
警察小説の巨匠として知られる今野敏(こんの・びん、1955年~)。
その作品は、リアルな組織描写が光る警察小説にとどまらず、SF、アクション、任侠、オカルトまで、多彩なジャンルに及びます。
膨大な作品群を前に、「どの本から読めばいいの?」と迷ってしまう初心者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな今野敏作品の選び方がわからない方のために、まず手に取ってほしいおすすめの本12冊を厳選してご紹介。
それぞれの本の魅力やおすすめのポイントを詳しく解説しますので、あなたにぴったりの一冊が必ず見つかるはず。
さあ、今野敏が描く奥深く、魅力的な物語の世界へ、最初の一歩を踏み出しましょう。
1. 『隠蔽捜査』今野敏
おすすめのポイント
今野敏の代表作にして、警察小説の歴史を変えたと評される金字塔。
東大卒のエリート警察官僚・竜崎伸也が、組織の論理や圧力に屈せず、自らの「原理原則」を貫き通す姿は圧巻です。
単なる謎解きに留まらない、組織論やシステムとの戦いを描いた知的な物語は、多くの読者から熱狂的な支持を得ており、累計発行部数は330万部を突破。
吉川英治文学新人賞を受賞し、杉本哲太・古田新太の主演などで複数回テレビドラマ化もされた、まさに必読の一冊です。
次のような人におすすめ
- 組織の中で働くビジネスパーソンや、知的な駆け引き、骨太な組織論が好きな方
- 信念を貫く「変人」ヒーローが活躍する物語にカタルシスを感じたい方、スカッとしたい方
- 質の高い警察小説や、受賞歴のある傑作から読み始めたい方

2. 『署長シンドローム』今野敏
おすすめのポイント
大人気作『隠蔽捜査』の面白さを引き継ぐ、直系のスピンオフ作品。
あの竜崎署長の後任として大森署にやってきたのは、誰もが見惚れる美貌の持ち主である若き女性キャリア・藍本小百合。
彼女がその「天然」な魅力と、おそらくは無意識に駆使する「美貌」を武器に、警察組織の常識を軽々と乗り越えていく様がコミカルに描かれます。
『隠蔽捜査』でおなじみのキャラクターも登場し、新たな化学反応を生み出す、軽快でユーモラスな一冊です。
次のような人におすすめ
- 『隠蔽捜査』シリーズのファンはもちろん、魅力的で型破りな女性リーダーが活躍する物語が好きな方
- クスッと笑える職場コメディのような、明るく楽しい警察小説を読みたい方
- 堅苦しくなく、サクッと読めるエンターテインメント小説を探している方
3. 『任侠書房』今野敏
おすすめのポイント
「ヤクザが倒産寸前の出版社の経営再建に挑む」という奇想天外な設定が魅力のコメディ作品。
義理と人情を重んじる昔気質のヤクザたちが、その世界の常識を出版業界に持ち込み、奮闘する姿がユーモラスに描かれます。
西島秀俊主演で『任侠学園』として映画化もされた人気シリーズの第一作。
職業や立場は違えど、人と組織を動かすのは普遍的な価値観なのだと、心温まる読後感を味わえます。
次のような人におすすめ
- 『極主夫道』のような、異色の世界観を持つコメディが好きな方
- 仁義や人情、仲間との絆をテーマにした、心温まる物語を読みたい方
- 普段あまりミステリーを読まないけれど、面白い小説を探している方

4. 『龍の哭く街』今野敏
おすすめのポイント
眠らない街、新宿・歌舞伎町を舞台に繰り広げられる、傑作ハードボイルド・アクション。
主人公は、元入国管理局職員という過去を隠し、バーテンダーとして静かに暮らす氷室和臣。
愛する人を守るため、中国マフィアや暴力団がうごめく裏社会の抗争に身を投じていきます。
作者の空手経験が生かされた、卓越した武道のリアルな描写は必見です。
次のような人におすすめ
- 骨太なハードボイルドやアクション小説のファンの方
- 普段は力を隠している主人公が、大切なものを守るために覚醒する、映画『ジョン・ウィック』のような物語に興奮する方
- 緊迫感のある裏社会の抗争や、リアルな格闘描写を楽しみたい方
5. 『曙光の街』今野敏
おすすめのポイント
警視庁公安部外事一課、通称「倉島警部補シリーズ」の幕開けを飾る、緊迫のスパイスリラー。
ソ連崩壊後、日本に潜入した元KGBの凄腕工作員と、彼を追う日本の公安捜査官の命を懸けた対決を描きます。
当初は情熱を見いだせなかった平凡な主人公が、極限状況の中でプロフェッショナルとして成長していく過程が大きな魅力。
作者のロシア道場の弟子から得た情報も盛り込まれ、ディープな国際諜報の世界を堪能できます。
次のような人におすすめ
- ジョン・ル・カレ作品のような、リアルな諜報活動を描くスリラーが好きな方
- 国際的な陰謀や、プロ同士の息詰まる心理戦を楽しみたい方
- 一人の人間の成長物語に感動したい方

6. 『ST 警視庁科学特捜班 エピソード1〈新装版〉』今野敏
おすすめのポイント
警視庁科学捜査研究所に集められた、5人の天才的だが社会不適合な研究員たち。
通称「ST」と呼ばれる彼らが、それぞれの専門知識と常人離れした能力で難事件に挑む、大人気SFチームミステリーです。
対人恐怖症のリーダーや秩序恐怖症のプロファイラーなど、強烈な個性を持つキャラクターたちの掛け合いが最大の魅力。
藤原竜也・岡田将生主演でドラマ・映画化もされ、絶大な人気を博しました。
次のような人におすすめ
- 『SHERLOCK (シャーロック)』や『X-ファイル』のように、特殊な能力を持つ天才たちが活躍する物語が好きな方
- 個性豊かな登場人物たちが織りなす、テンポの良い会話劇を楽しみたい方
- 科学捜査やプロファイリングといった専門的なテーマに興味がある方
7. 『心霊特捜〈新装版〉』今野敏
おすすめのポイント
警察小説に、心霊・オカルトという要素を大胆に融合させたユニークな連作短編集。
古神道や密教、沖縄の巫女の血を引く者など、特異な能力を持つ刑事たちが、心霊現象が絡むとされる事件の真相に迫ります。
単なるホラーではなく、死者の哀しみや無念に寄り添う刑事たちの優しさが描かれ、読後感はむしろ心温まるものに。
著者の技巧が光る傑作です。
次のような人におすすめ
- 怖い話は苦手だけれど、心霊や超常現象といった不思議なテーマに興味がある方
- 『夏目友人帳』のように、人ならざる者との交流を通して描かれる、優しくも切ない物語が好きな方
- 普通の警察小説とは一味違う、ユニークな設定のミステリーを読みたい方

8. 『残照』今野敏
おすすめのポイント
40年近く続く今野敏のライフワーク、「安積班シリーズ」の中でも特にアクション要素の強い一作。
東京湾岸エリアを舞台に、少年グループの抗争事件と、首都高最速の伝説を持つ「走り屋」の謎が交錯します。
圧巻の高速カーチェイスシーンと、冷静沈着な安積警部補と交通機動隊の速水警部補との熱い「バディ」関係が見どころ。
刑事たちの誇りを描いた傑作警察アクションです。
次のような人におすすめ
- 映画『ワイルド・スピード』のような、アドレナリン全開のカーアクションが好きな方
- 刑事たちの固い絆や、異なるタイプのプロフェッショナルが協力し合う「バディもの」に胸が熱くなる方
- 刑事たちのプロ意識や誇りを描いた、熱い物語に触れたい方
9. 『ビギナーズラック〈新装版〉』今野敏
おすすめのポイント
今野敏の多彩な作風を一度に味わえる、初期作品を集めた短編集です。
理不尽な暴力に立ち向かうカップルを描いた表題作をはじめ、様々なテーマの物語が収録されており、著者の引き出しの多さを実感できます。
さらに、「奏者水滸伝」や「公安外事・倉島警部補」といった他の人気シリーズのキャラクターが登場するスピンオフ作品も含まれており、ファンにはたまらない一冊となっています。
次のような人におすすめ
- どのシリーズから読もうか迷っている今野敏初心者の方
- まずは短編で作家の作風を「味見」してみたいという方
- 既存のシリーズのファンが、お気に入りのキャラクターの番外編を楽しむのにもおすすめの方

10. 『ボーダーライト 神奈川県警少年捜査課』今野敏
おすすめのポイント
薬物、特殊詐欺、売春…現代的な少年犯罪の背後に潜む謎を、熱血刑事と不思議な能力を持つ高校生が追う、唯一無二のエンターテインメント警察小説。
主人公の協力者となるのは、古代の霊能者・役小角(えんのおづぬ)の力をその身に宿す高校生・賀茂。
リアルな捜査劇と、伝奇ミステリーの興奮が見事に融合しています。別シリーズの人気刑事も登場するクロスオーバー展開も楽しめます。
次のような人におすすめ
- 現実社会の問題とファンタジー要素が交錯する物語が好きな方
- 『ペルソナ5』のように、現代の街を舞台に神話的な力が活躍する世界観にワクワクする方
- 少年犯罪といったシリアスなテーマを扱う、社会派エンタメに興味がある方
11. 『逆風の街』今野敏
おすすめのポイント
横浜・みなとみらい署の暴力犯係、通称「マル暴」の刑事たちの熾烈な戦いを描くシリーズの第一作。
主人公は「ハマの用心棒」の異名を持つ諸橋係長。
暴力団に両親を殺された過去を持ち、悪に対して一切の妥協を許さない彼の姿勢は、読んでいて爽快感抜群です。
空手の有段者である作者が描く、迫力満点の格闘シーンも見どころの一つです。
次のような人におすすめ
- クラシックなヤクザ映画や、骨太な警察アクションが好きな方
- 勧善懲悪のストーリーで、日頃のストレスを吹き飛ばしたい方
- 正義の怒りを胸に、巨大な悪に敢然と立ち向かうタフなヒーローの物語を読みたい方

12. 『スクープ』今野敏
おすすめのポイント
テレビ局の報道番組に所属する「遊軍記者」を主人公にした、スピーディーなメディア・スリラー。
特定の担当を持たない自由な立場を活かし、夜の街で独自の取材網を築き、次々とスクープをものにする布施京一。
警察とは異なるジャーナリズムの視点から、事件の裏に潜む都会の闇と人間の欲望を鋭く描き出します。
報道の裏側を垣間見ることができるのも、この作品ならではの魅力です。
次のような人におすすめ
- 『大統領の陰謀』のような、ジャーナリズムの力で真実を暴く物語が好きな方
- 警察小説は読み慣れているけれど、少し違った視点のサスペンスを求めている方
- テンポの良い展開で一気に読める作品を探している方
まとめ:幅広いジャンルを楽しめる作品群
ここまで、今野敏の広大な作品世界への入り口となるおすすめの本12冊を紹介しました。
原理原則を貫く孤高の官僚が組織に挑む『隠蔽捜査』、ヤクザが出版社を立て直す『任侠書房』、個性派集団が科学で事件を解決する『ST』、そして心霊現象を扱う『心霊特捜』まで、そのジャンルの幅広さに驚かれたかもしれません。
どの作品にも共通するのは、魅力的なキャラクター、テンポの良いストーリー、そして読後に「明日も頑張ろう」と思えるような、人間への温かい眼差しです。
この中から気になる一冊を手に取り、あなただけの「今野敏ワールド」の扉を開いてみて下さい。
きっと、次々と他のシリーズも読みたくなる、素晴らしい読書体験が待っています。
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