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【選書】佐伯泰英のおすすめ本・書籍12選:歴史・時代小説、傑作、代表作、読む順番

累計発行部数は5000万部を超え、出版界に「佐伯山脈」と呼ばれる巨大な金字塔を打ち立てた作家、佐伯泰英(さえき・やすひで、1942年~)。

その圧倒的な作品数ゆえに、

「佐伯泰英の歴史・時代小説を読んでみたいけれど、どの本から手をつければいいか分からない」

と悩む初心者の方も多いはず。

この記事では、そんな「佐伯山脈」への最初の一歩を踏み出すためのガイドとして、佐伯泰英のおすすめの本を「読みやすさ・とっつきやすさ」を基準に12シリーズ厳選して紹介します。

映画的な読みやすい文章と、現代にも通じるエンターテイメント性が魅力の「佐伯ワールド」。

この「読む順番」ガイドを参考に、あなたの好みに合う最高の一冊を見つけてください。


1. 『陽炎ノ辻 — 居眠り磐音 江戸双紙(一)』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

佐伯泰英作品の金字塔にして、NHKでの「陽炎の辻」としてのドラマ化、松坂桃李主演での映画化も果たした超・王道シリーズ。

主人公・坂崎磐音は、普段は鰻捕りの師匠もする温厚な好青年。

しかし一度剣を抜けば、必殺の剣を繰り出す最強の達人。

悲劇的な過去を背負い江戸に流れ着いた彼が、人情味あふれる人々との交流を経て、巨悪と対峙していく一代記。

全51巻という壮大さですが、メディアミックスも多く、佐伯泰英の歴史・時代小説の「王道」として、まず手に取るべきおすすめの本です。

次のような人におすすめ

  • 佐伯泰英作品の「最高峰」「王道」から読み始めたい人
  • ドラマや映画で「居眠り磐音」を知り、原作に触れてみたい人
  • 優しくて、しかも圧倒的に強いヒーローが活躍する大河ロマンが読みたい人

2. 『御鑓拝借 酔いどれ小籐次(一)決定版』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

著者が古稀(70歳)を機に新境地を目指した意欲作。

主人公・赤目小籐次は、「酔いどれ」と侮られる冴えない浪人。

しかしその実態は、剣ではなく「槍」の達人。

天性の明るさと図太さで事件を痛快に解決していきます。

『磐音』の「静」に対し、こちらは「動」の魅力に溢れた型破りなヒーロー像が魅力。

優等生的な主人公は物足りない、という読者におすすめしたい、痛快無比なシリーズです。

次のような人におすすめ

  • 『磐音』とはひと味違う、クセのある個性的な主人公が好きな人
  • 普段はダメに見えるが、実は最強というギャップ萌えに惹かれる人
  • 剣ではなく「槍」という珍しい武器で戦う、型破りなアクションが読みたい人

3. 『橘花の仇 鎌倉河岸捕物控<一の巻>』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

佐伯泰英作品では珍しい、青春群像ミステリー。

最強の剣豪が一人で全てを解決するのではなく、酒問屋の看板娘・しほ、と彼女を慕う3人の幼馴染の若者たちがチームを組み、岡っ引きの助けを借りながら難事件に挑みます。

父を殺された主人公たちが、知恵と勇気、チームワークで仇討ちに挑む姿を描く、爽やかな捕物帳(ミステリー)です。

次のような人におすすめ

  • 一人の最強ヒーローが活躍する話より、チームで謎解きをする群像劇が好きな人
  • 江戸の若者たちの活躍を描く青春グラフィティが読みたい人
  • 剣戟(チャンバラ)よりも、ミステリー要素の強い時代小説を求めている人

4. 『さらば故里よ — 助太刀稼業(一)』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

「武士だってお金が欲しい!」という、武士のリアルな経済事情に焦点を当てた異色作。

主人公の神石嘉一郎は、貧しい下級武士。

彼は藩の枠を超え、自らの剣の腕を「商品」として売り出す「助太刀稼業」で生きていくことを決意します。

現代のフリーランスやギグワーカーにも通じる職業観で、剣の腕一本で成り上がっていく姿が痛快な、新しいタイプのヒーロー小説です。

次のような人におすすめ

  • 武士の理想だけでなく、リアルな懐事情や経済に興味がある人
  • 貧しい下級武士が、自らのスキルで成り上がる下剋上ストーリーが好きな人
  • フリーランスの剣豪という、現代的な職業観を持つ主人公に惹かれる人

5. 『初詣で 照降町四季(一)』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

佐伯泰英の最初の一冊として、多くの読者から「最強の入門書」と評されるシリーズ。

全4巻とコンパクトに完結しており、剣豪も密命も登場しません。

主人公は、駆け落ちに失敗して、出戻りとなった鼻緒屋の娘・佳乃。

世間の冷たい目に耐えながら女性職人として再起する姿を描く、感動の人情噺であり、お仕事小説です。

佐伯作品のもう一つの柱である人情の魅力を凝縮した、初心者必読の本です。

次のような人におすすめ

  • 時代小説は初めて、という初心者で、まずは短く感動できる物語が読みたい人
  • 剣豪の戦いよりも、江戸の市井に生きる人々の人情噺や、お仕事小説が好きな人
  • 逆境から立ち上がる、芯の強い女性主人公の物語を読みたい人

6. 『流離 決定版~吉原裏同心(1)』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

幕府公認の遊廓「吉原」という、欲望と哀しみが渦巻く閉鎖空間を舞台にした江戸ノワール。

主人公の神守幹次郎は、故郷から幼馴染(人妻)と駆け落ちし、「妻仇討」の追っ手を差し向けられるという重い過去を背負っています。

愛する女性と生きる場所を求め、吉原の用心棒・裏同心として裏社会の悪と戦う、シリアスで影のある魅力に満ちたシリーズです。

次のような人におすすめ

  • 完璧なヒーローよりも、暗い過去や影を背負った主人公に惹かれる人
  • 欲望渦巻く江戸の「裏社会」や「吉原」という特殊な舞台設定が好きな人
  • 過酷な運命に抗い、愛する人との絆を守り抜くシリアスな物語が読みたい人

7. 『光圀 ― 古着屋総兵衛 初傳 ―』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

「江戸のキングスマン」とも言うべき、スパイ・アクションの魅力に満ちたシリーズ。

主人公・鳶沢総兵衛は、表の顔は日本橋の古着問屋の主。

しかしその裏の顔は、徳川家康との約束で代々徳川家を守護してきた隠れ旗本の当主。

水戸光圀(水戸黄門)や将軍・綱吉といった実在の人物も絡み、生類憐みの令の時代を背景に、壮大な政治サスペンスが繰り広げられます。

次のような人におすすめ

  • 昼と夜の顔を持つ秘密結社や、スパイもののガジェット感が好きな人
  • 実在の歴史上の人物が絡む、スケールの大きな政治ドラマや陰謀史観が好きな人
  • 隠れ旗本という設定にワクワクする人

8. 『陰流苗木 — 芋洗河岸(1)』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

『照降町四季』と並び、「最強の入門書」と名高いシリーズ。

全3巻という圧倒的な短さで完結しており、非常に読みやすいのが特徴です。

「職業なし、金もなし、どこかとぼけた」侍・小此木善次郎が主人公。

しかし、彼は実は隠れた剣の達人。

「能ある鷹は爪を隠す」を地で行く主人公のギャップと、長屋の住人たちとの人情、そして隠された秘密をめぐるミステリーが凝縮された傑作です。

次のような人におすすめ

  • 「とにかく短くて面白い本から」佐伯泰英の歴史・時代小説を始めたい初心者
  • 普段「ぼんくら」に見えても、いざという時に最強の力を出す主人公のギャップが好きな人
  • 江戸の長屋を舞台にした、心温まる人情ミステリーが読みたい人

9. 『変化(へんげ) 決定版 交代寄合伊那衆異聞(1)』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

「とにかくストレスフリーな時代小説が読みたい」という人におすすめなのが、このシリーズ。

田舎から出てきた朴訥な若者・座光寺藤ノ助が主人公ですが、彼は悩んだり成長したりしません。

最初からチート級の剣の達人であり、次々と起こる問題を「快刀乱麻」のごとく危なげなく解決していきます。

その圧倒的な安心感と爽快感が魅力の一作です。

次のような人におすすめ

  • 主人公が悩んだり苦戦したりする展開が苦手で、ストレスなく読みたい人
  • 田舎から出てきた朴訥な青年が、実は最強という設定が好きな人
  • 難しいことを考えず、悪をバッサバッサと斬り倒す爽快感を味わいたい人

10. 『八州狩り 夏目影二郎始末旅(1)』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

『吉原裏同心』より、さらにダークなピカレスク(悪漢小説)の魅力を持つシリーズ。

主人公の夏目影二郎は、かつて人を斬って獄に繋がれた過去を持つ男。

勘定奉行の父の密命を受け、腐敗した役人たちを始末する孤独な旅に出ます。

著者が自身のスペインでの闘牛取材の経験を重ね合わせたという、ニヒルで哀愁漂うダークヒーロー像が鮮烈な作品です。

次のような人におすすめ

  • 正義の味方ではなく、闇をもって闇を制すダークヒーローやアンチヒーローが好きな人
  • 『るろうに剣心』の抜刀斎のような、暗い過去を持つ剣客の物語に惹かれる人
  • 哀愁やニヒリズムが漂う、ピカレスク小説の雰囲気を味わいたい人

11. 『見参! 寒月霞斬り 密命(一)決定版』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

1999年、佐伯泰英が57歳にして放った、記念すべき時代小説デビュー作。

すべての「佐伯伝説」はここから始まりました。

『磐音』が「光」なら、この『密命』の主人公・金杉惣三郎は「影」。

表向きは藩を捨てた浪人として日銭を稼ぎながら、裏では藩主からの「密命」を帯び、江戸の闇で孤独な戦いを続けるハードボイルドな一作。

デビュー作ならではの荒々しい魅力が光ります。

次のような人におすすめ

  • 佐伯泰英の「原点」であり、記念碑的なデビュー作から読んでみたい人
  • ハードボイルドな雰囲気が好きで、孤独な主人公の戦いにシビれたい人
  • 『磐音』とは対極の、「影」のヒーロー像に惹かれる人

12. 『声なき蟬 上 空也十番勝負(一)決定版』 佐伯 泰英

おすすめのポイント

このシリーズは、本記事の1番目で紹介した『居眠り磐音』(全51巻)の正統な続編。

主人公は『磐音』の主人公・磐音の息子である空也。

偉大な父の背中を追い、武者修行の旅に出た若き剣士の成長と、新たなる強敵との十番勝負を描きます。

『磐音』の壮大な物語を読了した者だけが到達できる、ファン待望の物語です。

次のような人におすすめ


まとめ:あなたに合う一冊から「佐伯山脈」登山をはじめよう

「佐伯山脈」と呼ばれる、佐伯泰英の膨大な歴史・時代小説から、読みやすさを基準におすすめの12シリーズを紹介しました。

そのあまりの多さに圧倒されてしまいますが、どの作品にも共通しているのは、著者の映画的で巧みな情景描写と、現代の読者にも響くエンターテイメント性。

そして圧倒的な、読みやすさです。

もし「最初の一冊」に迷ったら、『照降町四季』(全4巻)や、『芋洗河岸』(全3巻)といった、短く完結していて人情の機微を描いた作品から入るのがおすすめです。

あるいは、好みの主人公のタイプ「王道のヒーロー、型破りな酔っ払い、影のあるダークヒーロー、青春群像劇など」で選ぶのも良いでしょう。

ぜひこのガイドを参考に、あなただけの一冊を見つけ、壮大な佐伯ワールドへの第一歩を踏み出してください。