1978年1月に発売された。

この『空海の風景』の舞台となった場所を巡って、解説を加えていく本書。

NHK取材班の中の4人が執筆者となり、各章をそれぞれが担当して記述している。現地で各所に取材をして聞き取り調査なども。

『空海の風景』を始め、『街道をゆく』『この国のかたち』など、司馬遼太郎のその他の作品からの引用や考察もある。

文庫で374ページというなかなかの文量ではあるが、非常に内容の濃い歴史紀行の作品。

感想

空海のことは何となく知っていた程度だった。自分は書道をしているので、書道の上手い人であるということも、もちろん知っていた。

ただ、具体的にどのような人だったのだろうか、という疑問がずっとあった。

そのような折に、コンサルタントの今北純一(いまきた・じゅんいち、1946年~2018年)の著書『新しい時代を切り拓く賢者の知恵』の中で、空海と最澄(さいちょう、767年~822年)のことが書かれていた。

益々、空海について関心が高まって、司馬遼太郎の『空海の風景』を読むことになった。

『空海の風景』は、とても深く、非常に楽しめた。続けて、この『「空海の風景」を旅する』を読む。

すると、空海の縁のお寺や場所などにも興味を持ち、出掛け始めるようになってしまった。

和歌山・高野山の金剛峯寺、京都の東寺、香川の善通寺など、所謂、弘法大師・空海の三大霊場と言われる場所も巡った。

ちなみに、弘法大師というのは、921年に第60代天皇・醍醐天皇(だいごてんのう、885年~930年)から贈られた諡(おくりな)。

その他にも関連した寺院や場所なども。ライターの仕事としても、各スポットを記事にして紹介したこともある。

まだまだ行ってみたい場所は沢山あるけれど、回り切れないくらい多い縁の地。いつか長安にも行ってみたいと密かに考えている。

この作品では、司馬遼太郎の『空海の風景』を客観的というか、程良く距離を置きながら解説、分析している。さまざまな現地の声なども取材しながら。

写真や図なども豊富に掲載されているのもポイント。『空海の風景』が好きな人なら是非オススメの一冊である。

主要参考文献も列挙されているので、そこからさらに深堀りしていくのも面白いと思う。

書籍紹介

関連書籍

関連スポット

善通寺

香川県善通寺市にある寺院。真言宗善通寺派総本山。空海が生まれ育った場所。

公式サイト:善通寺

御厨人窟・神明窟

高知県室戸市室戸岬町にある御厨人窟(みくろうど)・神明窟(しんめいくつ)。空海が修行をし、悟りを開いたとされる場所。
公式サイトなどは特に無い。

東寺

京都市南区九条町にある東寺真言宗の総本山の寺院。

教王護国寺(きょうおうごこくじ)とも呼ばれる。796年に創建され、823年に第52代天皇・嵯峨天皇(さがてんのう、786年~823年)から、空海へと下賜された。

公式サイト:東寺

金剛峯寺

和歌山県伊都郡高野町高野山にある高野山真言宗の総本山の寺院。816年に嵯峨天皇から高野山の地を賜る。

公式サイト:金剛峯寺