
古代中国の壮大な歴史ロマンを描き、多くの読者を魅了し続ける作家、宮城谷昌光(みやぎたに・まさみつ、1945年~)。
その作品は、単なる歴史の解説に留まらず、激動の時代を生き抜いた人々の知恵や葛藤、そして「人間としていかに生きるべきか」という普遍的なテーマを私たちに問いかけます。
しかし、「作品数が多くて、どれから読めばいいか分からない」と感じる初心者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなあなたのために、読みやすさと物語への入りやすさを基準に厳選。
そのような宮城谷昌光の歴史・時代小説のおすすめ本を、文庫本や電子書籍で、なおかつ最適な読む順番でご紹介。
この必読書リストを参考に、あなたも壮大な宮城谷ワールドへの第一歩を踏み出してみませんか。
1. 『侠骨記(新装版)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
宮城谷昌光の入門書として、まず手に取ってほしいのがこの短編集。
春秋時代の様々な英雄たちを主人公に、彼らの「侠(おとこぎ)」に満ちた生き様を描き出します。
一話完結のためテンポよく読み進められ、一冊で多彩な人物像に触れられるのが大きな魅力です。
宮城谷作品特有の格調高い文体と、人間洞察の深さを最初に味わうのに最適な、まさに入門のためのおすすめ本です。
次のような人におすすめ
- 初めて宮城谷昌光の作品を読むので、まずは読みやすい本から試したい方。
- 歴史小説は好きだが、長いシリーズものを読む時間がないと感じている方。
- 古代中国の様々な英雄たちのエピソードを少しずつ楽しみたい方。
2. 『新装版 華栄の丘』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
争いが絶えない春秋時代を舞台に、信義と誠実さをもって国を導いた宰相・華元の物語。
謀略が渦巻く中で、彼の清廉な生き方はひときわ強い輝きを放ちます。
主人公の魅力的な人柄に引き込まれ、物語の世界に自然と没入できるでしょう。
読後には心が洗われるような爽やかな感動が残り、「歴史小説って面白い」と心から思える一冊です。
次のような人におすすめ
- 裏切りや謀略よりも、誠実な主人公が活躍する物語を読みたい方。
- 登場人物の心の機微や人間関係が丁寧に描かれた作品を好む方。
- 読後に清々しい気持ちや、前向きなエネルギーをもらいたい方。

3. 『王家の風日』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
「酒池肉林」の暴君として知られる商(殷)の紂王。
しかしこの本では、彼を単なる悪役ではなく、理想を追い求めた孤独な王として多角的に描いています。
歴史の一般的なイメージを覆す、宮城谷昌光ならではの深い人間解釈が光る傑作です。
滅びゆく王朝の哀愁と、そこに生きる人々の葛藤が胸に迫ります。
宮城谷作品の奥深さに触れる次なる一歩としておすすめです。
次のような人におすすめ
- 歴史上の悪役や敗者とされてきた人物の、知られざる側面に興味がある方。
- 一つの国の栄枯盛衰を描いた、重厚な物語に浸りたい方。
- 史実に基づきながらも、作家独自の解釈が光る歴史小説を読みたい方。
4. 『呉越春秋 湖底の城(一)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
「臥薪嘗胆」の故事で有名な、伍子胥の壮絶な復讐劇を描いた大河ロマン。
家族を奪われた男の執念と、それを支える孫武(孫子)らとの絆が熱く描かれます。
復讐という明確な目的が物語を力強く牽引するため、ページをめくる手が止まらなくなるでしょう。
ここから始まる全9巻の長編シリーズは、読み終えた時に大きな達成感と感動を与えてくれます。
次のような人におすすめ
- 一人の男の生涯を追う、壮大なスケールの物語が好きな方。
- 友情やライバルとの対決など、熱い人間ドラマを読みたい方。
- 「孫子の兵法」で知られる孫武が、物語の中でどう活躍するのか見てみたい方。

5. 『小説 伊尹伝 ― 天空の舟(上)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
料理人から伝説の名宰相へと上り詰めた男・伊尹の物語。
新田次郎文学賞を受賞した宮城谷昌光の初期の代表作です。
まだ神話の香りが色濃く残る古代中国が舞台で、ファンタジー小説のような壮大さとロマンに満ちています。
歴史の知識がなくても、一人の英雄の成長物語として純粋に楽しめる、物語性の強い傑作です。
次のような人におすすめ
- 歴史小説というより、壮大なファンタジーや英雄譚が好きな方。
- 伝説や神話の世界観にワクワクする方。
- 出自の低い主人公が、才能と努力で成り上がっていく物語に魅力を感じる方。
6. 『楽毅(1)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
あの『三国志』の天才軍師・諸葛孔明が「目標とした」と語った名将・楽毅の生涯。
小国に生まれながら、その類まれな才覚で大国・斉を滅亡寸前まで追い詰める姿は圧巻です。
鮮やかな戦略や、登場人物たちの間で交わされる緊張感あふれる対話は、歴史小説ならではの醍醐味。
中級者へのステップアップに最適な、読み応えのある一冊です。
次のような人におすすめ
- 天才的な戦略で敵を打ち破る、痛快な物語が読みたい方。
- 組織論やリーダーシップに関心があり、歴史上の人物から学びたいビジネスパーソン。
- 諸葛孔明が尊敬した人物が、どのような生涯を送ったのか知りたい方。

7. 『晏子(1)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
春秋時代の斉国を舞台に、名宰相として知られる晏子(晏嬰)とその父・晏弱の親子二代の活躍を描きます。
特に晏子が、君主に対しても臆することなく正論を説く姿は「古代中国の半沢直樹」とも評され、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。
国家における政治や思想の役割を巧みに描き出した、知的な興奮に満ちた作品です。
次のような人におすすめ
- 権力に屈せず、信念を貫く主人公の物語に感動する方。
- 親子二代にわたる壮大な物語や、家族の絆を描いた作品が好きな方。
- 故事成語「晏子の御者」の由来となった人物の生き様を知りたい方。
8. 『孟嘗君(1)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
「鶏鳴狗盗」の故事で有名な戦国四君の一人、孟嘗君の物語。
彼の元には三千人もの食客(才能ある居候)が集ったと言われます。
本作では、多種多様な食客たちとの人間ドラマが生き生きと描かれており、群像劇としての面白さは格別です。
人の才能を見抜き、活かすリーダーシップとは何かを考えさせられる、示唆に富んだシリーズです。
次のような人におすすめ
- 個性豊かなキャラクターがたくさん登場する、賑やかな物語が好きな方。
- 人の才能を見出し、チームをまとめるリーダーシップ論に興味がある方。
- 『楽毅』を読んで、同じ時代の他の英雄の物語も読みたくなった方。

9. 『公孫龍(巻一・青龍篇)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
「白馬は馬にあらず」という有名な命題で知られる思想家・公孫龍。
本作では、彼を周の王子という独自の解釈で描き、商人として乱世を渡り歩きながら、楽毅などの英雄たちと関わっていく様を描きます。
思想や論理といった知的なテーマを扱いながらも、冒険小説のようなワクワク感が味わえる意欲作。
これまでの作品の登場人物も登場し、「宮城谷ワールド」の広がりを楽しめます。
次のような人におすすめ
- 史実をベースにしつつも、作家の創作が大胆に加わった物語を楽しみたい方。
- 哲学的なテーマや、登場人物たちの知的な会話劇に魅力を感じる方。
- これまでの宮城谷作品を読んできて、世界観の繋がりを楽しみたい方。
10. 『重耳(上)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
春秋五覇の筆頭に挙げられることもある晋の文公・重耳の物語。
彼の人生は波乱万丈で、実に19年もの間、諸国を放浪します。
突出した才能を持つわけではない重耳が、なぜ多くの優れた家臣に支えられ、覇者となれたのか。
その答えは、彼の持つ「徳」にありました。
大器晩成の英雄の生き様から、真のリーダーシップとは何かを学べる重厚な作品です。
次のような人におすすめ
- スーパーヒーローではなく、多くの仲間に支えられる人間味あふれる主人公が好きな方。
- 長い逆境を乗り越えて成功を掴む、感動的な物語を読みたい方。
- 国家を運営する上での人心掌握や政治の駆け引きに興味がある方。

11. 『太公望(上)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
「渭水で釣り糸を垂れる賢者」というイメージが強い太公望。
しかしこの本で描かれるのは、一族を滅ぼされ復讐を誓う、若き日のエネルギッシュな姿です。
神話と史実が入り混じる壮大な世界で、一人の少年が知恵と勇気で道を切り拓いていく様は、冒険活劇そのもの。
歴史の知識がなくても、彼の成長物語に胸が熱くなること間違いありません。
次のような人におすすめ
- 歴史上の人物の、一般的に知られていない若き日の姿を描いた物語に興味がある方。
- 緻密な戦略や戦術の駆け引きが描かれる物語に興奮する方。
- 『王家の風日』を読み、殷周革命を逆の視点(周を興す側)から見てみたい方。
12. 『三国志(第一巻)』宮城谷 昌光
おすすめのポイント
数ある三国志小説の中でも、宮城谷版が異彩を放つのは、物語の始まりにあります。
曹操の祖父である宦官・曹騰の時代から筆を起こし、巨大な漢帝国がなぜ衰退し、英雄たちの時代を迎えなければならなかったのか。
その根本原因を深く描き出すことで、物語に圧倒的な奥行きと説得力を与えています。
数々の宮城谷作品を読んできた総仕上げとして、この壮大な歴史絵巻に挑んでみて下さい。
次のような人におすすめ
- 他の宮城谷作品を読み、春秋戦国時代の知識を深めた上で三国志を読みたい方。
- 有名な英雄だけでなく、その時代を生きた様々な人々の群像劇をじっくり楽しみたい方。
- なぜ三国志の時代が訪れたのか、その歴史的背景から深く理解したい方。

まとめ:歴史は、最高の人間教科書である
ご紹介した12の物語は、それぞれが独立した作品でありながら、どこかで繋がり、壮大な「宮城谷ワールド」を形成しています。
それは、人間の喜び、悲しみ、野心、そして気高さを描き続けた、一大叙事詩。
一冊手に取れば、あなたは時を超え、英雄たちの息吹を肌で感じることでしょう。
彼らの生き様は、きっとあなたの人生を照らす光となるはず。
さあ、どの英雄の物語から、旅を始めますか。
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