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【選書】髙樹のぶ子のおすすめ本・書籍12選:小説、代表作、映画、原作

現代日本文学を代表する作家の一人、髙樹のぶ子(たかぎ・のぶこ、1946年~)。

芥川賞をはじめ数々の文学賞を受賞した彼女の作品は、甘美な恋愛小説から骨太なミステリー、そして古典の現代語訳まで多岐にわたります。

これから髙樹のぶ子作品を読み始めたいけれど、どれから手をつければよいか迷っている方も多いはず。

この記事では、初心者にも読みやすいエンターテインメント性の高い作品から、作家の真骨頂である情念と美の世界を描いた純文学作品や古典作品まで、段階的におすすめの本を紹介します。

映像化された話題作や、大人の心に響く名作を通じて、豊饒な物語世界への扉を開いてみてください。

1.『マイマイ新子』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

昭和30年代の山口県防府市を舞台に、多感な少女の日常と成長を描いた自伝的小説。

主人公の新子は、額のマイマイ(つむじ)をアンテナにして、千年前の都の風景を空想する不思議な力を持っています。

片渕須直監督によってアニメ映画化され、国内外で高い評価を得た作品の原作。

純文学作家としての鋭い感性が、子供時代のノスタルジーと融合し、瑞々しい筆致で綴られています。

髙樹のぶ子のおすすめの本として、まず最初に手に取りたい、心温まる作品。

次のような人におすすめ


2.『マルセル』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

京都国立近代美術館で実際に起きたロートレックの名画「マルセル」盗難事件をモチーフにした美術ミステリー。

新聞記者の主人公が、亡き父の遺した取材ノートを頼りに、消えた絵画の行方と家族の秘密を追って京都からパリへと飛びます。

フィクションでありながら、未解決事件の謎に迫る調査報道のようなリアリティと、古都の情景描写が絶妙に絡み合う一冊。

ミステリー要素が強く、ページをめくる手が止まらないエンターテインメント作品。

次のような人におすすめ

  • 事実に基づいたサスペンスや美術ミステリーが好きな人
  • 京都やパリを舞台にした、旅情あふれる物語を楽しみたい人
  • 純文学作家が描く、骨太な謎解きエンターテインメントを読みたい人

3.『光抱く友よ』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

第90回芥川賞を受賞し、作家としての地位を確立した初期の代表作。

知的で内向的な優等生と、アルコール依存症の母を持ち退廃的な雰囲気を纏う不良少女。

対照的な二人の女子高生が、互いに強烈に惹かれ合い、反発し合う17歳の魂の彷徨を描きます。

タイトルにある「光」とは何なのか。青春特有の残酷さと美しさが、冷徹かつ抒情的な文章で刻まれた青春文学の金字塔。

髙樹のぶ子の作品の中でも、文学的な質の高さを味わえる短編。

次のような人におすすめ

  • 芥川賞受賞作に触れ、本格的な純文学の世界を味わいたい人
  • 少女期特有の濃密な友人関係や、心の揺れ動きに共感したい人
  • 長編小説を読む前に、密度の高い中短編で作家の作風を知りたい人

4.『白磁海岸』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

冬の金沢と日本海を舞台に、16年前の大学生の不審死と、朝鮮白磁の皿を巡る謎が交錯する重層的なミステリー。

息子の死の真相を追う母の執念と、陶芸界の闇、そして北朝鮮という国際的な要素が複雑に絡み合います。

厳しい冬の海の描写と、白磁の透き通るような美しさの対比が印象的。

恋愛小説の枠を超え、社会派サスペンスとしての読み応えも十分な、美と戦慄の長編小説。

次のような人におすすめ

  • 金沢の冬景色や、陶芸・骨董といった「美」の世界に惹かれる人
  • 複数の視点が交錯する、読み応えのある長編ミステリーを探している人
  • 恋愛要素だけでなく、社会的な背景を持つ重厚な物語を好む人

5.『透光の樹』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

谷崎潤一郎賞を受賞した、髙樹のぶ子文学の到達点とも言える恋愛小説。

25年ぶりに再会した中年男女が、社会的なしがらみを捨て、ひたすらに互いの肉体と魂を求め合います。

各章に柔道の技の名前が冠されており、性愛を「格闘」として描く独特の構成が秀逸。

生活感や倫理を超越した先にある、透明で純粋なエロスの結晶。

映画化もされましたが、小説ならではの研ぎ澄まされた言語感覚を堪能できる一冊。

次のような人におすすめ

  • 谷崎潤一郎賞受賞作のような、耽美的で文学性の高い作品を読みたい人
  • 「不倫」という枠では語りきれない、究極の男女の結びつきに触れたい人
  • 言葉によって構築された、静謐で美しい官能の世界に浸りたい人

6.『水脈』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

第34回女流文学賞を受賞した、「水」を共通のモチーフとする連作短編集。

別離、再会、死、そして性愛。

人生の様々な局面が、水のように形を変えながら幻想的に描かれます。

文字を追うだけで湿り気や温度を感じさせるような、五感に訴えかける描写力が圧巻。

「アクア・ファンタジー」とも評される本作は、論理的な筋書きよりも、文章そのものが醸し出す雰囲気や心地よい浮遊感を味わいたい読者に最適。

次のような人におすすめ

  • 論理的なストーリーよりも、詩的で感覚的な文章表現を好む人
  • 幻想文学のような、夢と現実のあわいを漂う読書体験をしたい人
  • 短編で少しずつ、濃厚な髙樹ワールドを味わいたい人

7.『飛水』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

講談社創業100周年記念として書き下ろされた、運命的な愛の物語。

知人の葬儀で出会った男女が、不器用ながらも魂のレベルで惹かれ合い、共に生きる約束を交わします。

タイトルの「飛水」は翡翠(カワセミ)の鮮烈なイメージとも重なり、一瞬の輝きと永遠の想いを象徴。

ドロドロとした愛憎劇ではなく、長い人生を経てようやく巡り会えた「ソウルメイト」との静謐で切実な愛を描いた、大人のための純愛小説。

次のような人におすすめ

  • 派手な展開よりも、登場人物の心の機微を丁寧に描いた作品が好きな人
  • 運命的な出会いや、魂の結びつきというテーマに心惹かれる人
  • 人生の後半戦におけるパートナーシップのあり方を考えたい人

8.『氷炎』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

かつて恋人同士だった男女が20年の時を経て再会し、互いに家庭を持ちながらも激しい恋に落ちるダブル不倫小説。

『失楽園』にも比肩する作品として知られ、社会的な常識という「氷」と、抑えきれない情熱という「炎」の対比が鮮烈。

携帯電話がない時代のすれ違いが、現代の読者には純粋なロマンチシズムとして映ります。

家庭崩壊という代償を払いながらも貫かれる愛の形を問いかける作品。

次のような人におすすめ

  • 情熱的でドラマチックな大人の恋愛小説に没頭したい人
  • 『失楽園』のような、美しくも破滅的な愛の物語を探している人
  • 40代以上の男女が抱える孤独や、人生の「もしも」に想いを馳せたい人

9.『蔦燃』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

第1回島清恋愛文学賞を受賞した、心理サスペンスの色合いが濃い恋愛小説。

弁護士の夫を持つ平穏な主婦の前に、夫の異母弟が現れることで日常が崩壊していきます。

復讐心を持って近づいた男と、彼によって「女」としての本能を呼び覚まされていく主婦。

タイトルの「蔦」のように絡みつく愛憎と、平凡な主婦が魔女のように変貌していく心理描写がスリリング。

ホームドラマが危険な愛の物語へと変質する緊張感が魅力。

次のような人におすすめ

  • 単なる恋愛ものではなく、サスペンスや心理劇の要素を楽しみたい人
  • 抑圧された日常からの解放や、人間の隠された情念に触れたい人
  • ページをめくる手が止まらない、スリリングな展開を求めている人

10.『霧の子午線』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

吉永小百合と岩下志麻の初共演で映画化された名作。

かつて学生運動の時代に一人の男を愛し、共有した過去を持つ二人の女性。

20年後、難病を抱える紙漉き職人と、キャリアを積んだ新聞記者として再会した彼女たちの友情を描きます。

三角関係の嫉妬を超え、同じ時代と痛みを共有した「戦友」としての絆は感動的。

恋愛だけでなく、女性の生き方、老い、仕事といったテーマを深く掘り下げた人生の教科書的作品。

次のような人におすすめ

  • 女性同士の深く清冽な友情を描いた物語を読みたい人
  • 映画化された原作小説として、重厚な人間ドラマを味わいたい人
  • 40代以降の女性の生き方や、キャリアと病への向き合い方に関心がある人

11.『小説 伊勢物語 業平』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

古典文学『伊勢物語』の主人公とされる在原業平の生涯を、現代小説として鮮やかに蘇らせた意欲作。

単なる現代語訳ではなく、業平という一人の男が、藤原氏の権勢に和歌で抗い、数々の恋を通じて真実を貫く姿を描き出します。

現代語でありながら平安の雅を感じさせる文体で、千年前の恋愛模様をリアルに体感できる構成。

NHK「100分de名著」でも話題となった、歴史と文学の融合。

次のような人におすすめ

  • 『伊勢物語』や在原業平について、物語として楽しく理解したい人
  • 歴史小説や古典文学が好きで、新しい解釈に触れてみたい人
  • 和歌に込められた情熱や、平安時代の恋愛事情に関心がある人

12.『小説小野小町 百夜』髙樹のぶ子

おすすめのポイント

『業平』に続く平安プロジェクト第二弾。

伝説の美女・小野小町の生涯を、彼女自身の内面から描き出した歴史小説。

「百夜通い」の伝説の裏に隠された真実とは。

なぜ彼女は愛を拒み、言葉に生きたのか。

男性中心の社会やままならない運命に翻弄されながらも、孤高に生きた天才歌人の魂を、現代の作家が鎮魂の祈りを込めて再生させます。

美しい日本語と、女性としての切実な生き様が胸を打つ傑作。

次のような人におすすめ

  • 小野小町という伝説的な女性の、人間らしい内面に触れたい人
  • 『伊勢物語 業平』を読み、平安時代の美意識や女性観をさらに深めたい人
  • 才能ある女性の孤独や、自立した生き方に共感する人

まとめ:エンタメから純文学、そして古典の再構築へ

髙樹のぶ子の作品世界は、読みやすさと文学的な深さを兼ね備えた豊かな鉱脈です。

『マイマイ新子』のような親しみやすい作品から入り、恋愛小説で感情を揺さぶられ。

最終的には『透光の樹』『業平』といった美の極北へと至る読書体験は、読む人の心に深く残るものとなるはず。

ぜひ、気になった一冊から手に取り、その艶やかで力強い言葉の海に浸ってみてください。